おじさんの密かな楽しみ

「こっくりさんこっくりさん、あなたはそこにいますか」
おいおい、スマホが普及してからだいぶたつ現代だぜ?このご時世によくやるぜ、まったく。
「こっくりさんこっくりさん」
はーい。いますよ。
鳥居の上にあった十円玉をYESまで動かして応えた。
「わ、今動いたよね、十円玉」
「ほんとだね、すごい」
「下らねぇな、どうせお前らが動かしてんだろ。人差し指使ってこっそりさ」
おいおい。折角出てきてやったってのになんだこいつは。信心ってのがねえのかね。
ん?今回の人間は女二人に、男が一人か。

「ほら。マイ、聞いちゃいなよ」
「えーどうしようかな」
え、なに。また色恋沙汰かよ。いつの世も変わらねぇな。
ったく何が悲しくってお昼時にガキにかまってなくちゃいけねんだ。
「な、何の話だよ」
うわー。この坊主食いつきやがった。お年頃ってやつかぁ?
「こっくりさん・・・あ~聞けない。恥ずかしいよ」
「えー、いいからいいからぁ。聞いちゃいなってば」
あー、たるい。中学生女子はこっからが長えんだよな。
「えー、でも。やっぱ恥ずかしいよ」
もうどーでもいいからなんか言ってやれって。ほら、この坊主さっきからすんげー焦らされてるじゃねぇか。


「平川君の好きな人って、誰ですか」
「え」
「キャー言っちゃったー」
おいおい。この坊主思いっきり失恋してんじゃねえか。
えーっと、この文献によるとー。

ハ、ツ、キ、マ、ア、ヤ。

え、なになに。なんか急に静まり返っちゃって、どうしたのさ。

「え、私?」
「え、うそでしょ?」

おいおい。どうなっちゃってんのよ。
もしかして、いやもしかしなくったってこりゃあ、三角関係じゃねぇか!?
やばいな、激熱だなぁ!!
おじさん盛り上がってきちゃったよ。楽しいなぁ!おい!

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