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幻獣病理医パトロギの事件簿 あとがき

まずは創作大賞に応募した「幻獣病理医パトロギの事件簿」を読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
まだ読んでいない方は下記のリンクから読むことができます。ぜひこの記事を読む前に一読していただけると嬉しいです。

実はこの話を書こうと思ったときにきっかけとなった事件がありまして、この機会に紹介させていただきます。

詳しいことは上記のリンクに載っていますが、軽く説明すると、インドでは抗炎症剤であるジクロフェナクを牛に使用していました。これを投与するとけろりと症状が改善するので、現地では万能薬のように使われていた薬です。
ですが、症状を抑えるだけであって原因を叩くわけではないので、当然回復したように思えても、根本を治療しなければ当然牛は死にます。
そしてその死体を食べたハゲワシたちが中毒を起こし、結果としてハゲワシの大量死を引き起こしました。特に死肉専門のハゲワシたちが強い影響を受け、ある種のハゲワシはなんと99%も生息数が減少してしまいました。

ちなみにこの薬、解熱作用もありますが、メインは痛み止めです。
元ネタにしたのが解熱剤でなくて申し訳ないのですが、一応解熱作用もあるので……。

でもハゲワシがたくさん死んでしまったのはたしかに痛ましいことだけど、人には関わりないと思うじゃないですか?

違うんです。ちゃんと人の生活にも影響があるんです。

中毒のせいで、ハゲワシたちがいなくなってしまいました。
さて、その次にくるのはなんだと思います?

野犬です。インドは牛を食べる文化がありません。ハゲワシたちがいた頃は彼らが掃除してくれましたが、いなくなってしまったので放置された牛の死肉に誘われて野犬が大量に増えてしまいました。

野犬が大量に増えれば、自ずと増える病気があります。そう、狂犬病です。
狂犬病は発症すればほぼ確実に亡くなる病気で、日本では撲滅されましたが、海外では依然として多くの死者を出しています。

何気なく使っていた牛の治療薬が結果として恐ろしい病を増やしてしまうというまさに風が吹けば桶屋が儲かる状態です。まあこの事件は誰も得していませんが。

長々と書きましたが、小説のほうは何か特別な知識をもっていなくても読めるものとなっておりますので気軽に読んでください。

ただ現実でもこのようなことは起こり得るのだと、知っていただければ幸いです。

最後にここまで読んでくださった皆様に感謝を。ありがとうございました!

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