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写真日記/レンズをお嫁に――

 ずっと欲しいカメラがあるけれど、ポンと買えるような値段じゃなくて。どうしたものかと悩んでる。いや、どうもこうもない。ない袖は振れない。お金を貯めるか、借りるか、何かを売ってお金を作るか。それだけのこと。

 でも売れるものと言えば、それこそレンズくらいで。カメラを買うためにレンズを手放すなんて。時計鎖と櫛を贈りあう話じゃあるまいし。ちがう、あれはもっと尊い思いやりのお話。僕のはただの、抑えが効かない欲求だ。例えにするのもおこがましい。


 手持ちのレンズを売ることを「レンズをお嫁に出す」なんていうらしい。今の時代的には、あんまり好ましい表現じゃないのだろうけど、個人的にはなんか好き。「お婿に出す」ならセーフなのかな。そういう話じゃないか。


 いま欲しいのは『SIGMA fp』というカメラ。小さいのに高性能。いろんなカスタマイズができる拡張性。いわゆるニッチなカメラ。小金持ちのときに周辺機器から買い集めてる。いつになったら本体(ボディ)を買えるかな。でもこんな風に「夢を見ていられるとき」こそ、幸せなのかもしれない。

 ショートケーキのいちごは、最後に食べたい派だけど。いつになったら、手が届くやら。

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