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プリカツ

それはある日、突然やってきた。
#渋谷パルコ がこんなに地下ランチ充実したんかーと感心してカレー屋に入り、カレーをサクッといただこうとしたそこにあったのは、カレー屋に似つかわしくないプリンの文字。金型のカップに冷やしたプリッとしたその物体をパカッとひっくり返すとたらーりとカラメルソースが落ちてくる昔ながらの #硬めのプリン 。辛めのルーをいただいた後の、癒しにも近いその甘みにこれは意外と合うなと感心してインスタにアップする。そこで見かけたあるハッシュタグ。そう、何十年と生きてきて未だその言葉を目にしたことはなかった。そんなものがあるのを知らなかった私は無知だった。そしてそんな秘密結社みたいなお互いを知らぬまま同じものに囚われ追いかけ続けているメンバーがこの世に存在することを、私はその瞬間に知った。そして即入会したのだった。それが私の #プリ活 との出合いだった。

その日からだ、私のカラダには、息を吸うように、歯を磨くように、瞬きをするように、プリンを追いかける日課が新たに課せられたのだ。プリンを求めてあちこちのお店に突入する、そんな活動を人は#プリ活と呼ぶ。まあ、これが意外と流行りつつあるものらしい(煽)。

🍮なぜプリンなのか?

実はスイーツ男子(子じゃないけど)である。
がしかし、一番好きなスイーツはフォンダンショコラである。
次に好きなのはモンブランであーる。次はガトーショコラだし。。。

しかし、好きなケーキたちを差し置いてプリンなのは、しかもHard Puddingなのは、そう、硬めのプリンは家で食べられないのだ。ケーキは喫茶店で食べても家にテイクアウトしても同じ味で同じ食べ方をする。しかし!プリン、しかもカップに入った柔柔なやつはケーキと同じだが、硬めプリンはその性格上、キッチンから出してきてその場でひっくり返してカラメルを上から垂らしてこそのものなのだ。ハードプリンのテイクアウトはあまり聞いたことがない。

リモートワークな昨今、家で甘いものを食べたいからと言って椅子に1日中根っこ生やしてるのも体に良くない。しかしこのお店でしか味わえない硬めプリンを食べにいくためにカフェを回れば、体を少し動かし、外の空気も吸い、新しい街に出会い、自分では淹れないコーヒーをもいただくことができる。もちろんリモワの前提でだ。毎回違う街の違うプリンを追い求めることで常にリフレッシュした場所で余暇も仕事もごっちゃにして楽しめる。そして美味しい。こんな楽しい活動あるだろうか(いやない)。

🍮プリンって同じくない?

お答えしよう。
「卵と牛乳と砂糖じゃん。」
私もそう思っていた。
「そんな違いなくない?」
と思うでしょ?でもそれが食べ比べてみると色々違うのだ。
そこにはソフトなプリンにはない世界が何万光年と広がっているのだ。

プリンには基本2つのレイヤーしか存在しない。
プリプリな本体と茶色いカラメル。
そんな二分された中に小宇宙が待っているのだ。

本体の”硬さ”はそれぞれお店で違う。なめらかさもシルクのようなものから空気の入ったような朧豆腐のようなものまで。さらに(意図してかせずしてかはわからないけど)外側と内側の微妙な硬さの違いを感じさせることでプリンに深みを作ってるマイスターもいる。”甘さ”と一言でいえど、単純な甘さの度合いだけでなく甘さの質=甘ったるいものやすっきりとした甘さのものもある。大きさもまちまちだ。食事の後のおまけ的なちいちゃいプリンから、「それ食事ですか?」的なドデカプリンもあり、それぞれの役割が違う。形の演出も大きく食べた感触に変化をもたらす。円柱的なものは硬さの中にも柔らかみを醸し出し、立方体プリンのシャープな角には威勢と主張があり、プリンの角で口の中を怪我するんじゃないかと一瞬怯んでしまう輩もいるのではなかろうか?

プリン本体だけでは演じきれない味の脚本は皆カラメルに託しているようだ。決してカップ入りのプリンでは実現できない金属カップから取り出した、そしてひっくり返すことで富士山を雪で覆うかのように全体に垂れてくるカラメルソースによって、時にはまろやかさ、またある時には香ばしい奥行きを広げたかと思えば、本体の乳な柔らかさにチャレンジするかのうような糖のビビッドな甘味が舌に討って出てくる。ある意味プリンのコンダクターとして全体の味を指揮してその行く末を決めてしまうのもカラメルソースだ。それぞれのお店がそれぞれのレシピで小宇宙にさまざまな銀河を描いていく。それが硬めプリンなのだ。

