写真日記/言葉にすること
「――いまの子って、あんまりお礼とか言わないよね」
喫茶店で聞こえてきた言葉に、思わずコーヒーを吹き出しそうになる。
(……こりゃまたでっかい主語だな。いまの子ってせいぜい数人でしょ?若くても礼儀正しい人はいるし、そういうのは年齢どうこうじゃないから。そんなこと言ってると、老害とか言われちゃいますよ?)と思いつつも……そう言いたくなる気持ちがわかる自分もいて。つまり「なりかけ」なのだ、そういう存在に。
ありがとう。たった五文字に過ぎないけれど、これがあるとないとでは、受ける印象は全然違う。言われた方は嬉しいものだし、言った方だって嫌な気持ちにはならないと思う。でもそこは「感じ方の違い」なのか。あるいは「考え方の違い」なのだろうか。感謝を伝えることに対する、考え方の。
感謝を伝えるのは大事。でもそれが口先だけの感謝なら、ない方がいい。なぜって、「本当はどう思っているか」は、態度に出てしまうものだから。そう、尊敬とか感謝は、自然と表れるもので。無理強いするものじゃない。
ここまで偉そうなことを語ったけれど、じゃあ自分はどうだろう?感謝を伝えているだろうか?なにかしてもらうことに、慣れてしまっていないか?そう問われると、あまり自信が持てない。
「いつもありがとう」なんて、定型文みたいに言うけれど。「有り難い」のに「いつも」って、なんだかおかしな話だ。それでも、言葉にすること。伝えることに意味があるから。それは、正しいかどうかではなくて――
与えられることに慣れてしまわぬように
与えられないとき不満をもらさぬように
もらった分より多くを与えられるように
そうだな。若い子に嫌がられてもいいから、今度は言葉にしてみようか。「ちゃんとお礼は伝えたかい?」ってさ。
タイトル画像:Anhednium by: knfoxl さん
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