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ヒットエンドランとランエンドヒットとの違い

まずヒットエンドランとランエンドヒットの定義を見てみよう。

ヒットエンドラン
投球と同時に走者が次の塁へスタートし、打者はその投球を打ち、通常より早く進塁を狙う戦術である。
ランエンドヒット
投手の投球と同時に走者が次の塁へと盗塁を試み、打者は盗塁の成功の可能性や投球の球種・コースを見てヒッティングするか見逃すかを選択する戦術をランエンドヒットという。ヒットエンドランとの違いは打者が持ち掛けるか、走者が持ち掛けるか、である。
ヒットエンドランは打者が走者の進塁を助ける戦術であり、打者はボールゾーンへの投球などの場合もスイングし、ミートを狙わなければならないが、これに対してランエンドヒットは単独でも盗塁成功が見込まれる走者を走らせる場合が多く、かつ打者も投球を見逃すか、故意に空振りするという選択肢を持つので、この戦術を試みる場合はヒットエンドランの場合以上にライナーによる併殺を警戒する必要がある。

ここまで https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%92%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%B3 より引用


上記のように、ヒットエンドランとは「打者が走者の進塁を助ける戦術」である。投球がいかなるボールであっても打者はスイングしバットに「ヒット」させなければいけない。

さすがに明らかな大暴投など物理的にバットがボールの届かない距離であったり、打者の体に当たるデッドボールの場合はこの限りではなくなる場合もある。また3ボールからのヒットエンドランはボール球を見逃せば四球で出塁できるため明らかなボール球をスイングする必要はない。

しかし守備側のチームがヒットエンドランのサインを見破り、大きく外角へ投球を外してきた場合であっても、捕手が投球を捕球しセカンドベースへ送球できるボールであるならば、打者はそのボールをバットに当てなければいけない。なぜなら、あくまでも「最悪でも走者を助ける」作戦であり、打者の有利不利は二の次となるからである。

「ヒットエンドランのサインが出ても大きくビッチドアウトされた場合には、打者は見逃してカウントを有利にすればいい」という定義は完全に誤った認識である。反対にこの文章の「ヒットエンドランの」の箇所を「ランエンドヒットの」と置き換えると正しい記述となる。

上記のとおり、ヒットエンドランのサインが出された場合、打者が自身の判断で「ボール球を見送る」ということはありえないのである。(少年野球など、技術が低いケースでは捕手の送球精度を踏まえてワンバウンドでは振らなくてもよいなどと指導されるケースもあるようではある)


「ヒットエンドランのサインが出ていたとしても、意図的に大きくストライクゾーンから外された投球を打者がスイングすることによって、ストライクをとられるリスクがあるのではないか?」
この点はそのとおりである。最悪の場合、空振りすることによってストライクカウントが1つ増え、さらにスタートを切っていたランナーは捕手からの送球によりタッチアウトとなる。

しかしそのリスクはヒットエンドランのサインを出したベンチは百も承知である。それでもランナーを守るために、捕手がセカンドベースに送球できる状態となる可能性があれば打者は飛びついてでもバットにボールを当てる努力をする。最悪でもファウルにしてランナーを元の塁に戻すことを試みる。それがヒットエンドランである。


言い換えるとヒットエンドランは「振るスクイズ」なのである。

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