行きつけのショコラティエが消え続ける悲しみが抑えきれないので書くnote

えっ、なくなるの。ドゥバイヨル。
ええっ。
確かに最近いつ行っても空いてるな、とは思っていたんだけど。

なんだかんだ1番の行きつけのお店だった。
滑らかな口溶けと深いカカオの味わいのボンボンショコラ、完成度の高いパフェ、焼き菓子…どの品を取ってもレベルの高い、素晴らしいショコラティエ…
また、フォトジェニックということで有名だったアバランシュ。初めて見た時は(コレ、ピエールエルメのパクリちゃうんか)と思ったけど、かけるショコラショーがドゥバイヨルの方が好みだったから、結局ドゥバイヨルに通うようになった。

バタークリームを使うケーキも今はなかなか食べられない。ドゥバイヨルはエシレバターを使った生ケーキを出していて(コロナで出さなくなったけど)これがまたビックリするほど美味しかったのだ。「バタークリームはもったりしていて胃もたれする」とか、そういうマイナスの先入観を打ち砕いたあのケーキ。

そして極め付けはトリュフ。四角くて細長い、トリュフとしては珍しい形状のそれはコーティングのショコラが薄く、手に取った時に「これ、ホントにトリュフ?珍しい形のオランジェットとかじゃない?」と疑うほど。カフェ、キャラメル、バニラの3種類。自分はバニラが1番好きだったけど、友人に食べてもらったら人によって好みが分かれる。そのくらいどれも完成度が高いのだ。
当然、そのまま食べても濃厚で美味しい。しかし、1番美味しいのは冷蔵庫で30分だけ冷やしていただくことだ。
ドゥバイヨルのトリュフはトリュフとしては珍しくコーティングのショコラが薄い。そのため、少し冷やして口に含むと「パリッ」と砕けてそのまま溶けていく、最高のコーティングなのだ。

フランスらしい口溶けの良さと、ベルギーらしいぶん殴ってくるような味わい。最近流行りの「豆の個性を尖らせよう!」という方向に安易に流れず(それはそれで好きなんだけど)、「コレが1番うまいんや!」と俺たちを黙らせる、最高の一品を出してくれる。ああ!そんなドゥバイヨルが!日本から消えてしまう!!

悲しい。悲しすぎる。
最近、自分の好きな味がどんどん街から消えていく。もう時代遅れの味覚なのかしらん。
ピエールマルコリーニはエクレアの皮を柔らかくしたし、ファブリスジロットは気付いたらなくなっていた。エクレアの皮は硬くて良かったのに!!!「うちの出すエクレアはコレなんだよね」という感じで出してきた硬い皮のエクレア、ナイフで切って口に運ぶと「なるほど!コレは硬い方が美味い!すごい!」となったのに…特にパッションフルーツのエクレアはきっとアレが正解だったのに…

自分の好きなチョコレートは日に日に日本から消えていく。おれはミシャラクのオシャレなマフィンみたいなボンボンショコラ(クーニーズ)っていうらしいとか、ジャンポールエヴァンの最大値を狙っていくから時々新作でやらかすボンボンショコラとか、「お土産はとりあえずこれでいっか」となるベルアメールのパレショコラが食いたいわけじゃないんだよ!!!いや美味いけど!!!!

俺は最近流行りのコンセプトに寄ってない、尖りすぎてない、お菓子としてのチョコレートの正解を出し続けるあんたたちのショコラが、ケーキが食べたいんだよ!

ビーントゥバーのタブレットが気になる日もある。マカリヨンなんていう、「マカロンにチョコかけたら美味くねえ?」っていう、近所の小学生が考えたようなお菓子を食べたい日もある。
濃厚なテリーヌショコラが食べたい日もある。
でもベースは!!ベースはあなたたちなんだよ!
夏はドゥバイヨルのショコラショー、冬はドゥバイヨルのトリュフ、春や秋には季節のお菓子やショコラが出ていたらそれを買って食べる。なければ普通にお菓子を買う。

もう本当に助けて欲しい。誰か、ベースになるショコラティエを新しく教えて欲しい。やっぱりラメゾンドゥショコラになるのかな?でも、ラメゾンドゥショコラにこのトリュフある?バタークリームのケーキは??
ドゥバイヨルは失うにはあまりにも大きな存在だ。
チョコレート好きな方にはドゥバイヨルをベースに店を選んでいた人も結構いるんじゃないだろうか。

ホントどうしよう。とりあえず閉店までにドゥバイヨルに行ってトリュフ買いつつタントマリーでケーキ買って、カカオサンパカでタブレット買って、帰り道はフラフラとペニンシュラでも行こうかな。そういえばペニンシュラのパンペルデュ(激ウマフレンチトースト)も無くなったんだよな。あー、もう勘弁してよ。またお店探しからスタートじゃん。ちょっと楽しみになりつつも行きつけの店がなくなるのはやっぱり悲しい。

この記事が参加している募集

おいしいお店

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?