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マンガ読みの年中休業うつらうつら日記(2022年11月19日~11月25日)

今週はリアルお出かけがあって、くたびれました。都心に行くだけで疲れるなんて、芯から底から田舎のネズミです。でもお出かけのおかげで気になってたミニチュア展を見ることができてよかった。もう11月も後半、今年も終わりかけてる雰囲気です。来年のカレンダー買おうとかお正月のこととか考え始めてる。鬼が爆笑中。

22年11月19日

定例ZOOM飲み会。
北海道のUくんが仕事で上京していることから、Yちゃんが「ぜひランチを」と言って、そこにいた全員が誘われた。
息子が泊まりに来るうえUくんやYちゃんが行く店はたいがい高いしワイン代もかかるので、我々はパス。
長老が「昼の12時に浅草は早すぎる。起きられたら行く」とか寝ぼけたことをぬかすから、関係ないのに思わず、
「明日の朝、人気の店になんとか予約取ろうってんですから、人数が不明じゃ困りますよ。『行けたら行く』はご法度です!」と叱ってしまった。
お節介が過ぎた。反省。

翌日のランチ会がさくさく決まる。
目まぐるしいほどの勢いだった。
待ち合わせ場所選定にはこれまた不参加のGくんが猛烈にGoogleEarth出してきて、見えてる鳥瞰図で場所が決まる。
皆さん、飲み会になると話早いねー。

早めに失礼して、0時半ごろやってきた息子を迎える。
いちおう抗原検査キット使ってもらおうかな。久しぶりだから。
ネガティブで、立ち入りOK。

一緒に「アメリカサブカルチャー史2000年代」を観た。
やはりすごく面白いと言う。
だんだん君らの時代に近づいてきたよね。
「すごく面白い。今週は日曜まで泊めてもらうつもりだけど、いい?そしたら続きを観られるね!」と嬉しそう。
我々も、こんないい番組を一緒に観られて楽しいよ。
せいうちくんがヘルシオクックであっという間に作ってくれたカレーも美味しかった。

3時ごろまで起きてたせいうちくん、お疲れさま。
いくら夕食後に少し寝て備えたといっても昼間の仕事と夜中の息子の両立は大変だっただろう。
私はテンションが上がりまくっちゃうしねー。
興奮しきってしまったので安定剤を多めにのんで、寝た

翌朝はみんなほぼ同じ時間に起きて(息子だけはちょっと起こすのに手間がかかった)、彼が昼過ぎに出かける時に一緒にカフェにごはん食べに行った。
息子はタイ風グリーンカレー、せいうちくんはハンバーグプレート、私はいつものパンケーキ2段重ね。
黙食だからあんまり話はできなかったけど、やっぱり楽しかった。
駅前でハグして、「また今晩ね!」と言い合って別れた。

買い物をすませて2人で家に帰り、寂しくなる気持ち緒をさえるため「シン・ウルトラマン」を観る。
アマプラに来たとは聞いていたので有料でも観よう、と思ってたのになんと無料配信だった。ラッキー!
小学生の頃にウルトラマンを見て育った我々には「なつかしい」の嵐だった。
今度長老に観てもらい、細かいオマージュ等を教えてもらおう。

仕事に出かけた息子は夜中にご帰還。
「サブカル史2010年代」と「フランスサブカル史 ‘60年代ヌーヴェルバーグ」を観るつもり、と言ってたのに、店で大好きなジョン・ベルーシの伝記映画があると聞いてきて大興奮、食事の合間に少し話そうと言ってもそわそわしてかわいそうなので、もう勝手に観ろと言って寝たよ。
そんなに好きなものがあって、幸せなことだと思うよ。

夢中で観てて私とおしゃべりしてくれる気もなさそうな彼に、
「たとえば母さんが高見沢さんの伝記映画の存在を知った時みたいな状態?」と聞くと、力いっぱい「そう!」とうなずいていた。
高見沢さんじゃしょうがないなぁ。
ベルーシがインプロコントを始めた、と知って有頂天になっていたよ。
今、NYで拾ってきたつもりのインプロの始祖が大好きなコメディ俳優だったら、そりゃあ頭の中で「何かがカチッとはまった」精神状態になるよね。
映画に夢中の彼はほっといて、今日は早く寝かせてもらうよ。


