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エッセイ集

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現在や過去にある想いを言葉にしました。
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行く宛のないダイレクトメール

午前中に膝の具合を診てもらいに市立病院の整形外科へと出かけた。先生の忠告どおりに筋トレをしているので、以前より膝の痛みは減ったのだが、膝のサポーターを外すと痛くて真っ直ぐには立ってはいられない。それでもかなり症状は楽にはなったのだが、今はそれよりも膝の裏側が痛いのだ。仕事中にずっとサポーターをして動き回っているので、膝の裏の皮がむけてしまって、ただれている。これが痒いし痛い。 サポーターをしないと膝が痛いし、サポーターをすれば膝の裏が痛い。……泣けてくる。 貼るタイプの鎮

膝の痛みを我慢していたら両膝が痛くなる!

一ヶ月くらい前から右の膝が痛い。伸ばすとたまにポキと音もする。水がたまったのか? 骨が良くないことになったのか? と思い、慌ててカルシウムを摂取しようと魚肉ソーセージや煮干しを毎日摂るようにしたのだが、急に体にカルシウムを摂り入れても膝が治るはずもなく、サポーターを買って膝をかばいながら生活をしていたが、今度は左の膝に違和感が……。数ヶ月前に喉の痛みで市立病院へ来院して以来、再び不安な気持ちで病院の待合室のシートに座ることとなった。 歩くのが苦痛だ。仕事中はずっとサポーター

電話と黒い洋服

いつものように目を覚ましてからスマホを開くと弟からメールが入っていた。 奥さんが亡くなったそうだ。 彼女は数年前から良くない病気にかかっていた。返信をすると、すぐに弟から電話がかかってきた。弟が泣いていた。奥さんの御両親が朝から来てくれていると言っていた。 僕は電話を切ると仕事に行って、いつものように終わると帰ってきた。何も変わらない。父は死に、母は兄に介護をされて毎日をベットの上で過ごしている。 弟の家では、娘さんを亡くした御両親の想い、お母さんを亡くしたお子さんの想い

幸せを考えてみる

五十肩がほぼ治ったが、今度は膝が痛い。歩くと右の膝にズキンと痛みが走るので片足をかばって歩いている。すぐに膝用のサポーターを購入したのだが、これはとても良かった。膝が治ったわけではないが装着すると、ほぼ普通に歩けるようになった。仕事中など長時間にわたりサポーターをキツキツに締めているので、家に帰ってからサポーターを外すと、膝の後ろが痒くなるのが困りものだ。 この先、どんどん色んな所が悪くなっていくのかと思うと気が滅入ってくる。ゴールは死だし……。 なにか見つけないと。

悪い病気じゃなくて、ほっとした話

ここ数週間、喉の調子が悪い。喉に何かが詰まっているような違和感があり、それを放っておいたら腫れてしまった。 母親の入退院以外で病院へ行くのは久しぶりだった。数年前に歯の痛みに耐えられなくなり歯科医に駆け込んだことがある。病院へ行くのはそれ以来だ。まぁ、その時もすぐに歯科医に行くことはせず、放っておいて虫歯が酷くなり、結果的に治療が長引くことになって後悔をしたのだが……。 転んでどこかを擦りむいたりと外から見てわかる症状なら自己判断でなんとかするのだが、人体の内側の不具合だ

格子に吸い込まれていく心

ここ数年、車で出かけているときなどにカバンや鍵などを必要以上に気にかけてしまう。 出かける時はカバンに財布などを入れて、それを車の助手席に置いておくのだが、走行中にふいにカバンの存在を思い出し 「あれ、カバン持ってきたっけ?」 とドキッとしてしまうのだ。すぐ左を向けばカバンが助手席に置いてあるし、それを見ると安心するのだが、カバンを確認するまで、ほんの一瞬だが焦ってしまう。そのくらいのことならまだ良いが、困ったことに一度カバンを確認してからも数十分すると、また 「あれ

引っ込み思案と誕生日

世界の総人口を調べてみたら80億人もいるそうだ。自分の中の認識では48億という数字が頭の中にあったのだが、おそらくこれは学校の授業で習った時の数字なのだろう。ずいぶんと増えたものだし、ずいぶんと古い記憶でもあった。 わがままに生きてきたし、出不精と引っ込み思案な性格だから、世界には80億の人間がいるというのに、僕の知り合いは年々と少なくなっていく。それでも先日の誕生日には「おめでとう」とメッセージをくれる方がいた。とても有り難く思い、その一言でとても良い気持ちになれた。

