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あなたにとってのナイトオンザプラネットは何ですか

料理

イントロの疾走感がまさにクリープハイプ。
それだけで掴み巻き込まれる。
言葉で殴り合う気満々、聴けば聴くほど味がする歌詞。
対比の表現がゾワゾワと恐ろしく、メロディラインが焦らせてくる。
料理、なんて平和ぶったタイトルのくせに全然平和じゃない。

ポリコ

ポリコって何?ポリコレってこと?実はよくわかってません。
かっこいいベースラインからスタートした時点で好きなので
なんかよくわかってなくても問題無い。
歌詞を噛み砕けなくとも謎のジレンマを感じ取れるから不思議。
ベースとドラムどちゃくそかっこいいな。

二人の間

なんだこのピコポコした音は!わくわくする!
コミカルな曲調に、ジュワっと沁みこむ歌詞
わたしとあなた、あ と うん、二人の掛け合いになってる部分
パーソナルスペースに侵入されて不快に思わない間柄の場合
だいたいこういう会話になるな
あーわかる、ちがうちがう、それならどうするこれならどうだ
何か収穫があるわけでもない会話ができる
その時間その関係こそが収穫なのではと思う。人生の収穫(は?

四季

ダム!ダム!ダム!ダム!このバスドラは脈拍だ。
生きている人間の歌だ。
エロい思い出が春だったり、全然爽やかじゃない曲を夏に聴きたくなったり
個人的な思いを羅列しているように見えてそうじゃない。
誰でも持っているマイノリティ思い出を想起させることで
聴く人それぞれに刺さる。誰もが自分の歌だと思う。
秋で転調するのもいいな、大嫌いな冬の寒さに辟易する自分の顔が浮かぶ。

愛す

愛すと書いてブスと読む。
これ以上の説明が必要なのだろうか。タイトルで完結してるのではないか。
予定時刻は6時でもないし、改札に引っ掛けた大きな鞄を外してやることもないけれど
キミと黄身、傍と蕎麦。言葉遊びに混ぜ込んで
悲しみとか切なさとか全部にわかりましたと頷いてしまう
やりきれない諦めがある。

しょうもな

愛すに対する公式アンサーソング。
このアルバムで更に加速した言葉遊びに翻弄される。まだまだやる気だな。
サビの、あんた お前 てめー の三段活用に痺れた。
こんなにもゼロ距離に詰めて胸倉掴みかかってくる歌詞あるかね。
言葉に追いつかれないスピードで一気に流れ込む。
なんかわけもわからず、そこらへんを走り抜けようかと思ってしまう。
顔が綺麗で行儀の悪い女が暴れるMVもとても良い。

一生に一度愛してるよ

好きなバンドと恋人の対比、クリープハイプにしてはわかりやすい。
とか書かれることもわかってるんだろうな。
この、好きなバンドに対する不満ってマジであるある全員ある。
その矛先に居る自分たちをここまで俯瞰で見られる
尾崎世界観が恐ろしい。
あと、既存の楽曲に絡めてくるクリープの手法が好きだ。
社会の窓と同じ構成 とかね。
あれをアラーム音にしてるから毎日ブチギレ起床です。

ニガツノナミダ

やけ泣き、というパワーワード
聞いたことあるようで初めまして、でもなんでか理解できる。
バレンタインと通信会社をこんなにリンクさせるとは。
締め切りに抱きしめられて 制約にくるまって眠る
すんなり単なるタイアップとはいかない言葉の腕力。すごい。

ナイトオンザプラネット

これは本当に長くなる。
ライナーノーツの趣旨からはズレるなと思いつつ、書きたい。
1小節で、青い夜の中にトプンと浸される。エフェクト抜群のギター。
夢の中で歩くみたいな音に浮かされて、いつのまにかママになってたクチの私は
命より大切な子供と引き換えに手放した、あの頃を
つらつらとスクリーンに映され、それを見る。
実はナイトオンザプラネットは観たことがない。
きっと私にとってのバッファロー’66なのだろう。
ウィノナライダーかヴィンセントギャロかの違いだけであって
きっと今観たらバッファロー’66も、なんか違うってなるんだろう。
好きな時間に寝起きする生活、適当な食事、動きやすさなんか関係ない服。
ちょっと思い出しただけのことが、こんなにも遠くて愛おしい。
愛と ヘイト バイト
それだけのこと。
夜にしがみついて 朝で溶かして
何かをひきずって それも忘れて
生きてゆくのはそういう事なんだろうなと
鼻先掠めて消えていく、懐かしい匂いの断片に
思い出しかけて忘れて、何を忘れたかも忘れて
時々強烈に思い出したりなんかを繰り返して生きる。
ナイトオンザプラネット、今度ちゃんと観てみよう。

しらす

呪いの歌。どこか山奥、雪深い村に伝わる呪詛の歌。
それぐらい怪しく、背中が冷たくなって聴き入ってしまう。
アルバムに入るカオナシ曲はどれも猛烈な個性で
毎回畏怖する気持ちで聴いている。
しらすのお目目は天の川だってよ…怖い。
それでも聴きたくなるのはなんだろうか。
長谷川カオナシという唯一無二に憧れて、36歳は口にピアスを開けた。

なんか出てきちゃってる

ずっと何か言ってる。
インストかと思いきや、ずっと何か言ってる。
出てきちゃったのは何だったのか。
まだまだ考える余地がありそうで、あんまり意味は無いのかもしれん。
不思議が続く。
わかりやすさ、伝わりやすさばかりが重宝される世の中で
余白が多いというのは大事だと思っている。
アニメSONNY BOYを観たときの気持ちに似ている。

キケンナアソビ

一音目から不穏。これは危険だ、間違いない。
なまめかしいギターリフに関して、クリープハイプ以上って居るのか?
家族の居る場所で流れると気まずいバンド第一位(私調べ)は伊達じゃない。
音も歌詞も全部で、色んな意味で危険だと知らせてくる。
ギターリフが、脳内で鳴る警鐘に聞こえてくる。
クリープイプは風呂場にいる。

モノマネ

シャンプーと聞けばボーイズENDガールズ
同じキーホルダーと言えばボーイズENDガールズ
我々が察した通りやはり続編、というかその後、だそうで
いやもう察するもクソも無いんだけども、ここまで言われたら。
ただのパート2にならないとこがやはり凄いなと思う。
どこにでもある毎日が 今もどこかで続いてる気がして
これは本当にそうで、よく考えてしまう。
パラレルワールドというほどのアレではないけれど
もしかするとあのまま、あの人と生きた自分がどこかに
結局誰とも生きてない自分がどこかに
万国共通みんなが抱える気持ちではないかもしれないけど
考えてしまうチームの人間としてはハッとした。

幽霊失格

死んじゃったのかと思いきや
写真にだけ写る美しさ、の部分で
なんだ幻覚なんだねと知れる。
メロディもどことなく悲しい。死んでないけど。
自分の人生から居なくなるというのは、死ぬのと同義だ。
ただの未練と奇行は紙一重、おかしくなるほど悲しいのに冷静な歌。

こんなに悲しいのに腹が鳴る

ここまでを総括する、見事なアルバム最終曲。
生きるっていうのは、死ぬっていうのは、答えの出ない話。
最後の曲で聴けました、尾崎の最高のクソッタレ。
これが聴きたくてクリープハイプ聴き続けてるとこあるよな。
空気の層が幾重にも重なったような、尾崎世界観の声
本当に不思議な魅力があると思う。
この曲が特に好きな声。


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