今日のマンガは最近流行っているらしい藤本タツキの「チェーンソーマン」既刊12巻。
なんと言うか、「揉みたい」って理由だけで命を張るデンジくんの気持ちはわかるようなわからないような。
ジャンプマンガ、というとどんどん強くなったり上を目指したり、ドラゴンボールのように敵が尻上がり強大になっていくってイメージがあるんだけど、その積み重ね感がほどんどないのが面白い。
アニメを観たGくんからは、
「おい、今の若いもんは世界をあんな風にとらえてるのか。モチベーションがなさすぎだろう」と聞かれてしまった。
あと、悪魔と魔人と人間の関係がよくわからない。例外もたくさんあるようだし、どういう理屈で成り立ってる世界なんだろう?
マキマさんが可愛いのはわかる。しかし最強すぎるとも思う。
これから先が楽しみだ。(格闘シーンとか、ほとんど何が描いてあるのかわからないんだけど)

22年11月20日

昨日観た「シン・ウルトラマン」、「無料ですから」と長老に教えてやっとアマプラで観てもらって、50年以上ため込んだうんちくを一気に傾けてもらう。

(ここからはネタバレなので、未見の人は読まない方がいい)

最初の3分が非常に面白いのだそうだ。
ゴジラに似た怪獣が出てくるのは、「ウルトラQ」の初回のゴメスは東宝から払い下げてもらった古いゴジラの着ぐるみを使っていたからで、そいつに角を付けただけのものがゴメスだったんだそうだ。
だから最初のタイトルが「シン・ゴジラ」って出て、それから「シン・ウルトラマン」って出たのか。
その後わらわらと出てくる怪獣(いや、禍威獣か)たちは「あいつら、みんな同じような顔してるぞ!」と禍特隊のメンバーが叫ぶのは、ウルトラマンでもやはり毎週毎週新しい怪獣を作るわけにもいかないのでこれまた東宝払い下げの着ぐるみにあれこれパーツをつけて別の怪獣に仕立てていたせいなんだって。
せいうちくんも私も、こういううんちくが聞きたかったんだよなぁ。
長老はオタクの誉れだ。

他にも観た人は集まってしゃべろう!とメッセンジャーグループに声かけたら、Sくんから「観てないので不参加」とのお返事。
そういえばあの人は「まだ観てないからネタバレしないでね」って言ってたなぁ。
もうこれほどの時間が経っちゃったんだから、難しくなる一方だろうに。
Gくんは観たそうで参加してきた。
最後の数分顔を合わせたUくんも観てるらしい。
彼はもっとウルトラマンが怪獣と闘うシーンが多いのだと思っていて、少しがっかりしたんだって。

また夜中に息子が帰ってきた。
今日はお店で仲間の2人が結婚式の二次会をやったので、その会場設営とかMCで大活躍してきたらしい。
「本当に喜んでもらえたよ。新郎新婦は幸せそうで、もうべろんべろんになってたよ」と言う彼自身もかなり千鳥足になっていた。
「自分のやってることが人に喜んでもらえるのはとても嬉しい。この道をずっと進んでいきたい」とふらふらしながら語っていた。

「二次会は、嬉しいよね。母さんたちもくらぶの人たち30人以上に集まってもらったよ。みんなに祝福されて、その後5年ぐらいはケンカして『もー、離婚する!』って思った時もその時の顔、顔、顔を思い出して考え直せるぐらい、楽しい思い出だった」
「素敵な話だね」
ってな話をしている息子のズボンの膝には2センチほどの擦り切れた穴があいていた。
これで結婚式二次会のMCはいかがなものかと思ったが、新郎新婦は下北沢のお店の関係者だそうで、彼らの仲間内ではこれで一向にかまわないのだろう。
そこまで口を出すのはどうかと思ったので、指摘するにとどめておいてよかった。

息子「本当に、今日は自分を誉めてあげたいよ」
私「スポーツ選手なんかでさ、勝って自分のために喜ぶ、自分を誉めてあげる人が多くなってよかったよね。日本人は謙譲の美徳のせいか、昔は『これからも精進します』『皆さんの応援のおかげです』って言う人が多かったけど、自分が頑張って自分が勝ったんだから、もうちょっとその喜びをわがものと思ってもいいよね」
息子「やっぱり北島康介のアレが一番よかったなー。『ちょーきもちいー!!!』がね」
そうだろうな。自分で自分に満足できた時の気持ちは何にも代えがたいよね。

