田村ゆかり[LOVE ♡ LIVE 2021 *Airy-Fairy Twintail*]広島公演の感想

この記事は、6/18に行われた田村ゆかりさんのライブ[LOVE ♡ LIVE 2021 *Airy-Fairy Twintail*]広島公演に関する内容が含まれています。
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ライブツアー「LOVE ♡ LIVE 2021 *Airy-Fairy Twintail*」広島公演に参加してきました。緊急事態宣言の影響で公演の日程が前後したこともあり、自分にとってはこの広島公演が今ツアーでの初参加です。ライブから少し日が開いてるので若干うろ覚えな部分も思いますが、ご容赦ください。

これまでもたくさんライブは見に行っていましたが、今回は参加する前から変な緊張感がありました。
声を出しての声援禁止、マスク着用。コールがクラップ?座席の間隔は?など、これまでのライブと全然違ったものになるんじゃ?という不安。そもそも最後に参加したライブが2019年8月の「Twilight Chandelier」ツアー横浜公演だったので、それ以来約2年ぶりのライブです。ライブ開演直前になっても「あれ?ライブってどんな感じで楽しむんだっけ」という、地に足のついていないような感覚でした。
そもそも自粛期間中は、自宅周辺とたまの会社以外ほとんど出かけていない生活です。「少し離れた地に行って、ライブを見る」これがいかに非日常的で、現実感がないものかを改めて強く感じました。

そしてライブがはじまって

ギリギリまで宿泊先のホテルで待機し、入場開始時間が少し過ぎても まだ頭が覚醒せずに現実感が薄かったのは寝不足のせいだけではなかったと思います。そんなフワフワした気持ちの中、開演時間になって、一曲目が始まりました。

1曲目「Only oneのあなたのせいよ」。昨年6月に発売されたアルバム「Candy tuft」でも1曲目を飾るキャッチーな1曲。アルバム発売以降何度も聞いたイントロが流れ、ゆかりんが登場、会場がピンク色1色に染まります。この曲が1曲目で良かったと思いました。
生で聴くのは初めてのはずですが、「いつもの」感覚で楽しめるライブ。何よりこの曲は元々の音源にクラップ音が入っています。「手拍子をしてライブを楽しむ」という感覚が1曲目からスッと理解でき、ライブが始まるまで持っていた不安が氷解しました。

そして2曲目は「ガラスの靴にMoonglow」。前述した2019年のライブツアー「Twilight Chandelier」で何度も披露された楽曲です。
嬉しかったのは、この曲の演出や振り付けが前回のツアーのときと大きく変わっていなかったことです。
前回のツアーも全国の会場を回る公演、そして広島公演は同じ6月に同じ上野学園ホールの会場。なんと座席も前回とほぼ同じ位置という偶然です。
1曲目で脳が起動し、この2曲目で「ああ、ゆかりんのライブに参加しているんだ」という気持ちになりました。それは単に久々のライブを楽しんでいいるだけではなく、「コロナ渦以前はこういう風に楽しんでいたな」という感覚を思い起こさせてくれるものでした。
たった2年前のはずですが、何だか別の世界線のような気持ちです。

ガラにもなく真面目な?感想を書いてしまったので、ここいらで本来のゆかりライブ的感想を書いておきます。
3曲目の「Catch me Cats me」のイントロの振り付け、狂気的に可愛いです。Catch me Cats meはMVが発表された瞬間から「やばい曲が生まれた」と感じるほど好きな一曲なんですが、ライブでもその期待値を大きくこえる魅力を全身に浴びました。
しかしこのあと、それよりも大きな衝撃を受けます。

4曲目をはさみ、5曲目の「Umbrella Sign」です。今年発売されたアルバム「あいことば。」に収録されている雨と傘がテーマのしっとりとしたこの曲は、雨の曲、もっというと「傘の曲」が好きな自分にとって今回のアルバムで1・2を争うほど好きな曲です。これまでの傘曲といえば「未来パラソル」や「RainyRainySunday」「虹色バルーン」など 傘を使った振り付けが印象的で、この曲も歌詞に合わせて傘を動かしたり閉じたりといった表現が魅力的なステージでした。
しかし、この曲での一番の見所はサビ、それも特に一番最後のサビの「♪気づいてるでしょ?」のフレーズです。このときにほんの一瞬だけ小首をかしげる仕草が入り、パッと「♪Umbrella Sign」に切り替わるのですが、その仕草が最強に可愛いです。
これまでライブの「瞬間」としては、2018年「ゆかりっく Fes ’18 in Japan」で披露された「チェリー」(カバーver)のサビ「♪愛してるの響きだけで」でステージ袖から中央に戻るときにカメラに向かってクルッと回るシーンこそ志向と思っていたのですが、今回のUmbrella Signはそれに勝るとも劣らない名シーン。あの瞬間だけを見るためにチケット代を払ってもお釣りが来るぐらいです。

