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「切り絵で世界旅」バツー洞窟(クアラルンプール/マレーシア)巨大で奇怪なヒンズー教の聖地

 ユーラシア大陸放浪経験者のK君が数枚の写真をFacebookに載せていた。1枚目は、褐色の肌にかぎ針が刺さり、針につながる紐には何十個もの重しがつけられていた。痛みに弱い私には耐えられない。2枚目は、多くの信者が階段を登っており、一番下には金色の巨大な像が立っていた。
 うん? 2枚目の写真に写っていた急勾配の階段と巨大像は見た記憶がある。マレーシアのバツー洞窟ではないかとK君に確認したところ、果たしてその通りだった。

 クアランプール郊外にあるバツー洞窟には、マラッカからクアラルンプールへと移動中に立ち寄った。272段の急な階段を登って薄暗い洞窟に入ると、岩の窪みに置かれた原色に彩色されてたヒンズー教の像が燭台の明かりでゆらゆらと浮かび上がっていた。印象は奇怪で醜悪でしかない。空気も粘着質で変な匂いがする。早く洞窟から出たかった。
 ちなみにK君の1枚目の痛そうな写真は、ヒンドゥー教最大の祭り、タイプーサムのもの。神々への感謝を表すために苦行を行うのだが、危険過ぎるのでインドでは禁止され、今はマレーシアとシンガポールでのみ行われている。また、階段入り口に立つ巨大な像はムルガン神で、高さは42.7mもある。
 それにしても世界は広い。いろいろあるものだ。
 バツー洞窟見学の後、イスラム寺院に入ったとき、偶像もなく幾何学模様だけのすっきりした大きな空間に安堵と感動すら覚えたものだ。


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