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【300字小説】ロマンチックなリアリスト

 「あなたを想うこの気持ちも、いつか消えてなくなってしまうのかも。そう考えただけで涙が出そう。」と言って本当に泣いていたあのナミちゃんはどこへ行ったのだろう。もしかしたら遠くへ旅行にでかけ、綺麗なものをたくさん観て、帰る場所など忘れてしまったのかもしれない。

 僕はナミちゃんの飼い猫で、あの頃の彼女は確かに恋に溺れてた。だけど今のナミちゃんは、毎日仕事に遊びに忙しそうだ。先月さよならした恋人のことなど、もうほとんど思い出さないみたいに。

 思い当たる節があるとすればひとつだけ。現実主義者の僕があの涙を舐めたから、儚い魔法が解けてしまったのかも。でもただ確かなのは、ナミちゃんが今日も元気だってこと。

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