アコースティックコーナー

元々「アコステライブを開いてほしい」と常々言っているぐらいには好きアコースティックコーナー。近年のアコステパートは昔のようにバラード調の曲ばかりではなく、「Cherry Kiss」などのアップテンポの曲も積極的に採用されている印象です。何となく太陽のイブぐらいが転機な気がしていますが。
私としてはこういう「アップテンポの曲のアコースティックアレンジ」がとても好きなので、ここ数年のライブでも特に楽しみなパートの1つです。

今回のアコステパートで個人的に大きく印象に残っているのは「fancy baby doll」と「嘘」です。

「fancy baby doll」はご存知「世界一かわいいよ」のコールで有名な曲。今回のライブでは当然声を出せないので、そのコールの部分がクラップで行われました。
この「世界一かわいいよ」のコール、皆さんは「一番も言う派」でしょうか?それとも「言わない派」でしょうか?笑
自分は古の面倒くさいオタクを未だやっているので「言わない派」なんですが、(別に言ってもいいと思いますし、そこで争う気はないです)今回のアコステでも特に意識することなく、自分がその瞬間だけクラップをしていない事に気づき、そこで改めて「クラップでコールをするのに違和感がなくなっている…!」と早くもこのライブへの順応を感じます。「クラップをしない」ことで「クラップでコールをすることに違和感がなくなっている」というのが、なんとも認知学的に面白いですね。
ちなみに会場全体の雰囲気もいつもの「1番はコールいれ…いれる?」というバラバラとした感じがクラップで出ていて、実家のような安心を感じました。笑

(閑話休題)

もう一曲印象に残ったのが「嘘」なんですが、これは今回だけではなく今までのアコステバラードをあわせても特にアコステで聴けて良かったです。
この手のバラードは(もちろん雰囲気は好きなんですが、)個人的にはそこまで強く「共感」できることが少ないです。それは歌詞が女性目線だったり(ゆかりんの曲は殆どが女性目線ですが)心象表現が具体的なために自分に重ねらづらかったりするためです。
今回も「凄く共感できた」というわけではないのですが、なぜかこれまでのバラードよりも ゆかりんの言葉がはっきりと「言葉」として胸にストンと入って来ました。「歌」として刺さったといいますか。
共感や感動して泣く…などではなく、「いい曲で、いい歌詞で、すごくいい歌だなあ」と思え、CDよりもライブで聞いてより良さがわかった曲でした。こういう気持ちを味わえるのもライブの醍醐味ですよね。

映像と舞台演出の凄さ

アコステのあとにあった映像、とても良かったですよね。
内容について詳細は書かないのですが(あのエモさを文字で表現するなんて野暮な事はできません)、映像から「Pink Pygmalion」につながる流れが本当に秀逸で、今回のライブの目玉・ハイライトはここだと思います。

映像からの流れもそうですが、ステージの演出がこれまでにない感じでしたね。桃色メイツ(ダンサー)さんが持っている六角形のパネルとダンス・曲の演出の組み合わせが斬新で、ステージの電飾との親和性も高くて、Pink Pygmalionの曲自体もとても素敵なんですが、それ以上に1曲通しての演出が良くて、あのステージの演出だけでもこのツアーに参加する意味があります。絶対に見たほうがいいです。あまりにコンセプトから演出がまとまっていたので、おそらくですが今回のライブはこの曲を起点にステージセットが作られてるんじゃないかな?と思ったぐらいでした。

前回のTwilight Chandelierツアーでも感じたんですが、近年のライブは昔以上に舞台演出や照明効果にこだわっている印象がありますよね。

例えば14曲目の「Bad Eclipse」では全体の照明が赤系で構成されてるんですが、単純な赤だけではなく、シーンによってオレンジ掛かっていたり、ピンクよりの色味だったり、補色を当ててコントラストを出していたりします、また、次の「シレーヌの心音」では暗いステージ上で背景の電飾が「心音」のように赤く明滅する演出が入るんですが、そこも単に暗いだけではなく、少し緑がかかった照明が全体に当てられていて、より「生々しさ」「深い海のような心象」が表現されているように感じました。

