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たぶん、なんかのプレイ

フィンガープレイを、受ける方であったが、「指に目が生えたみたいだ。」と告げられたことがあった。
「まるで見えるみたいだ。」と。
指から、触手というファントムへと、変化(へんげ)なさったと。
あそこの中まで見られているのかと思うと、よけいに気持ちが良かった。

二人の助産師から、「内診」を三度ほど受けたことがある。
ブルーもしくは半透明の手袋をはめた助産師の指でまさぐられ、「これなら大丈夫。」と言われた。
息と感情が止まっていた。
何を診られ、何が大丈夫なのか分からなかった。
帰宅してから、さめざめと泣いた。
あれは、一種のレイプではなかったか。

そもそも、その助産師たちにお世話になったのは、助産所において、助産師のもとで出産するためだった。
病院で出産した場合、医師の手でもれなく施されると聞く会陰切開を、レイプだと、私は思った。
助産所でいければ、あそこにメスだのハサミだのを入れられることは免れる。
医師が御手をかけました、という御印のような傷を、私はいらない。
出産のために女性器を切り、女性性を犠牲にしたと思う母親になるのは、子どものためにも嫌だった。

その助産師たちは、そう思う女の気持ちが分かるから、助産所での出産を請け負っているのではないのか。
そうなのだ。
分かっていると思うから、自分が加害者になるとは思わないから、あんなことが出来たのだ。
助産師たちは私と同じ女であった。

助産所で出産予定の場合も、嘱託医となる産婦人科医師の診察が定期的に必要になる。
後日、医師からも内診を受けた。

その病院では、いつもは六十歳代と思われる男性医師の診察を受けていたが、その日の医師は若い男性だった。
普通に真面目そうな医師が手にとった、百合の蕾のようなひんやりとしたステンレス製の器具を、私は清原なつのの漫画によって知っていた。
あれは、挿入した後、鳥のくちばしのようにパカッと二つに開く。
そうして、医師の肉眼で、何かを見るのだろう。

嫌だと、駄々をこねる選択肢も、泣き始める選択肢もない。
どうせ、助産師の指でレイプされた穴。
それに、見る方だって個人的にはどうなのよ。
あちらもお仕事だ。
仰向けに横たわった私は覚悟を決めて目を閉じ、立てた膝を開いた。

……おそらく、潤滑剤が塗ってある。

………。

「大丈夫です。お疲れ様でした。」と、医師から声をかけられた。
自然と止まっていた息を吹き返した。
震える膝をゆっくりと閉じた。
不快感はあったが、痛みも苦しみもなく、事は終わった。

あっけなかった。

私は予定通りに助産所で出産し、あそこに医療行為による傷を作ることはなかった。
子どもが生まれてからずっと、子どもと肌を離さず一つの寝床で過ごし、子どもが泣いたらいつでもすぐに授乳が叶う助産院のシステムにも、満足していた。
私が出産のためにレイプされることは避けられたと思った。

しかし、どうだろう。
次にある病院で出産したら、この助産所での出産こそレイプだったと、気が付く可能性も、なくはない。
「どうせ、助産師の指でレイプされた穴」から、その助産師のもとで、私は子どもを産み、子どもは生まれたのだから。
大事な子どもを。
幸か不幸か、私の産んだ子どもは一人であり、比べることは出来ず、分かりはしない。

小池田マヤの漫画『聖☆高校生』(少年画報社)では、さまざまなレイプが収集、陳列されている。
男による女の、女による男の、女による女の、男による男の、レイプ。
性器の挿入による、指の挿入による、挿入によらない、挿入しない、レイプ。
苦痛を与え、与えられるレイプ。
快楽を与え、与えられるレイプ。
モノホンのレイプ。
同意から非同意へ、非同意から同意へ。

仮に医療行為によるレイプがあったとしても、それはきっと、医療行為だから、ではないだろう。
医療行為だから、医師だから、助産師だから、女だから、男だから、若いから、年寄りだから、ではないのだ。



ちなみに、爪で膣内を傷付ける等の、フィンガープレイによってレイプにならないために大変役に立つ、フィンドムというアイテムもございます。
皆様、是非ご愛用下さいませ。

同意の上でのフィンガープレイであったとしても、二、三度傷を負い「こわい」となってしまったら、もう、以後、一連の行為が全部無理になってしまうケースもあるかと思います。
で、そうだと言い出せないことも。

また、もしこれを医療関係者の方がご覧になっていて、「助産所での出産とか、マジでやめてほしい。」と思われていたら、会陰切開をしない方向もご検討いただけると有り難いです。
それだけでも、助産所での出産を考え直す産婦さんもいるかと思います。
「会陰切開をしたくないから、助産所や自宅で出産することを選びます。」というのは、 #MeToo でもなければ出せない案件でしょう。
性にまつわる諸々の中には、もっと残酷で、どう頑張っても無事には済まない事があると思えば、会陰切開くらいでガタガタ言うべきではないと口を閉ざす女性の方が多いと思われます。



以上、以下でニッチなヘッダー画像をフォトギャラリーに提供し、お題を下さった磯貝さん、どうもありがとうございました!

以前、磯貝さんのnoteで医療器具の写真を拝見したとき、きゃっきゃうふふでした。
自分のnoteで画像を使わせてもらえる日が来るとは思いませんでした。

ヘッダー画像、一番下の、一番右のものがおそらくは、膣内を確認するための道具になります。

病院での診察の際、コレを間近で眺めたとき、実用のために計算し尽くされたのであろうフォルムと、それを造り上げた人の技術に、感嘆を覚えました。
美しいと思いました。
かといって、「美しいから、挿れて欲しい」とは思いませんでしたが、問題なくお邪魔され、お邪魔していかれた時は、やっぱ道具ってスゴイねと、二度感嘆いたしました。

フォトギャラリーによって、クリエイターさんが画像を提供し、それをnote内でみんなが使用できるnoteのシステムも、スゴイ!し、スキ!です。

noteさ~ん!
この辺りに、お題を出したり出されたり、それを見たり見られたりしている、愉快な人たちがいますよ~
チョコラータ&セッコみたいになる前に、取り締まった方がいいですよ~

えぇ、もちろん、褒めていますとも。
noteも、noteの住人も!

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