鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いつ…

鳥野 小川

大体週1回、日曜に小説を投稿するアカウントです。長編はNolaに載せています。 思いついた話から書きます。楽しんでいただければ幸いです。

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  • 短編小説まとめ

    自分の作った小説の中で4千字~1万字程度の話をまとめたものです。明るい話、暗い話はバラバラですが手軽に読める程度の短い話ばかり集めました

  • 長めの小説まとめ

    自作小説1万字~10万字程度の話のまとめです。世界線が同じものもあれば違うものもあります。

  • 三人組シリーズ他まとめ

    くだらなくて騒がしいが、仲良しな三人組の話のまとめ。または同じ世界線にある話のまとめ。ひとつひとつ独立しているので全部に目を通さなくても読めます。

  • 不完全なワンダーランド他まとめ

    不完全なワンダーランドと同じ世界線の話をまとめたものです。妖怪など人外がでてくる現代ファンタジー、または和風ファンタジー。

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三人組シリーズ 時系列と関係性

今回は小説ではなく、ちまちま書いている三人組シリーズの登場人物および時系列についてのまとめです。 本当は順序よく出したかったのですが、如何せん私が思いついた話から無計画に書いていくので、時系列がぐちゃぐちゃ、おまけに投稿頻度もまちまちと、実に不親切な状態となってしまったのでここで一度整理しておきたいと思います。また新たな話の度に追加・変更する予定です。 *()の年齢は一番初めに出した「夏、いつもの始まりを」を基準にしています。 登場人物 メインの三人組火上光太(高1):小麦

    • 【短編小説】石の心臓

      ああ、やっと見つけました。探しましたよ。 謎の石と不吉なナニカを書き綴ったとあるノートの話。  女は必死の形相で文字を書き連ねていた。真っ暗な部屋の中、机についた一本の蛍光灯の青白い光だけを頼りに紙にペンを走らせる。  きっとこれを書き記すのは褒められたことではない。それどころか何の関係もない多くの人を巻きこんでしまうかもしれない。だが女にはもはやこの方法しか残っていないのだ。  ノートに書き連ねた文字はところどころに消し跡が残っており、線が震えてしまっている字もある。お世

      • 【短編小説】涙空トーストのはじまり

        いつか骸も花のための養分となる。 どうしても小春ちゃんに救いある展開を与えたくて…。上記の話と関連しています。「桜の樹の下には初恋が埋まっている」は読んだほうがわかりやすいかもしれません。  小春がその店を訪れたのは偶然だった。  あの忌々しい花も散り、ようやく青々とした若葉が腕を広げたころ。ふいに目に飛びこんできたのは街中にひっそりと佇む一軒のカフェだった。  汚れ一つない白い壁に温かみのある木の扉。扉の傍らにメニューの書かれた看板が置かれていなかったら、住宅の一つとし

        • 長編紹介 陰影の照明 氷雪の竜

          今回はNolaノベルのほうで連載している長編小説の紹介です。リンクはこちら。 まだ二章分(クエスト)しか公開してはいませんが、全十章、随時更新していく予定です。ジャンルはファンタジー。魔物も魔法も出てきます! あらすじ「約束しているんだ。必ずあの竜の存在を証明してみせると」 動きやすい麻の服、丈夫な厚手のマント、革の長靴。腰のベルトには剣ひとふりと金入れ袋、小さな道具袋をいくつか、あとは衣服の替えなどを入れる大きな背負い袋。そして忘れちゃいけないのが一冊の本。 学者のニッ

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        三人組シリーズ 時系列と関係性

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          12本

        記事

          【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

          埋めても埋めてもまた芽吹く。 初恋を桜の下に埋めた少女の話。  桜が嫌いだ。いかにも春代表の顔をして、自信満々に咲き誇るあの花が嫌いだ。  頭上の梢は、堅い鱗のような皮がほころんで、淡いピンクの裾がちらりと覗いていた。日が落ちれば、空気はまだ冬の残り香を漂わせるというのに、だ。  ああ、今年もやってきてしまった。最も忌まわしいこの季節が。  少女は憎悪のこもった目で月明かりに照らされた小枝の先を睨みつけた。天に向かって無邪気に手を伸ばす様がいっそう憎たらしい。やがて蕾はほこ

          【短編小説】桜の樹の下には初恋が埋まっている

          【短編小説】春、小樽、一人旅

          卒業おめでとう。 いつもは二人で行く小樽旅行を一人で行く「私」の話。  澄み渡るような青空の下、彼女は今までで一番きれいな姿で笑っていた。淡い黄色着物に萩色の袴、髪には太陽のような牡丹が揺れている。  私は薄っぺらい長方形の画面についた丸を押した。カシャと軽い音がして、彼女の姿は手元の端末に永久に焼き付けられた。あまりに手軽で、この光景の重みも薄れてしまうような、あっけない終わり方だった。  実家へ向かう特急列車に乗りこむ彼女を見送って、彼女の姿が見えなくなって、私は。私は

          【短編小説】春、小樽、一人旅

          【小説】花より団子、月より兎 お花見

          上記の話の続きです。これで終わります。 最後は兎たちとお花見。  カーテンを勢いよく開けて、佳奈子は伸びをした。天気は晴天、風が運んでくるのは春の陽気。絶好のお花見日和だ。  佳奈子は袖をまくり上げた。 「あの、佳奈子さん、僕らは一体何を手伝えばいいんでしょうか」  おずおずと佳奈子の裾を掴んだのは大きな黒兎、あんこだ。 「じゃ、まずその手袋つけて」  この日のためにビニール袋で彼ら用の手袋を作っておいたのだ。これで彼らの毛が混入することはない。 「え、今回は何す