「もっと話したいことあるけど、今日は酔っぱらっちゃったから、明日ね」と言ってふろも入らず寝てしまった。
20歳過ぎてもほどんど我々の前では酒を飲まかったしけっこう強いとみえて、酔った様子を見たことなかったんだよね。
面白いひと晩だった。


今日のマンガは中村明日美子の「同級生」シリーズ。
高校で出会った男子2人が深く愛し合い、まわりの反対も東京―京都間の遠恋も何するものぞハッピーエンドにたどり着く美しい美しい話だ。
布教したいのと綺麗にスキャンし直したいのとで、ブックオフで探し回ってしまった。
もちろん布教のため、友人に貸す。
雲田はるこの「ねこっ毛シリーズ」と同じぐらい安心して読める、と言ってもらったのは望外の誉め言葉だろう。
こうして沼は深くなっていくのだ。
次はもうちょっとディープなやつを勧めてみよう、とかほくそ笑んでる自分が怖い。
あまり過激なBLは好まないが、男女の恋愛に障害が少なくなっていく現代、本当にピュアな愛情は同性同士だと描きやすいのかもしれない。
ロミジュリ的なあれですね。
利人くんと光くんの満ち足りた笑顔で「はぁ~…尊い」とつぶやいてしまうのはお約束。
好きな人と一緒に暮らせるのは本当にいいね。

22年11月21日

3泊していった息子がついに帰った。
いきなり寂しい。
宿として使われてるだけで「親の顔を見に行って親孝行しよう」なんて殊勝な心掛けからでないのはわかっていたが、こうもあっさり酔っ払った翌日いきなりさわやかに帰られるとなぁ。
昨夜話していた「もっと話たいこと」について質問したら、
「忘れた!もういい!」と来た。
酔ってるうちに聞き出しちゃえばよかったな。
でも、仕事がうまくいってるのが嬉しいんだと思う。
他の団体と組んだり、別の仕事が入ったり、だんだん「業界のヒト」になっていくようだ。

しかしやっぱりくたびれたな。
ずっと週末に忙しくしていたから、今週こそ本当にのんびり、って2人で期待してたんだ。
息子がまさか金、土、日と3泊もしていくとは。
しかも来るのが必ず仕事終わってからの真夜中だから、昼に動いてる系統の我々はついていけないんだよ。
ま、結婚でもしたらもうそれほど頻繁には来てくれないだろうから、今のうちに楽しんでおくか。

そうそう、共通の古い友達に会わないか、という義弟への誘いはまったくうまくいかなかった。
そもそもメールを読んでなかったらしい。
せいうちくんが電話して確認したら、
「メール、読んでない。最近あまり見ないから」。
せいうち「Wくんが京都から来るんで一緒に食事しないかってお誘いなんだけど。18時にうちの駅前」
義弟「そんな時間に行けるわけないじゃん。早退も半休も有休も無理。いろいろ忙しい」
せいうち「じゃあ、食事のあとうちに来てもらってお茶でも飲むから、そこで合流するのは?Wくん帰りはそっち方面に行くから、一緒に帰れるよ」
義弟「そんなに遅くは無理」

うーん、「考えておく」と最後には言ってたけど、「誘ってくれてありがとう」とはひと言も言わなかったなぁ。
自己中心的な人ではあるが、それに「仕事」という重しがのっかるとさらに傾向が増すのか。
あんまり頭に来たからメール打っちゃった。
「社会人なら、誘われたら都合が悪くても『お誘いありがとう』ぐらいは言った方がいいですよ」と。
翌日、せいうちくんに電話がかかってきたらしい。
「ものすごく気分が悪い。もう行かない」と断ってきたって。

私のせいではあろうなぁ。
でも、この調子で会ってたら絶対どっかでケンカするし、まさか京都からはるばる来たWくんにそんなとこ見せるわけにもいかない。
「ごめんねー」とせいうちくんに謝ったら、
「うさちゃんが謝る必要ないよ。むしろ『よくぞ言った!』ってほめるよ」と優しいせいうちくんは言う。
Mくんも妻たるせいうちくんの妹さんに慰めてもらえばいいかと思う。

