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「切り絵で世界旅」スチールパン(ゴールドコースト/オーストラリア)マラソン完走後に聴こえてきた天国の音色

 3度目のゴールドコーストツアーで、ラッキーなことにゴールドコーストマラソンの開催時期と重なっていることがわかり、無謀にも10kmマラソンに挑戦することにした。高校時代以来のマラソンだから、不安なことこの上ない。
 当日朝、バスに乗って会場に駆けつける。9時25分にスタートの合図。今日は完走が目的なので、マイペースで走ることにする。しかし気分良く走れたのは最初の2~3kmまでで、あとは苦痛の連続。1時間1分後、やっとの思いでゴールした。スタッフから手渡れたペットボトルの水を飲んで、芝生の上にぶっ倒れる。
 約3万人がレースに参加していた。競技場らしい会場内では、チアガール、スコットランドのバグパイプなどが気分を盛り上げていた。

天国の音色を奏でる3人がやってきた


 あら、遠くから今まで聞いたことのない軽やかな音色のリズムが聞こえてくるではないか。音の出どころを探すと、3人の黒人男性が、一人はドラム缶のような楽器、2人はドラム缶を輪切りにしたような楽器をスティックで叩いている。なんて素晴らしい音色だろう。天使が天国に導いてくれるような透明さ、南海の楽園で子どもたちが無邪気に飛び跳ねているような陽気さに満ち溢れている。音が青空に吸い込まれていく。すっかり疲れがぶっ飛んでしまった。それがスチールパンとの初めての出会いだった。
 その後、神戸で行われている新開地音楽祭や神戸祭りなどでスチールパンでの演奏を何度も聞いたが、その度に、この時の幸福な出会いの記憶が蘇るのだった。
<旅行日/2001.06.24>

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