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「切り絵で世界旅」セマーの像(コンヤ/トルコ)9宗教都市・コンヤでセマーの像に出くわす


 セマーをご存じだろうか? セマーとはトルコのイスラム神秘主義教団、メヴレヴィー教団が行う旋舞(旋回舞踊)のことだ。スカートをはいた人々の集団がひたすら、ぐるぐるぐるぐるぐると回る。
 神との一体を図る目的で13世紀に生み出されたセマーだが、回転は宇宙を表すそうだ。月は地球を回り、地球は太陽を回っている。ぐるぐると回転する宇宙の法則を体現することで神に近づこうとしている。この回転速度が速く、しかも10分近く回り続ける。よく目が回らないものだと感心する。見ているこちらの方が目が回りそうだ。
 円錐形の帽子を被り長いスカートをはいた踊り手たちはセマーゼンと呼ばれる。回転し続けるうちに彼らはトランス状態に入っていく。
 メヴレヴィー教団は15世紀、オスマン帝国の庇護のもとで隆盛を極めたが、1923年のトルコ革命時に、ケマル・アタテュルクによる脱イスラム政策の一環で、教団は解散し、セマーも行われなくなった。だがその後、セマーの文化的価値が見直されて復活。ユネスコの無形文化遺産にも登録され、教団の発祥地であるコンヤやイスタンブールなどでセマーを見ることができる。
 セマーについては、若い頃から「螺旋」をテーマにした本などで存在を知り、京都国際写真際ではスクリーン動画も見ていた。トルコ旅行のコースにコンヤが入っていたので、生のセマーと出会えるのではないかと期待していたが、叶わなかった。残念という他ない。
 切り絵は、グランドホテルコンヤのロビーに佇んでいたセマー像である。

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