見出し画像

折々の漢字――「死」を逃れるにはどうすればいいのか

「死」は小学校3年生で学習する漢字です。読みは、音読みの「シ」と訓読みの「し(ぬ)」を習います。

漢字ドリルの出題文を作る際、小学校の場合は特になのですが、あまりネガティブな場面にしないようにする配慮をします。児童に悲しい場面を想像して問題を解かせたくないからです。

たとえば、「病」という漢字の出題では、「【病】気になる。」よりも「【病】気がなおる。」とするよう心がけます。


その観点で考えると、「死」は難しいです。音読みの「シ」ならば、「死守」や「必死」といった、「死亡」の意味からなるべく離れた言葉で出題することができます。

しかし、訓読みの「し(ぬ)」は悩みます。「虫が【死ぬ】。」や「魚が【死ぬ】。」とすることが多いのですが、それでも気にする児童はいると思います。

であれば、「死なない」で作ったら? と思うかもしれないですが、そうもいかないのです。

「し(ぬ)」は送り仮名が「ぬ」であるため、送り仮名の「ぬ」まで書かせるような問題にしなければならない場合があるのです。「死なない」だと送り仮名が「ぬ」ではなくなってしまいます。


悲しい「死」から逃れるには?

何とか「死ぬ」の形で、ネガティブにならないような出題文は作れないだろうか……。

そんなときに出会ったとある漢字ドリルの文に衝撃を受けました。

「【死ぬ】ほど心配したテストがごうかくで安心する。」

死ぬほど心配……! なるほど。

同じように悩んで、悩んだうえで解決法を編み出している人がいるのだなと感じ、もっと自分もやらなければという気にさせてくれました。

……「死ぬほど」という使い方、漢字ドリルで出題していいものかやっぱり迷いますが。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?