息子にそんな話をしたら、
「あいかわらず子供っぽいね」と笑っていた。
たぶん、このおっさんおばさん双方のことだろう。
ホント、いい歳をして自分でも恥ずかしいいや。


今日のマンガはこざき亜衣の「あさひなぐ」全34巻。
先日軽くご紹介したように、高校部活で薙刀を始めた少女の話。
薙刀って、競技人口が少ないからインターハイに出られるチャンスの多い「高校スポーツのアメリカン・ドリーム」なんだって。
運動神経がなくて冴えない女の子がどんどん強くなっていく。
しかし高校2年のインターハイで話が終わっちゃっていいのか。
普通は3年の夏までやるんじゃないのか、いやそれ以上にインカレや大人の競技として、これからまだまだ描くことがたくさんあるだろうに。
今は「セシルの女王」という歴史モノを描いているが、早晩「あさひなぐ」の続きを描くことになるんじゃないだろうか。
その日を楽しみに待っている。
主人公の「あさひ」ちゃんが「薙ぐ(薙刀を振る)」から「あさひなぐ」なんだろうけど、この発音、「たかはなだ」と「あしだまな」と「つのだ☆ひろ」のどれだと思う?
作者は「あしだまな」の発音だと書いてるのに、映画化された時のタイトル読みが「つのだ☆ひろ」でショック受けたらしいよ。

22年11月22日

1日中寝てた。
さすがに息子の相手でくたびれたらしい。
睡眠薬も手伝って、とろとろとろとろと眠って過ごした。
合間には清水玲子を読む。

「秘密 THE TOP SECRET」全12巻のシリーズもよかったし、続編の「秘密 SEASON 0」もよかった。
すべては一番最初の大統領暗殺の短編で語り尽くされている気がする。
あれ1本で、大変な名作だ。

ついでに「月の子」全13巻を引っ張り出して読んだら、これまたいい話だなぁ。
本人は「反原発とか、そういう気持ちはぜんぜんなかった」と書いてるが、聖書に出てくるモチーフとしての「にがよもぎ」が「チェルノブイリ」って植物だなんて言ったら、もうそっち方面しか考えられなくなる。

息子のカノジョからLINEが来た。
「コロナも流行ってきたし、向こうのお母さんも今、お忙しいだろうから入籍の前に無理に家族顔合わせしなくてもいいよ。好きなタイミングでしてちょうだい」と息子に言っておいたので、「母も私もぜひ入籍前に家族顔合わせをしたいと思っています」と伝えてきたのだ。
今週の土曜にランチなら向こうのお母さまもご都合がつくらしい。
さっそく前に1回予約を入れて流れてしまった上野の鰻屋さんに予約の電話をしたけど、やはりこの土曜のランチはもう予約いっぱいだそう。

ならば上野にこだわることなく大宮でもよいのではないか、とカノジョに丸投げしてアレンジをお願いしてしまった。
探してみてくれるって。
もう入籍が見えてきたなぁ。しみじみ。

「息子くんと夫婦になれるのも嬉しいですが、お母さん、お父さん、お姉さんと家族になれると思うと本当に嬉しいです」と書いてくれるカノジョに、せいうちくんも私も泣いてしまった。
親族の間でもせいぜいよく言って「可哀そうに」としか言われず腫れ物に触るように扱われ続けた娘が、「お姉さんになってくれる」と喜ぶ人に会えた。
全部カノジョと息子のおかげ。
娘ちゃん、あなたに「妹」ができるんだよ!

人の結婚式の二次会MCでは膝に穴の開いたズボンですませてた息子だが、今回は超略式の結納のようなものだ。しかも自分の。
服装で示せる敬意もある。
あちらのお母さまのお気持ちに配慮し、ズボンを2本、送りつけておいた。
そのうえでメッセージを送る。
「超略式だけど結納みたいなもんだね。前と同じボトムズ2本、送らせてもらいました。あさってぐらいに着くと思う。中身をよくわかってるつもりの母さんたちでも、息子の晴れの姿を見たいものなの。いきなりのお節介、ごめんね!土曜を楽しみにしています」
彼も納得してくれたらしく、「ありがとう」と返事が来た。
楽しみだなぁ。


