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「切り絵で世界旅」スコール(ホーチミン/ベトナム)スコールの洗礼も悪くない

 ホーチミン滞在中の最高気温は34度、湿度70%。熱帯サバンナ気候に属するホーチミンは、雨期に入っていたが、日本の梅雨とは様子がかなり違う。

 一言でいえば、日本の梅雨は、停滞前線と名付けられているように、1日中シトシトと小雨が絶え間なく降り続ける。もう観念するより仕方ない。だがこちらの雨期は、雲も雨も湿度も気温も刻々と変化する。予測がまったくつかない。気まぐれさに支配される。逆にこの気まぐれさを受けいれれば気が楽になることを発見した。

スコールがきても慌てないホーチミンの人々

 到着した夜、ベトナム料理の名店「タン・ナム」で食事をした。ハマグリのレモングラス蒸しに舌鼓を打っていたとき、雷が鳴り始めた。スタッフが外を見る。私も振り返って見ると激しい雨だ。天の底が抜けたような雨だった。これがスコールか。風景が一変し、自転車やバイクを運転している人びとは透明な雨合羽を被り、街の灯りや車のヘッドライトが濡れた歩道や建物を妖しく揺らしていた。

 食事が終わっても、まだスコールは終わらなかった。傘を持ってきていない。ベトナムコーヒーを飲みながら小降りになるのを待つ。スコールのせいで気温が下がったような気がした。

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