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写真日記/曇天に泣く

 カメラをはじめてから「曇り空」というものが嫌いになった。なぜって、「写真がうまく撮れない」から。シャッターを切って出てくるのは、どうもぱっとしない画ばかりで。ぼんやりとしていて、伝わってくるものがない。例えるならそう、塩気の足りないスープ。

 目に見えるものを形作るのは、『光』。光がなければ、影も生まれない。曇りの日は光が拡散してしまうから、陰影もできにくい。陰影がないから、写真も印象的にならない。どこか哲学的な感じがする仕組みだ。


 先日も「ネモフィラ」を撮りに行ったけど、その日はあいにくの曇り空。当然のように、眠たくなる写真でフォルダが埋まる。苦し紛れにレタッチに挑戦してみたけれど。どうしても、違和感が拭えなかった。自然じゃない。

レタッチ前
レタッチ後


 時間とお金をかけて遠出したのにな。こんなことなら近所の公園にでも、行けばよかった。なんて思ってしまう。だけど、こんな日があるからこそ、天候にも恵まれ、いい写真が撮れたときの喜びが、際立つのかもしれない。


 やまない雨はない。曇りの日さえ楽しめたなら。それは素敵だよねって、柄にもないことを思ったりする。いつもそんな風には、思えないけれど。



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