花粉症宣告を受けていないので花粉症ではありません

最近外に出ると、喉の奥が腫れて痒くなる。
くしゃみが連続ででる。
鼻水はくしゃみとともに押し寄せてくる。

母にそのことを相談すると、
花粉症だよ、病院で薬を貰ってきなと言う。

お母さんは、病院で花粉症って診断されたん?
そう聞くと、違うけど花粉症の症状が出てるから、
耳鼻科で花粉症の薬下さいって言ったらくれるよと言う。

花粉症だという姉にも聞くと、
花粉症って言われてないけど、急に水みたいな鼻水出るから薬は絶対いるねんと言った。
かわいそう。それやったらもらわなあかんなと思った。

去年の今頃目がかゆいと花粉症の友達に相談したら、
花粉症だ!認めな!と言われた。
その人も、花粉症と病院で診断されていないらしかった。

私は去年、目をかきすぎて真っ赤にしてしまったので眼科に行った。
平日の病院は平穏な雰囲気で、朝に起きることの喜びを教えてくれる。
私はおじいさん、おばあさんと一緒にクリーム色のソファに座りながら温かい朝日を浴びた。
名前を呼ばれて、看護婦さんにいわれるがまま色々薄暗い部屋で検査をした。
絶対に瞬きをしないでと言われたり、遠くに映る気球を見せられたりする。

指示された緑色のベンチに座りながら、看護婦さんがおばあさんに上手に目薬を入れているのを見ていると、名前を呼ばれ先生の前にたどり着いた。

目がかゆいんですと、先生に言うと、
先生は、上とか、下とかいいながら細いライトを私の目に当てた後、
瞬きをしなかったせいで撮れたらしい写真をペンで指しながら、
眼圧が気になるどうのこうのと言って、また来年来てくださいと言った。
痒みと関係ないところで、病気の気が見つかったらしい。恐ろしい。

そして、薬は2種類出しときますと言って、筆記体みたいなやつを紙に書いて、先生は次の患者に目を向けた。

午前の全部を使って手に入れた目薬2つのおかげで、私の目の痒みは収まった。

人は私のことを花粉症と言う。

けれど病院では花粉症宣告を受けなかった。
私は本当に花粉症なのだろうか。

ただ認めたくないだけなのだが、私はまだ確信が持てないでいる。
だって、数年前まで何ともなかったのだから。

私の春はただの出会いと別れの美しい季節だった。
それに、くしゃみと鼻水の苦しみが追加される。
彼らの苦しみを、側で知っているからこそ、
宣告されていないという、弱すぎる盾を使って無駄な抵抗を続ける。
まだ、まだ耐えられる。そう言い聞かせながらマスクの針金をギュッと低い鼻に密着させ、今年の春を乗り越える。
来年にはまた平穏な春が来ることを心から願って。

(眼圧のことを調べたら、緑内障についての情報が出てきて、父が緑内障なので本格的に怖くなった。病院に近々行くと決めた。とても怖い。)

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