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徳永英明「夢を信じて」 いくつの街を越えていくのだろう

自分にとって、この歌は「男はつらいよ45 寅次郎の青春」の挿入歌としての印象が非常に強い。

男はつらいよ全50作のうち、45と言えば、後半で、定番の寅の恋愛ももちろんあるんだけど・・・。寅次郎のおいっ子・満男(吉岡秀隆)の泉(後藤久美子)への恋心をサイドストーリーとして描いており、こちらもしっかりと見ごたえがある。

45作では、満男は「寅次郎が宮崎県でけがをした」と聞いて、伯父の心配よりも、泉(後藤久美子)に会いたい一心で、宮崎に飛行機で向かう。

機内で、ウオークマン的なもの(カセットテープ)で「夢を信じて」を聴く満男の顔に、寅を心配するような様子は全くない。泉に会える喜びにあふれている。こういうシーンを挟むのはうまい。

宮崎に到着してバスに乗り込んだ満男のバックに流れるのが、この「夢を信じて」。この希望に満ちた、疾走感にあふれるこの曲が、歌詞とも相まって満男の心持ちをよく表現している。
山田洋次監督は、非常に効果的にこの曲を活用しているなあと感心させられる。

「夢を信じて」は徳永英明さんの9枚目のシングルとして、1990年1月16日に発売された。篠原仁志作詞、徳永英明作曲。
映画が1992年12月26日公開。この映画には、ほかにも徳永英明さんの最後の言い訳などの曲が挿入歌として使われている。

歌詞を見てみる。

「いくつの街を 越えてゆくのだろう
明日へと続く この道は
行くあてもない 迷い子のようさ
人ごみにたたずむ 君はいま
恋することさえ 恐れてた昨日に
なくした涙を さがしてる」

サビは
「夢を信じて 生きてゆけばいいさと 君は 叫んだだろう
明日へ走れ 破れた翼を 胸に 抱きしめて」

「自分の空を 越えてゆくのだろう
さよならに怯えず 君はいま
傷ついたことに 疲れはてた胸を
凍える両手に温めて
心のままに 生きてゆけばいいさと 君は笑っただろう
明日へ走れ 破れた翼を 胸に抱きしめて」

まあ、歌詞は少々深みに欠ける部分はあるけど、たとえくじけそうになっても、前向きに走れって感じの言葉が連ねられている。元気になる、いい歌詞だ。走り出したくなるような音楽にのせて、徳永さんのハスキーボイスが心地よい。

ここまで、書いてきて思うのは、「夢を信じて」はいい曲だけど、それをうまく使っているこの映画こそが自分は好きなのだということ。

なるほど、そうだったか・・・。

2022年11月11日 トラジロウ

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