というわけで、今日のマンガは清水玲子の「秘密 SEASON 0」既刊10巻。
前にご紹介した「秘密-TOP SECRET-」全12巻の続き。
あいかわらずキレーな絵でグロイことを描いている。
ちょっと読み返し始めたら止まらなくなって、結局両方ともしっかり読んでしまった。
やはり、先シリーズ最初の「大統領の秘密」の話で22巻分かけて言いたかったことは終わっちゃってる気がする。
それでも命の尊さ、脳内の記憶を視るという究極のプライバシー侵害に人はどう対峙していくかが丁寧に描かれている。
長編好きの私には「月の子」全13巻とか「輝夜姫」全27巻なんかも大好物だ。
こういう人に「誰でも知ってる話題作」を描いてほしい。

22年11月23日

せいうちくんと、お義父さんの入所している特養に初めて面会に。
FBで広告を見て「行きたいなぁ。でも、都心は遠いなぁ」とあきらめていた和物ミニチュア展「紅ミュージアム企画展『ちぃさい、ちっこい、ちっちゃ!』」、だったのだが、よく考えたら特養からけっこう近い。
ついでに行くことにして、やっと見られた!
日本に昔からあったミニチュア、雛道具から発展した子供のままごと用の炊事道具や台所全体のミニチュアなど、たくさんの展示が素敵だった。

https://www.isehanhonten.co.jp/cat-museum/2022exhibition/

実はミニチュア好きなんだよね。
家が散らかるもとだから蒐集は控えてるけど、できればディアゴスティーニの「ムーミンハウス」を作りたいぐらい。
小さい頃からリカちゃん食器セットなども好きだった。
今はTwitterとかに作品を上げてる人も多いから、個人の作品を見たりして楽しんでいたが、本格的なミニチュア展に行くのは初めてかも。
「やっぱり家にひとつは欲しいなぁ」と思わされる。



化粧品メーカー主催なので常設展の化粧品の歴史も楽しく、昭和中期のものには母親の鏡台で目にした覚えのあるものもいくつか。
面白くて勉強になるミュージアムだった。


それからせいうちくんが目星をつけて予約しておいてくれたイタリアンで昼食。
とても雰囲気のいい、美味しいトラットリアだった。
前菜はモッツァレラチーズと生ハム。
店で作っているらしいフレッシュなモッツァレラは味がしっかりしてて口触りは柔らか。美味しい。
4種チーズのピッツァには蜂蜜のポットが添えられていて、少しかけて食べてみたらチーズケーキのような、でももっとコクのあるチーズの風味が口いっぱいに広がった。
パスタはマトリチャーナを大盛りで頼んだら「シェアされますか?」と聞いて、最初からお皿ふたつに分けてくれていた。
ドルチェとエスプレッソまで楽しんで、久々にきちんと外食をしたよ。
いいお店をありがとう、せいうちくん。


ずっと小雨の降っている寒い日で、でも歩くと暑くて汗が出ちゃう私は上着を脱いで七分袖のボーダーTシャツで歩いてた。
隣を歩くせいうちくんはシャツにトレーナー着た上から上着着てる。
広尾の日赤の中を抜けて近道したようだが、ずいぶんと長い散歩になった。

広尾とか麻布とか南青山とか、全体によくわからないんだがなんだか別の世界のようだった。
大使館があったりする関係なのか祝日で病院や学校がお休みだからひと気がないのか、ひっそりとしてて豪華な建物が建ち並んでいた。
さすがは世界に冠たる大都市の、それも名前を聞いただけで高級なエリア。
田舎者なので本質的に体感的に感じるってわけにはいかなそうたが、ちょっと意味が分かった気がした。

特養のお義父さんはお元気そうだった。
せいうちくんは施設側からも以前面会に行ったお義母さんからも何も聞いていなかったらしく、「コロナワクチン接種証明書」の提示を求められて困っていた。(もちろん私の分もなし)
せめて写真にでも撮っておけばよかったのだが。
それがないため、室内での直接の面接はできず、ホールの窓の外に置いた椅子2脚に座り、室内のお義父さんとガラス越しに対面。
音声はスマホとタブレットで会話する。
かろうじて屋根はあったし昔の病院によく置いてあった布のついたてで囲ってくれたので、雨も風も困りはしなかった。

