エンジニアリングのパラダイムシフトについて

何回か触れた昔のパワハラリーダーのことをときどき思い出しては腑が煮え繰り返ることがあるのだけど、そのリーダー、実は昨年亡くなったんですよね。確か定年退職を迎えてシニア雇用延長が始まったぐらいだったので享年60歳だったのかな。その知らせを聞いたとき、お気の毒だけど心底ほっとした。死因は病死とあったのだけど、昔医師から酒を固く止められていると言っていたので、あるいは肝硬変、肝不全だったのかもしれない。当時はピンと来なかったのだけど、今自分が同じ状態になってみると冗談じゃないと思う。自分の雇用や家族の扶養で大真面目に悩んでいたのかもしれないけど、こちらにも大切な家族がいるし、やりたいこともあったのにことごとく邪魔をされた。
彼はもともと製造業のメカニックマンだったのですが、製造業の仕事がなくなりソフトウェア開発の部門に移動して来たのだけどオブジェクト指向が理解できず、Javaも書けない状態で何年もビクビクしていたようです。で結局彼が選んだ道は、私のように設計開発ができるシニアソフトウェア開発者の私的利用と妨害工作と上司への虚偽報告でした。やってることはかなり無茶苦茶だったのですが、上司がこの問題を把握しないままなんでも了承してしまうので、虚偽報告が全て公式記録になってしまう状態でした。またさらに困ったのは彼がこれらの無理を押し通そうとして本気で怒鳴って命令してくるのでした。とりつく島のない状態で、何度か上司に相談したのですが、「彼は変えられないんだ」「他に人がいないからね」といった返事で耳を貸してくれませんでした。また私が上司に相談するたびに必死になって取り繕い、問題が悪化するばかりでした。
時代が製造業からソフトウェア開発にシフトしていくパラダイムシフトの中で起きるべくして起きた問題なのかもしれないですが、彼の場合は個人で極端に酷かった。彼の下には3年間いたのですが、すっかりメンタルを壊してしまい、鬱病による不眠症で寝られなくなり、寝酒がエスカレートしていきました。体質的に酒に強かったのも災いしました。しかしある日ぐらっと来て救急車を呼びました。血液検査をしたところ肝臓が悪く、脂肪肝になっており、カリウムなどのミネラルがほぼない状態で「あと半日遅れていたら死んでいました」と言われました。結局即時入院で2ヶ月寝たっきりになっていました。
その後なんとか退院したのですが、一年後の一昨年にまた同じことの繰り返しでした。この際も脂肪肝という診断だったのですが、その後の精神病院に入院した際の血液検査でさらに悪くなっていることが判明し、再び以前の病院に入院し、その際に初めて肝硬変と診断されました。その後食道の静脈瘤が破裂し、2リットルの血を吐いて再度入院、その後は腹水のたまり過ぎで歩行困難になり転倒し脳内出血で再び入院しました。その途中で前述のパワハラリーダーの訃報に接してしばらく複雑な気持ちでした。
ともあれ、こうなるともはや通常勤務は困難で、入院中に会社の3月までの早期退職募集に応募しました。退院後そのまま山梨の兄夫婦に身を寄せることになりました。2ヶ月後に早期退職分を含めて退職金が入って来ますが、働けない状態で60歳まで生活できるのかどうか。今は金策で頭がいっぱいになっています。
もう少し健康な体で長生きしたかった。退職後にやってみたいことがいろいろあったのだけど。とても残念です。せめてこの体でできることを考えないと。

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