ダークタワー(角川文庫版)読了

 この物語の内容についてどうこう批評したりするのはなんか違うような気がする自分となんか言いたい自分がせめぎ合っているのでとりあえず自分とこの作品の関わりでも記しておこうと思う。(あと読み終わった後なので書き方とか変なとこが影響されてる自信ある)

 初めてダークタワーという作品を初めて手に取ったのは高校時代。確か地元の駅ナカにある本屋で電車待ちの間にちょっと立ち読みしたのがきっかけだったと思う。
 その時手に取ったのは新潮文庫版で、表紙に惹かれたのを覚えてる。実際読んで中の挿絵もローランドの生きる世界への想像が膨らむ、何度も見返したくなるものだったことを覚えている。

高校時代に手に取った第一巻「ガンスリンガー」の表紙

 内容もちょっと背伸びしたくなるような大人になりたいような年頃の“子供”だった自分には読んでいるとそれだけで背伸びできてる気分になれると言うだけでも十分だったのだけど(他に宮城谷昌光の「太公望」を半分以上イメージできないながらも読み切ったりしていた)なんとか当時の頭でも想像を膨らまして読み進めるのに挿絵が大きく助けになってくれていた。とはいえ結局第三部の「荒地」上巻の途中で折れてしまった。

 それからというものダークタワーの“ダの字”も思い出すことなく10年以上の時が経ち、東京に住み慣れてきた頃に、自分は電車などの公共交通機関では音楽を聴くより本を読んでいる方が落ち着くタイプだと気づいてから何かしら乗車中は必ず本を読む癖がつくようになった。
 いろんな本を読んだが、去年の6月に(きっかけもう覚えていないが)ダークタワーという本を昔読んでいたことを思い出してまた第一巻から読み始めたところ(もうKindleで読むのが当たり前になっていたので電子版があった角川文庫版をここで読み始めた)どハマりした。

 他の本との圧倒的な違いとして、読んでる時の集中力が増していたのか、缶詰状態の通勤ラッシュ真っ最中な電車の中でさえ何も気にならなくなった。どの本を読んでいた時より明らかにリラックスしていた。なので多少混んでいる程度ではこの作品を読んでいる自分にストレスなど与えられないという状況が意識的に作れた。これは本当にこの作品を読んでいる間だけの素晴らしい体験だった。(なのでこの先どうなるかその意味でも不安になっている)
 ただ一度だけ第四部の「魔導師と水晶玉」だけはローランドの過去の物語だけは悲劇が、それもきっととてつもなく惨たらしい悲劇が待ち受けているのだろうという想像がひたすらに膨らんでしまって(スーザンが現れてからずっと三浦建太郎のベルセルクでの“蝕”の瞬間がイメージされて)一気にペースダウンしていた。さらにこのタイミングで自分にも彼女ができ、不吉なイメージがされそうで読むのを止めさえした。そしてまた読むのを再開したきっかけは結局“彼女と別れた”事だった。もうどんな不吉な事だろうが、悲劇さえ、怖がる感情が湧かなくなっていたことで読み進める事ができた。(こうやって書いてて思ったがまるで〈カ〉だな笑)

 この作品を読み終わったらスティーブン・キング作品を観ていこうと決めていた(ホラー苦手)ので落ち着いたら観ていこうと思う。何よりも先に変なネタバレみたいなことをされるのが嫌だったので我慢していた映画版ダークタワーを観ておきたい。

 彼女と別れてからというもの、運命だとか神だとかに嫌気が差していた自分には恐らく“救い”になった作品だろう。
 運命と呼ばれるものに理性や情などは無く、まさに赤子のようであり、興味が惹かれれば突然持ち上げ、持ち上げられた者が初めての景色に感動する間も無く(或いは感動の最中に)突き落としたり振り回したりし、興味が失せれば放り投げてまた別の者を振り回すのだ。
 といった具合に今は考えている。
 神については少なくともそんな理性的なものが本当にこの世の人間の全てを把握できるというのならその膨大な情報量で既に狂っているか把握することを放棄しているかのどちらかだろう。そもそもこの世の幸、不幸が1:1だとしたらそれが手に負えていないことの証であり、この世に自殺者が出る限り神は間違えるし失敗もするという証だろう(神は乗り越えられる試練のみを人に与えると仮定してだが)。

 神々の考え方としては日本の九十九神の考え方が1番好みだ。あらゆる物に神は宿っているからこそ位の違いはあれど無限に神は存在していて、それぞれに性格があり、得手不得手があるからこそ神々も助け合っているし、関係性もある。だからこそ日頃から多くの物への感謝を忘れずに。といった(完全に自分の“解釈”)具合に。

 なんとなくローランドの考え方にこういった大きな力や流れ(のようなもの)を否定も肯定もしていないようなニュアンスを感じてそれが好きなところの一部だったりする。

 とりあえずまずはこんなところで。そろそろ寝る。

 それではこれを読んでくれた全ての人に「長き昼と楽しき夜を」

 

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