待合室とピンクの薬

先週、早朝にスマートフォンを開くと兄からの着信履歴があった。嫌な予感がした。滅多に兄から電話をかけてくることはない。以前、電話がかかってきたときは親父が死んだときと、母親が行方不明になったときだ。 着信履歴の他に留守電とメールも入っていたので、とりあえずメールを開いてみる。 ただ一行「お母さんが転んで顔を切った」とあった。直ぐに兄に電話をすると、どうやら兄が買い物へ行っている隙に母が家から出ていってしまい、その時に転んで瞼の上を切ったとのこと。かなり切れていて、血が出ていた

朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足。さて、これは何?

子供の頃に聞いた「なぞなぞ」だ。答えは人間。 生まれた時は手をついて歩くから4本。そして2本足で歩くようになり、老いて杖をつき3本足で歩く。 調べると元はギリシャ神話らしい。スフィンクスが出す問題が上記の「なぞなぞ」で、その問いにオイディプス王が答えを解いた。 母に買った「手押し車」を母も兄も使うことがなかったので「杖にすれば良かったかな」と実家の帰りに考えていた時に、その「なぞなぞ」をふと思い出した。 先日、スーパーに買い物へ出かけた時に年配の女性の方が、ビニールでパウ

見えるものと認識するもの

ずいぶんと前から新聞を読まなくなった。まず目を覚ますとスマートフォンで様々ジャンルのニュースや話題の中から面白そうなものを選び目を通す。 今週末に近所のショッピングモールで開かれる面白そうなイベントや新発売された何枚もチーズが入ったハンバーガー。 昔からテレビや映画で見ていた方の訃報の知らせや悪いニュースに目が留まる。 今日は久しぶりに母親とスーパーへ出かけた。兄が買い物に行きたいと言うので『お母さんも連れて行く?』と母に声をかけてもらった。めずらしく同意する母。病院へ

肩の痛みと胸の痛み

いつからだろう。朝起きると体のどこかしらが痛い。ソファで寝ているせいもあるのだろうが、不摂生に歳を重ねた結果だろう。今更ながらに胃薬とサプリを食後に飲み込む。 ここ最近は週に何度か実家に顔を出し、ゴミ屋敷を片付けてはいるのだが、 先日のこと、兄が三回目のワクチンを受けるというので、実家へ留守番をしに行った。 実家に着くと兄から、 「お母さんは今週、また様子がおかしくて、玄関から出ていこうとしたりするから気をつけて」と注意が入る。 兄はワクチンを打った帰りに、スーパーで買

一枚の免許証

先日、子供が車の免許を取得したというので近所に練習をしに行ったのだが、やはり子供の運転はとても緊張する。 はっきり言って『怖いし、乗りたくない』というよりも『乗らせたくない』が本音だ。どうしても『事故でも起こして他人に怪我でもさせたら?』と思ってしまう。 それでも、いつまでも自立しないのは困る。助手席に乗り、おぼつかない運転にあれこれ苦言を呈したい気持ちを抑え、集中力を研ぎ澄ませるが、信用されていないと思われても困る。子供にはわからないように周りに気を配る。 道路は慎重

武器と傲慢と

未知の病気が世界を覆い、多数の命が失われたが、それが落ち着けば今度は人が人の命を奪っていく。 もう何十年も前の話になるが、友人と旅行をしているときに「湾岸戦争」が始まった。イラクがクウェートに侵攻し、世界がそれを許さず、アメリカを含む多国籍軍がイラクを攻撃し、クウェートを開放した。 それは物凄く衝撃的だった。見知らぬ土地の旅館のテレビに、リアルタイムで戦争が映し出されていた。砲撃が至るところで起こっている異常な光景。 子供の頃、学校で戦争のことや原爆のことを学び、戦争の

現実逃避とカタツムリ

出不精に拍車がかかり、特に用事がないと外出をしなくなった。ここ最近は実家のゴミ屋敷に顔を出すことも少なくなってしまった。外出は月に数回、たまに映画を観に車を数分走らせるくらいだ。 ときどきそれを心配した仲間が誘ってくれるのだが、約束をしても当日になると行きたくなくなってしまい、自分の中で駄々をこねる。心の中では「出かけたい」思うのだけれど、いざそこを突かれると引っ込んでしまう。 食事を作るのも、食べるのもめんどくさがり、缶ジュースでお菓子を流し込み空腹をごまかす。筋トレも