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2人の打者の足でつくった2アウト満塁 2022/5/5今日のワンプレー

2連敗で迎えたゴールデンウィーク3連戦の3戦目。タイガースは辛うじて勝利をつかみ、こどもの日に甲子園球場に駆けつけた子供たちを笑顔で家路に送ることができた。

勝負をきめたのは9回ウラ。2アウト満塁から打者山本が四球を選び、押し出しで決勝点を奪った。

2アウト満塁である。器用な山本とはいえ、スクイズやスチールなどを仕掛けることはできない場面である。山本の得点につながる打撃にかけるしかない場面で、四球を選んだのはさすがである。

ただそれだけではなく、2アウト満塁に至るまでに足で貢献した2人の打者を、私は讃えたい。

1人目は最終的にサヨナラのホームを踏むことになる近本光司だ。

この回先頭バッターとして打席に入った近本は、三塁手の正面に高く叩きつけるゴロを放った。打球はワンバウンドして高く弾み、三塁手の頭上を超えてレフト前へと転がった。1点入ればサヨナラとなるイニングの先頭バッターが出塁し、1塁側ベンチとスタンドは大いに意気が上がる。

レフト前に抜ける打球である。このヒットには直接足の速さは関係ない。ではなぜ私は「足が生んだ出塁」だと見たのか。それは三塁手の守備位置である。

守備側も、1点入ればサヨナラとなるイニングの先頭バッター近本を絶対に出塁させるわけにはいかない場面である。クリーンヒットはやむを得ないが、打ち取った打球がボテボテのゴロとなり内野安打にさせることは避けたい。三塁線へのセーフティバントもある。

このような状況の中で三塁手村上は、近本の足による出塁を防ぐために通常時よりかなり前を守っていた。

通常ノーアウトランナー無しの状況では三塁手はサードベースやや後方にポジションをとる。しかしハイライト動画を見ると高く弾む打球に対し三塁手の村上は、サードベースより前に位置し下がりながら捕球を試みていることがわかる。

https://youtu.be/00n5LdiBtZY?t=438

三塁手が通常の守備位置であれば、ワンバウンドでゴロを捕球しファーストへ送球することができていたはずだ(それでもあれだけ高く弾んだ打球であり、内野安打となった可能性もあるが)。


2人目は大山悠輔だ。

近本の出塁を受け、続く打者中野が送りバントで1アウト2塁。3番佐藤が申告敬遠で出塁し1アウト1・2塁となったところで大山が打席に立つ。

大山はカウント2-2から外角低めのまっすぐをひっかけサードゴロ。ダブルプレーコースであったが、三塁手村上が送球の際一瞬ジャッグルするような動きが見られた。

セカンドへ送球され1塁ランナーはフォースアウト。そしてセカンドからファーストへ転送されるが全力疾走で1塁を駆け抜けた大山は間一髪セーフで3アウトとなるのを免れた。

球場でタイガースの試合を観戦したご経験があるなら、大山悠輔の走塁を、それも凡打の際に1塁へ向かう際の走塁が印象に残っている方が多いのではないだろうか。

彼はどんな凡フライであろうが凡ゴロであろうが、常に全力で1塁ベースを目指して走っている。決してバッティングが好調とは言えなかったこの3連戦でも、すべての打席で彼が全力疾走を怠ることはなかった。

なぜか。コレがあるからである。一瞬のジャッグルや僅かな野手のミスが自軍のチャンスに直結する可能性があるのだ。


昨日、この3連戦初戦を見ていた記者がこのような記事を掲載していた。私もまったく同感である。


2人の打者の足がつくった2アウト満塁。結果は見てのとおりである。足を武器にしている選手もそうでない選手も、足で勝負を決めることができる。それを痛感した試合であった。


3連敗を逃れたとはいえ、まだまだ本調子ではない虎打線。名古屋での大爆発を期待したいものである。

2022/5/5 阪神ヤクルト戦ハイライト

https://youtu.be/w350tReoMxw

ヤ 1 0 1 0 0 0 0 0 0 2
神 0 0 1 0 1 0 0 0 1X 3
【ヤクルト】 高梨 石山 今野 田口 ●大西(1勝1敗)
【阪神】 ガンケル 渡辺 浜地 アルカンタラ 湯浅 ○岩崎(1勝0敗)

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