🍮何より飽きが来ない

これが結構大事な要素で、何度食べても翌日にはもう食べても良いかなあという許容ができる。人間は硬めプリンを食べるために生まれてきたのではないか?と勘違いするほどに。毎日牛乳飲んでも翌朝また飲めるし、朝茹で卵、昼オムレツ、夜卵かけご飯でも不思議ない感じなのと似てるのかも。スルッといただきその場で満足して、また次の日も硬めプリンを求めて流離える。

決して無茶苦茶美味くてほっぺ落ちそう!みたいにならない分、それを食べ比べていくと、また別の店のこのプリンどんなのかなあって軽い気持ちで試してみたくなる。それが硬めプリンなのだ。


という能書きを踏まえて、これまでの #プリ活 記録をここで共有しておきたい。


🍮プリ活記録集


Good Luck Curry 渋谷(渋谷パルコ)

カレーの後にデザートプリンが食べられる。​​


4/4 SEASONS COFFEE(新宿三丁目)

上からエスプレッソかけて食べるやつ。キャラメールソースバージョンもあるようです。プリンはしっかりしてて満足度高し。


パーラー大箸(東急プラザ渋谷)

思ったより小さかったけど、カラメルの甘さがプリンを引き立ててくれるところにホイップがまろやかな舌触りに。佳き。硬すぎないちょうど良い頃合いでした。
ランチにつけると300円で食べられる。単品だとダブルとかトリプルができるらしい。どんなんだろ。


Åre Café(渋谷宮下公園)

ここもハードとまでは言えない硬さだけど #富士山 風。
セットにしたパスタも美味しかったです(パスタの方が私的にはオマケ)。


The Depot(東京駅八重洲地下)

今日の朝プリ活。たっぷりのカラメルがほんのりほろ苦いのが良い。テカリのあるルックスと、四角いのも悪くない。しっかりとした硬さ。コーヒー(深めの少し酸味ある味わい)のカップも面白い形のセット。

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カフェ&ミール ムジ 新宿(新宿靖国通り沿い)

見た目よりしっかりした感じだけど、このフードコートの中で食べるところからして、味はそこそこ。カラメルが昔子供の頃に固めて作ったミックスに入ってた溶かす粉の味に似てる。
コーヒーも浅めで自分の好みではない。


Butter"mass"ter(代田橋)

ここの #プリン うまいっ!
見た目がどっしり!
そして、スプーンを差し入れる瞬間、クリームの雲へと切り込み、カラメル部分の頂点に到達したか、とその瞬間、まさに「プ」となって「リン」となる!天辺の硬さとその下の柔らかみが何とも唆る感触。それでいてしっかりどっしりとした佇まいが頼もしい。
写真では分かりにくいかもしれないがボリューミーでコーヒーとのセットで1180円と高めではあるが満足度はかなり高いです。 #コーヒー も苦味強めの好みの感じで美味しかったです。
お店の人も気さくで丁寧。直前に近くのひどい対応の喫茶店に入ってしまい気持ちが荒んでたのだけど、お陰でほっこりしました。


備屋珈琲店(恵比寿駅東口)

もうこれは食事だ。どっしり重い。ドアストッパーと呼んでも良い。底にクッションのように敷かれたスポンジがタレに浸っている姿は和食とも見紛う出立ち。横に添えられた赤い実を間違えて齧ってしまったら、そうそれは胡椒です。辛っ。
蛇足ですが、カウンターでコーヒー頂くと、好きなカップを選べます。


Egg Baby Cafe(御徒町駅)

ここのはカラメルはシャバッとしてて、香ばしさも少なめ。四角くデカめのどっしりタイプだが味わいも浅い。何となくお腹の張るプリンで、若い女の子たちがキャッキャするほど盛り上がる点はこれといって見当たらない。
まあ、プリンじゃなくて卵好きな人のお店らしいのでサンドイッチとか頼まないとなのだろう。
店内今どきなコンクリ打ちっぱなしの気軽に入れる感じで友達とちょっと行ってみる時には良いんだろうな。
プリン評価としては普通かなあ。


喫茶トリコロール(上野松坂屋)

流石だ。やはり上野松坂屋に入っているだけあって(何が?)この昔からそうであったであろう、と勝手に想像させる硬い(硬めではなく)プリンは本体の甘さはそれほどでもないが、カラメルの香ばしさはしっかりとしている。
そして、頑強とも言えるほどの、グラスを揺らしてもプリとも震えないガッチリさは目を瞑って鼻を摘んで食べればゆし豆腐と思える感じの均一な硬さを保つ。あっさり且つお腹を満たしたい派に受け入れられるタイプの子だった。


そして私の #プリ活 はまだまだ続くのであった。

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