[読書記録] 丹生都比売 (梨木香歩 著)
人の旅立ちに思いを寄せる、美しくて繊細な深い水の中のようなお話の集まり。
とても静かで安らかで、あたたかく、この雑多で混沌とした、人の生きる世界とは対局にあるように思えます。
その安らかさは境目を越えた途端に突然あらわれ、こういうものなのだろうな、と思わずにいられません。
この「丹生都比売」は九篇のお話から成る短編集ですが、あとがきの通り、読み終わってしまえば、それぞれのお話を数珠のように繋ぐ蔓が確かにあるのだな、と感じます。
「丹生都比売」のキサという少女の不思議な美し