心象表現よりも情景描写に重きを置かれているような印象の曲目もあり、「花火」ではゆかりんを中心に光が広がっていくようなイメージの演出が、「涙のち晴れマーク」では薄青い照明にスモークが焚かれて、ステージ上がまるで雲の上のように見えます。しかもこの曲ではバンド紹介後の演出で、ステージ上から光が降り注ぐような、ーーまるで雲の切れ間から晴れ間がみえてくるような表現があり、そこだけでも鳥肌モノです。
「花火」とかどういう風に演出を作っていってるんでしょうね。何となくですがコンセプトアートを作ったあとで、3Dなどで一度擬似的にモックアップを作ってそうな気がしています。

会場みんなで盛り上がるターン!

ゆかりんのライブは、途中までは「作品」を見ている印象があるんですが、後半のどこかを起点に一気にステージと会場が一体化するような、特に後半〜アンコールかけてフェスっぽさがでてくるというかグルーブ感が強くなる印象があります。
今回のライブでいうと「Tremolo Mellow」や「ケセラセラ」など、バンドメンバーが定位置から移動して、みんなで盛り上がるような楽曲です。

特に「ケセラセラ」はステージを見て大きく印象が変わりました。
CDで聴いていたときは「のんびりした、日々のなかで幸せをみつけよう」みたいな印象だったのですが、ライブで聴いてからは「みんなで前向きに生きよう」みたいなイメージに変化しました。
このステージは良い意味で これまでのゆかりんっぽくないというか(これまでのゆかりんって何なんだって言われると分からないですが)、会場全体で歌っているような、もちろん声は出せないんですが、そんな感覚です。

ケセラセラだけではなく「私だけMissing」やアンコール後の「それは奇跡なんかじゃない」などでも、今回はいつも以上に我々観客に向かって「自分の言葉」を届けてようとしていただけているように感じました。
もちろん演出として意図してやっている部分も多少あったのかもしれませんが、歌い方などでも観客に何かを伝えようとしてくださっているような…。
(よくあるファンの勘違いな気も多分にしています…笑)

いまこそ「田村ゆかりライブ」だ!

最後の「La La Love call」が終わったとき、楽しかった・感動したなど様々な感情が湧きましたが、一番の感想としては「元気をもらった」です。
ジェットコースターのように強く感情を揺さぶられるというよりも、1曲ごとに気持ちを引き上げてくれるようなエネルギーを受け取りました。パワフルとかそういった力強い言葉はゆかりんのイメージじゃないですね…、どちらかというとMPを回復してくれる不思議な泉系でしょうか…笑

今回のツアー、ゆかりや楽曲の魅力もそうなんですが、映像やステージ演出・振り付けなども含めた各パートのクオリティがこれまで以上に高かったです。
これは持論ですが、中心のキャラクター(個性という意味であえてこの言葉を使いますね)の魅力だけで引っ張るチームって、その個の引き出しだけを開け続けないとダメなので負荷がメチャクチャ掛かるんですよね。
ですが、これが他のところでも勝負できるなら。例えば演出などでも高い魅力を出せるなら、その中心のキャラクターは安定したパフォーマンスができますし、総体としてのパフォーマンスも上がりますよね。これができるチームは本当に強いと思います。同じクリエイターとしてめちゃめちゃ刺激を受けます。

これは本当に個人的な感想なのですが、昔(それこそ10年とか前)のライブはいわゆる「声優ライブ」としての型があって、その型はおそらく「個人の魅力だけをひたすら前に出す」というのが最適解なんじゃないかなと思うんですが、今のゆかりライブは少し違っているように思えていて、ゆかりんの個性や魅力はもちろんなんですが、「チーム田村ゆかりの公演」としての魅力も高まっているように感じていて、ここ6〜7年の守破離的な表現が結実している印象があり、まさに田村ゆかりのライブを見るなら今が一番楽しい。「いまこそ、田村ゆかりライブ!」と声を大にして言いたいです。

最後に

正直、関西から広島に行くのに(ある程度近いといえど)全く不安がなかったわけではないのですが、行ってよかったなあと思える内容でした。元気をもらえました。
この大変な時勢の中、ライブを開催いただいたゆかりん、スタッフの皆様、本当にありがとうございます。

今後も、名古屋や京都など参加する予定なので、また楽しめたらなと思います。それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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