「元気?妻のうさこだよ、覚えてる?」とせいうちくんが先に言ってしまったからか「はじめまして」とは言われないですんだが、認知症が激しいそうなのでどこまでわかっているか。
「元気に働いてますか」と聞かれて、
「お父さんはいくつぐらいまで働いてたの?」とせいうちくんが聞くと、
「70歳ぐらいまでだね」。
せいうちくんの記憶では62、3歳で退職してそれ以来ずっと年金で暮らしてるはずなんだが、そして今でさえ65歳定年でついこないだまでは60歳定年だったのだが、サラリーマンだったお義父さんはいったいどうやって70歳まで勤めたって記憶になってるんだろう。
「仕事がある限り、働くでしょう」と堂々と言われ、早く辞めたいせいうちくんは少し困った顔をしていた。

「特にほしいものはない。しいて言えばお金かなぁ」と言うので、
「お金使う時があるの?」と聞くと、
「そりゃあお金はあればあるだけいいでしょう」って答え。
生きてる限り年金で賄える特養に入ってるんだから、もうそのへんの心配はないと思うんだけど、それが気になるのが認知症の症状なのかな。
「お宅はどう、仲良くやってる?」との問いに2人してぶんぶんうなずいたら、
「そう。仲がいいのはいいよねぇ」としみじみしていた。
お義母さんが心配していた、「家に帰りたい」「いつ帰れるのか」といった質問には全然ならなかったのでよかった。

あと、先月面会に行ったお義母さんは「ひげが伸びている。電気カミソリを使えないのではないか。使い方を教えるように施設の人に頼んでくれ」とせいうちくんに言っていたようだが、特に見たところひげが目立つこともなく、本人も「毎日剃っている」と言うのでこれは不問。

面会時間は30分あったところ、途中からお義父さんが興味をなくしたように見えたので、早めに切り上げた。
窓の向こうで職員さんに「もういいですよ」と言われたのか、立ち上がって「さよなら」と言い、振り返ることもなくエレベータに消えて行った。

帰り道は、なんとなく寂しかった。
せいうちくんはきっと長生きして認知症になる家系だろうな。
父方の親戚は全員と言っていいほど認知症になってるもん。
「あなたがそうなったら面倒みられるかどうかわからない」と正直に言った私自身、せいうちくんが私の存在も私への気持ちも忘れてしまうなんて考えたくない。
「大丈夫だよ。きちんとキミを見送ってからのことにするよ」とは言ってくれるけど、そういうのって思いのままにはならないことだからね。
いろいろ考慮すると、どう考えても私の方が先に死にそうだから大丈夫だとは思うんだけど。

10時に家を出て、17時のお帰り。
途中で欲を出して新国立美術館なんて行かなくてよかった。
立ちっぱなしや歩き過ぎは膝に悪い。
なんと今日の総歩行数は1万2千歩近かった。
日頃が「ほぼゼロ」であることを考えると、画期的な数字だ。ああ、くたびれた。


今日のマンガは関川夏央原作・谷口ジロー作画の明治文豪歴史マンガ「坊ちゃんの時代」全5巻。
谷口ジローはもう亡くなってしまって、これも「孤独のグルメ」も新作は増えないんだなぁと寂しくなる。
それほど力の入った、いいマンガだ。
綺羅星の如く居並ぶ夏目漱石、森鴎外、石川啄木らの明治時代の苦悩、作品への向かい方、生き方を見事に描いてくれている。
これ読むまで、あんなに抒情的な歌を詠む石川啄木が「女癖の悪い借金王」だなんて知らなかったよ。
(渡辺淳一の「遠き落日」を読んだ時に野口英世像が壊れたのと同じぐらいのショックだった)
当時の熱気も感じられるこの作品、明治時代を背景にした民衆の力、風俗的な意味合いでも実によくできている。
明治ファンは全員読んでいてほしい。

22年11月24日

午前中うつらうつらしていたらマンション全体に消防点検が行われた。
あちこちでブザーが鳴り、各戸にも防災設備の点検が入る。
恥ずかしいことにパジャマ姿で係の人を迎え入れ、散らかった各部屋の天井にある炎感知器をチェックして回ってもらう。
幸いどれも正常に作動した。
午前10時過ぎてまだパジャマを着てうろうろしてるおばさんには慣れているのか、粛々と作業をこなして隣の家に行ってしまった。

