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中学男子と高学年女子の母。いい歳してもV系から抜け出せていない。今年も無理です。小児が…

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中学男子と高学年女子の母。いい歳してもV系から抜け出せていない。今年も無理です。小児がんの長女との、悲観しない闘病時間を発信してます。

最近の記事

小児がん女子・シーズン2(8)

鼻血が止まらなくなった日から数日、少しずつ白血球が回復してきた。この分ならクリスマスは家に帰れるかもしれないね、などいっていた19日のこと。 長女は高熱を出した。朝、少し高めで昼近くに落ち着き、午後の検温をしたときだった。美人の看護師さんと「顔色もよさげだし、あっても37℃くらい?」などと話していたら、39℃オーバーだった。 「インフルエンザかな!」と言うと、長女は「検査イヤなんだけど」と心底嫌そうに言った。すぐに主治医が来て、容赦なく鼻に棒を突っ込んでいた。長女はお気に

    • 小児がん女子・シーズン2(7)

      朝4時から鼻血が止まらないという。血小板が少ないから、血が止められないのだ。 昔、折原みとの「時の輝き」で、小さい男の子が擦り傷だかで血がとまらなくて…のようなことがあったと思ったが、「がん治療あるある」かもしれない。 急いで病院に行くと、病室の前に義父母がいた。義母は案の定、「どういうこと!」とちょっと取り乱していた。 長女は鼻に詰め物をして、さらにティッシュで鼻を押さえている。そのティッシュが、じわじわ血に染まる。 止血の処置はとられ、輸血もしている。もう、止まる

      • 小児がん女子・シーズン2(6)

        11月半ば過ぎ。いよいよ、全4コースの1コース目が始まった。 今回使う薬は、シーズン1で使った薬に再発時に使われるという薬を1つプラス。「イホスファミド」「カルボプラチン」「エトポシド」それぞれの頭文字をとって「ICE療法」といわれた。 1コースは5日間。はじめの2日は上記の薬を3つ使い、残りの3日間はカルボプラチンを除いた2つを使う。これを、およそ4週間空けて4回行う。 「ICE…ふーん、かっこいいじゃん…」と、さまざまな中二病要素に早くも毒され始めていた長女は、そう

        • 小児がん女子・シーズン2(5)

          長女にストーマをつくることになった。ストーマとは、人工肛門のことだ。 大網切除~術後感染からの、腸に穴があいてしまった、という流れだ。炎症反応の原因はこれだったと。塞ぐことは可能らしかったが、不具合がないかを確認するのにはそれなりに時間がかかるらしい。血液内科の先生からは、早く化学療法を始めたいと。 じゃあ、一時的に人工肛門にしちゃおう!ということになった。さすがに「えーホントですかー」と半ば笑ってしまっていた。まさかの流れに、頭がまったくついていけてないかったのだ。

        小児がん女子・シーズン2(8)

          小児がん女子・シーズン2(4)

          大網切除手術は朝から行われた。私は長女を見送った。「じゃあねー」と、また軽い調子だ。そういえば、入院してからの再度の手術の説明で質問はないかといわれたとき、 「おしっこの管は、入れますか?入れますか!」 と聞いていた。彼女にとって、とても重要なことらしかった。残念だけど、入れるよね。 それほど難しくないといわれた手術だった。ほかに転移しているような場所もなく、手術自体は無事に終わった。 しかし、そうそううまくいくものではないらしい。術後、炎症反応が下がらない。これが下

          小児がん女子・シーズン2(4)

          小児がん女子・シーズン2(3)

          再度入院する前日、外科の先生と血液内科の先生と話し合いがあった。説明に用いられた書類には、前回の病気の再発とあった。 「血腫は卵の殻のようなものに包まれていた。その殻のようなものから、わずかに細胞が見つかった。腫瘍になる前に、(なぜか)血腫ができて、そちらが大きく塊になった」 ざっくりした説明だったが、「そうですか」としか言えないし、こんなもんできる原因なんて明確にはわからないのだろう。そのストーリーに噛みつくこともなかった。できた事実があった、それだけなのだ。 血腫は

          小児がん女子・シーズン2(3)

          小児がん女子・シーズン2(2)

          長女が入院する日が来た。夫が休みをとれ、入院セットが詰まった大きな荷物を車で運べてよかった。私は免許ない、あまり役に立たない女だ。 再発の疑いがあると言われた直後、夫は会社に連絡し、土日休みを平日休みに変えていた。前回の経験からだけれど、平日に親が病院いたほうがいい。検査も主治医からの説明も、多くは平日の日中だ。土日は外泊も可能だから、病院にいないこともある。平日に夫とバトンタッチできるのは本当にありがたかった。 入院するのは外科病棟。まずは開腹して生検、それから化学療法

          小児がん女子・シーズン2(2)

          小児がん女子・シーズン2(1)

          2019年8月26日、長女は外来で診察を受けた。2018年の4月はじめに退院し、1年以上が経過していた。これまで1~2カ月に1度、内科で受診していたが再発の兆しはなく、先生も「大丈夫だね~」と毎回和やかな雰囲気だった。 それが、その日の診察で「とんちゃん(長女)、ママにお話があるからちょっと外に出ててもらっていい?」と先生がにこやかに長女に言った。長女は外に出た。いやな予感しかしなかった。 「肝臓付近に塊があります」と。腫瘍とは言われなかった。「えー…」と顔を覆ったことを

          小児がん女子・シーズン2(1)

          小児がん女子・シーズン2(0)

          歳のせいか、記憶がどんどん薄れていくのを感じる。どうでもいいことばかり覚えていて、大切なことを忘れていっている。 たとえば、子どもの闘病の様子。あんなに辛そうにしていた子どもの姿が、どんどんかすれていっているようだ。もしかして、覚えていたくないことなのかもしれない。 長女が抱えた病は、おそらく生涯つきまとうものだ。正直、それをシーズン1では感じていなかった。この病気にはシーズン2がある。それに直面したとき、自分のあいまいになっていく記憶に腹が立った。きちんと記録していなか

          小児がん女子・シーズン2(0)