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ユーラシア大陸横断日記24 イラン出国・トルコ入国

ユーラシア大陸を西へ西へ、中国の上海からポルトガルのロカ岬まで。
陸路・海路でユーラシア大陸を横断した、ユーラシア大陸横断(2008)の記録です。

世界の半分といわれたイランのイスファハンで数日を過ごし、トランジットビザの期限も迫ってきました。
大好きなイスファハンを離れ、トルコ入国を目指してタブリーズへと進みます。

前回はこちらです↓

タブリーズへ

イスファハンでこのあと数日を過ごしながら、次の行き先を考えた。

本当ならイスファハンからさらに南下してペルセポリスに行ってみたかったけれど、ビザの残りの日数を考えると少し厳しい…

なんだかんだ考えたけれど、ビザが切れるのはやっぱり避けなければと、イラン北西の都市タブリーズへと移動し、そこからトルコに渡ることにした。

イスファハンのバスターミナルからタブリーズへはおよそ10時間。夜行バスを利用し、タブリーズに到着したのは早朝だった。

タブリーズのターミナルでチケット売り場が開くのを待ち、トルコ国境行きのバスチケットを手に入れる。

出発までは時間があり、ターミナルの椅子に座って過ごしていた。すると、隣に座る会社員風の若いイラン人男性に声をかけられた。

「こんにちは。どちらからいらしたんですか?」

日本から、と答えると、話はこれまでのユーラシア横断の話題になり、そしていつしかイランという国についての話となった。

いつかのバス停での話と同じように、これまで多くのイランの人たちに数えきれないくらい親切にしていただいたこと、本当にありがたくて感謝していることをお話させてもらった。

男性はとても喜んでくれ、と同時に「悪の枢軸」とよばれていることを非常に悲しんでいた。
話はすっかり盛り上がり、そして「実は…」、と切り出された

「明日結婚式を挙げるのですが、よかったら来ていただけませんか??」

こんな見ず知らずの旅人をほんっとにいいんですか!?と思ってしまうけど、イランの結婚式というのはどんなものなのだろう。すごく興味がある。
そして、こんな今知り合ったばかりの自分を呼んでくれたこのイラン人男性のご厚意にお応えしたい。行きたい 笑!

ただ自分のトランジットビザはこの時点で残りがあと1~2日とわりと限界…悩む悩む…

ひとしきり悩むも、ビザがらみで国境でトラブルを起こすのは、これまでの経験からもやはり避けた方がいいのではないかと、なくなくご遠慮させていただくことに

「ごめんなさい、ビザがトランジットでもう日がなくて(>_<)」

結婚式行ってみたかった…男性はこのあとの旅の無事を祈ってくれ、自分も男性の結婚を祝福して、国境行きのバスに乗った。

今思えば、無理してでも行っておけばよかったとも思う。

現地の方の結婚式、いったいどんなかんじだったのだろう。そしてこの男性は今も幸せに暮らしているのだろうか。ときどき思い出してはいろんなことを考えてみる。

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アララト山を臨む トルコ国境

国境へ続く道は草木もあまりない荒涼とした山岳地帯に通っていて、バスはがガタガタと揺れながら進んでいく。

しばらくすると、ずっと向こうに雪を頂く山が見えた。これはアララト山では??

その姿がなんとなく富士山に似ていると聞いてはいたが、確かに富士山にそっくり。
ほかの山々とは明らかに違う。
やっぱり、これが旧約聖書のノアの箱舟伝説の舞台として有名なあのアララト山なんだろう。

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バスは国境近くにあるターミナルで停車し、そこからさらにタクシーに乗り継ぐ。
タクシーは、道の向こうにアララト山を眺めながらトルコに向かって進んでいく。ドライバーさんに「アララト?」と聞いてみると、

「イエス!アララト!」

とのことなので、間違いなさそうだ。

タクシーはイラン側国境のゲートまで届けてくれ、そこから徒歩でトルコ側に向かって歩いていく。

なんというか工事中なのか地面がむき出しの急斜面を延々登っていくのだけど、道なき道でほんとにこれで道(なのかどうかもよくわからない 笑)は合っているのかと不安になってきたころ、トルコ側の管理官の人がいる建物を見つけた。

管理官の中年男性にパスポートを渡すと、「ほほう、ずいぶんといろんな国に行っておるのやな…」というようなかんじでしげしげと眺め続けられる。
これはちょっとなにか言われるかもと警戒していたら、

「Welcome to Turkey!!」

と急に笑顔に変わってスタンプを『ボン!』と勢いよく押してくれた。
10か国目、トルコに入国!

国境の街 ドゥバヤジットへ

そのまま歩いてトルコ側のゲートへと進んでいく。
進んでいくと、しばらく隠れていたアララト山が右手に大きく見えてくる。
なんというかとてつもなく存在感の大きい山。本当にすごい。

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トルコ側のゲートを出て、さあどこか一番近い街へ…と思ってうろうろするも、あたりは何にもない荒原に1本道が通っているだけで、国境の通過を待つ長距離トラックが数台並んでいる以外本当に何もない。

どこへ行ったらいいのかわからずとりあえずうろうろするが、どこに行けばいいのか皆目見当がつかない。

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いよいよ困った…もう一度国境に戻って誰かに聞こうか。と何にもない道でポツン、途方に暮れていると

「こっちこっち」

と、どこからかおじさんとちっちゃいお子さんが現れて呼んでいる。

うろうろして訳が分からなくなっている自分をどこからか見ていたようで、

「ここで待っていたら乗り合いバスが来るよ。」

「街まで行けますか?」

「大丈夫!」

本当に訳が分からなくなってきてこのまま歩いてこの1本道を行くしかないのかと思いかけてたから助かった…

お礼を言って、写真を撮らせてもらった。お子さんは照れてしまってカメラを向いてくれなかったけど、撮れた写真を見てもらったらとても喜んでくれた。

そうこうしているうちに乗り合いバスがやって来て、トルコ最初の街「ドゥバヤジット」へと運ばれていった。

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こちらに続きます↓


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