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鳥のきもち:エピローグ:「勘違い」がなくなるように

私は今まで何人も飼い主さんが代わってきました。
それは今までの飼い主さんが私のきもちをわかってくれなかったからだと思っていました。
私は飼い主さんにどうしてもわかってもらおうと鳴き声や行動で訴え続けました。
しかし、結局は手放されてしまったのです。
そして、今の施設に引き取られました。
この施設は、私と同じように引き取られてくる仲間があとを絶ちません。
話を聞いてみると概ね私が手放された理由と似たり寄ったりでした。
この本の話が来てから、あらためて引き取られた仲間の話や私の過去を遡っていくと、ひとつの結論を引き出すことができました。
それは私たちが大きな「勘違い」をしていたという事実です。
私たちは大好きな飼い主さんに来てほしいので大きな声で鳴き続けたり、喜ぶ顔を見たいのでかみついたり、自分の羽根を抜いたりしていました。

これが勘違いだったのです。
私は飼い主さんが喜んでいるのか、悲しんでいるのか、怒っているのか、困っているのかをきちんと理解していなかったのです。
私たちは手放されましたが、そんなつもりで私たちを迎えた飼い主さんはひとりもいなかったと思います。
一緒に幸せに暮らすつもりで迎えたはずです。
そんな飼い主さんが私たちを手放さなければならなくなったときのきもちを考えると、とても申し訳ないと思っています。
今まで私をお世話してくださった飼い主さんに私ができることは、勘違いする鳥を少なくすることです。
そのためにこの本が少しでもお役に立てればうれしいです。

お別れのときはいつか、飼い主さんと別れなくてはならないときがあります。
まずは私のように問題ばかり起こして手放されないように、この本をしっかり読んで実行しましょう。
すべては無理であっても努力をしていることを飼い主さんが認めてくれれば、絶対にあなたを手放すことはありません。
そして次はあなたの問題ではなく、飼い主さんの事情で別れなくてはならないときです。
飼い主さんの事情とは、高齢、病気であなたのお世話ができなくなってしまうことがあるかもしれません。
また、仕事で海外に長期間赴任しなくてはならなくなったときもです。
私たち鳥を海外に連れて行くことは手続き上とてもたいへんだそうです。
仮に連れていけたとしても、今後日本に帰国するときに、一緒に戻ることはさらに困難であると聞きました。
このような場合、飼い主さんが代わる可能性があります。
その場合も新しい飼い主さんに愛されるために、この本に書かれたことを守りましょう。
 
最後のお別れはあなた自身が天国に旅立つときです。
飼い主さんにお願いです。
私が年老いても病気になっても、お世話をお願いします。
私も飼い主さんもいつかは星になります。
できるだけ一緒に長く、楽しく、愉快に暮らしていきたいと思っています。
そして、私が最後に旅立つときは、一緒にいてください。
「見ていられない」とか「自分のいないときであってほしい」なんて言わないで。
あなたがそこにいてくれれば、どんなことも平気です。
 
あなたを愛しているのだから。
(「鳥の飼い主への十戒」より・著者改訳)

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