今夜もまたピザ食べていいって。るん。
最近、大きなピザを注文して取りに行き、半額で買うのにハマってるんだ。
もちろん半額でも家計は圧迫するし、体重にも悪い。
でも、バームクーヘンをやめくるみパンをやめレモンドーナッツまでやめた私には、もう食べる楽しみは大して残ってないのだ。
「飽きるまで食べよう」と言ってくれる優しいせいうちくんを頼りに、欲望に忠実に食べよう。

カノジョが大宮のお蕎麦屋さんの個室を予約してくれた。
情報を見ると、美味しそうで素敵なお店。
仕事が早くて的確なカノジョに、これから多くのことを頼ってしまいそう。
息子はまだまだ自分の仕事以外のことにはぽやーんとしてるからね。


今日のマンガは野田彩子の「潜熱」全3巻。
地味でおとなしい女子大生が、バイト先のコンビニに毎日タバコを買いに来るヤクザに次第に惹かれていく。
紳士的なヤクザなので特に彼女が暴力沙汰に巻き込まれるようなことはないが、住む世界の違いはあちこちに散りばめられている。
それでも「どうしようもなく好き」になってしまった彼女はどうしたらいいんだろう。
親子ほど年が違う、相手はヤクザで住む世界も違う。
短い話らしく最後はぐぐっと締めに来るストーリー、緊張感のある絵柄もあって引き込まれた。
3巻でこれほど完璧にオチをつけるって、けっこう難しいような気がするよ。

22年11月25日

心臓の定期検診。
今日は先日せいうちくんの会社がお金出してくれた「主婦検診」の結果を持ってきてねと言われている。
メタボなのはしょうがないとしても、クレアチニンの数値が高いのと乳房X線で「要注意。精密検査を要する」と書かれているのは気になる。

午前の部の終わり頃ならすいてるかと思ったら、待合室ぎっしりの待ち状態。
金曜なのがいかんのか、11時半ではまだ早すぎて、受付終了の12時直前まで粘るべきなのか。
でも終わり際に駆け込んでくる患者って、あまり喜ばれなさそうなんだもん。

本を読んでいたので退屈もせず、1時間近く待って江口のりこ似の女医さんに診てもらった。
さっそく測るワーファリン値はほぼ理想の2.1。
1. 5mgのワーファリンが正解なのか!
「やっと落ち着きましたね」と先生もほっとしているようだった。

健康診断の結果については、クレアチニンの数値は私の場合薬を飲んでる影響かわりと上下するから、このぐらいなら大丈夫でしょう、とのこと。
乳房検診は、「駅前に乳腺外来がありますよね」と聞いたら、
「私もあそこしか知らないんです。でも、いい先生ですよ」と言っていた。
特に紹介状がなくても、健康診断の結果「要検査」であれば保険適用されるらしいので、紹介状はもらわなかった。

来週診察を受け、来年検査を行うだろう内視鏡病院、こっちに出す紹介状をもらう。
これがあると検査費用が抑えられるのだ。
先日ZOOM飲み会で長老が内視鏡受けたって言ってたが、彼は胃腸の残留物をなくすための検査食を、
「病院でセット売りしてくるやつは高い。自分でお粥やウィダーインゼリーみたいなの買えば十分!」と言い放ってた。
ケチ道もここまで行けば尊敬に値するという見本のような人である。

明日に迫った「両家顔合わせのお食事会」のために、今から美容院に行く。
超略式だからめかし込む必要はないが、小ざっぱりとはして行きたい。
息子はちゃんと無精ひげをそってくるだろうか、穴の開いてないズボンをはいてくるだろうか、そんなことばかりが気になる。
しっかり者のカノジョが見つけてくれた「蕎麦屋のコースを個室で食べる」席になりそう。
あー、気ぜわしい。嬉しいけどキンチョーする!


そんな中、今日のマンガは山田芳裕の「望郷太郎」既刊7巻。
てっきり異国にあって日本を思う太郎氏の話だと思ったのだが、実際大きくは違わないのだが、想像していた成り行きをはるかに超える導入部だった。
実に面白い。
文化史や歴史を趣味とする人にはたいへん楽しめると思う。
山田芳裕はこないだ「へうげもの」を読んで大感動してたら息子から「これも面白いよ」と「望郷太郎」を勧められた。
この人、絵はヘタなんじゃないかと思ってきたが、実はすごく上手いんじゃないだろうか。
「デカスロン」もいつの間にか読んでいる息子推薦の一作。

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