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社会科の言葉:少子化・少子高齢化・高齢化社会・高齢社会

何気なく使っていながら、まぎらわしい、あるいは区別のはっきりしない言葉を、一度きちんと調べておきたいと思いました。

題名にあげた、少子化・少子高齢化・高齢化社会・高齢社会の意味を探る前に、まず、「子ども」と「高齢者」の範囲をはっきりさせておかないといけません。

子ども

子どもとは満18歳未満の人のことです。
1989年第44回国連総会で採択された「児童の権利に関する条約子どもの権利条約)」の定義を、一般に採用しています。

ただし、法律上は、子どもとされる年齢の範囲はばらばらです。

選挙権については、公職選挙法により18歳から選挙権を持つので、17歳までは子どもです。
また、結婚できる年齢は民法で男子は18歳、女子は16歳と決まっていますから、それまでは子どもなので結婚できません。
少年法では14歳から刑事処分が可能になるので、13歳までが罪を犯しても刑事罰を科せられない子どもだということになります。

高齢者

高齢者とは満65歳以上の人のことをいいます。
国連の世界保健機関WHO) の定義を一般に採用しているようです。

高齢により働けなくなった人(定年退職者)や、高齢により働けなくなったことを理由に年金を受け取る資格ができた人を高齢者と考えることもできます。

わが国では、高年齢者雇用安定法で定年退職年齢を65歳に引き上げることを奨励しています。
また、年金(いわゆる老齢年金のこと、国民年金や厚生年金など)は65歳から受け取ることができる制度に移行しました(これまでは厚生年金は60歳から受け取ることができていました)。

では、題名にあげた言葉の定義を述べていきます。

少子化

出生率(しゅっしょうりつ)の低下で、総人口に占める18歳未満の子どもの人口の割合が低下すること。

少子高齢化

出生率の低下と平均寿命の伸びが原因で、人口に占める65歳以上の高齢者の割合が増大し、18歳未満の子どもの数が65歳以上の高齢者よりも少なくなる現象をいいます。

少子化と高齢化を組み合わせた慣用表現で、辞書に「少子化」「高齢化」は見出し語としてのっていますが、「少子高齢化」ではのっていないことのほうが多いようです。

高齢化社会

高齢化率(65歳以上の人口が総人口に占める割合)が7%をこえて、さらに増加の傾向にある社会のこと。

1956年の国際連合の報告書が、当時の欧米諸国の基準をもとに、65歳以上の人口が7%をこえた社会を「高齢化した」社会と定義したことから、この用語を用いるようになったとされています。

高齢社会

高齢化社会が進んで、高齢者の総人口に対する割合が14%以上になった社会を高齢社会といいます。

また、高齢化率が14%~21%の社会を高齢社会と呼び、さらに21%以上になった社会を超高齢社会ということがあります。

わが国は、1970年に高齢化社会に、1994年に高齢社会に、2007年に超高齢社会になりました。

余談

国語の作文などでこれらの語を用いるときには、言葉の定義まで厳密に気にかける必要はありません。

しかし、社会科やあるいは小論文でこれらの言葉を使用するときは、上に述べた定義や数値を知った上で使いこなすことが求められます。

俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。