          【小説】花より団子、月より兎 お花見

          【小説】花より団子、月より兎 たけのこご飯

          上記の話の続きです。 今回は二匹の兎とたけのこご飯。  それから数日経ったある日。ポストの中に一枚の紙が入っていた。  普通の厚紙かと思ったが、よくよく見てみるとラメのような粉状の箔が散らしてある。それは闇の中、僅かな光に反射し、きらきらと輝いていた。まるで天の川のように。  そしてその紙には一言、 『今週の土曜、佳奈子さんのご都合がよろしければ、18時頃伺ってもよろしいでしょうか』 と書かれていた。 「いやよろしいでしょうかって、どうやって返信しろっていうのよ」

          【小説】花より団子、月より兎 たけのこご飯

          【小説】花より団子、月より兎 ちらし寿司

          そういえば春編を書いていなかったので、久しぶりにこのシリーズです。全部で3編になります。 今回は新しい兎を入れた三人の雛祭り。  畳んだタオルの山にうららかな日があたる。洗濯物を畳み終わった佳奈子は大きな欠伸をした。暖かな陽光は油断すればすぐさま夢の世界に引きずりこんできそうだ。  朝晩はまだまだ冬の気配が色濃く残るが、昼間はすっかり春の陽気が大手を振って闊歩している。そろそろ近くの公園にも桜の蕾がほころぶころだろうか。そうだ、あの公園と言えば―― 「っていけないいけない

          【小説】花より団子、月より兎 ちらし寿司

          【短編小説】真昼の残照

          たとえ天高く照る真昼の太陽でなくとも。 三人組シリーズに出てくる剣道部コンビの片割れ森田迅介の夕暮れ時の独白。  赤みがかった西日が窓から差しこんでいる。心地よい温度は眠気を誘うのに十分だ。これが昼食後の日本史だったのならば、自分も舟をこいでいたかもしれない。 (いやないな)  即座に否定した自分自身に、迅介は苦笑をこぼした。  きっと眠るくらいなら資料集のコラムやら教科書の隅に載っている歴史上の人物のちょっとしたエピソードを読んでいるだろう。教師の話が冗長でも、内容自体は

          【短編小説】真昼の残照

          【短編小説】記憶の置き傘

          あなたが忘れたものはなんですか? 男と何度も現れる赤い傘の話。  それを見つけたのは小雨降る夕方だった。電柱の影に隠れるようにひっそりと立てかけてあったのは一本の真っ赤な雨傘。これをさして歩いていればさぞかし目立つことだろう。だが先ほど足早に通り過ぎていったサラリーマンの男も、向かいからやってきた女子高校生の集団も誰ひとり気づく様子はない。  誰かが忘れてしまったのだろうか。それにしてもなんでこんなところに……。  ここは通学路にもなっている住宅街だ。そのど真ん中に傘を置き

          【短編小説】記憶の置き傘

          【短編小説】恋バナアマンドショコラ

          密やかに可愛らしく甘やかに。 ハッピーバレンタイン!とは言っても今回は三人組シリーズに出てくるさくらの後輩優とさくらの姉るりの女子会。 上記の話と地続きの話です。読まなくても読めますが、読んだほうがわかりやすいかもしれません。  ピンク、ホワイト、レッド、――そして深みのあるブラウン。この時期にしか見られないきらきら輝く恋の菓子。  自動ドアを抜ければ可愛らしくデコレーションされた文字が大きく踊っていた。そのポップの下には大手菓子メーカーの板チョコだけでなく、球状やら楕円

          【短編小説】恋バナアマンドショコラ

          【お知らせ】先週から試験祭りで時間がとれなかったので、今週の投稿は休みます。来週は投稿する予定です。

          【お知らせ】先週から試験祭りで時間がとれなかったので、今週の投稿は休みます。来週は投稿する予定です。

          【小説】握り潰された花の名は(4)

          結局、何もできずにアニタを送り出すことしかできなかったセーバ。失意に沈む中、新たな生き神のお披露目がひらかれる。セーバは降臨した神に何をみるのか。 上記から続く生き神の器の少女と若き僧の、どうしようもない運命に翻弄される話。これで完結します。  儀式は恙なく終わったと聞いた。  喜びにわく人々の声は、セーバにとっては呪いだ。浮かれた喧騒や街に飾りつけられた花々が、己の体に重い鉛を注ぐ。  あの子が勇気を出して伸ばした手を、とってやれなかった。見殺しにした。事情を知っている

          【小説】握り潰された花の名は(4)

          【小説】握り潰された花の名は(3)

          神と器の衝撃の真実を知ってしまったセーバ。しかしどうすることもできずに、いたずらに時間だけが過ぎていくだけ。セーバが出した答えは、そして神の器であるアニタの運命はどうなるのか。 上記の話から続く生き神の器の少女と若き僧の、どうしようもない運命に翻弄される話。次で終わります。  三年が経った。国をとるか、アニタをとるか。未だセーバの答えは出ていない。 「ねえ、セーバ」  アニタはまだ少女の域を抜け出していなかったが、ここ三年で背が伸び、輪郭もしゅっとして大人びた雰囲気を

          【小説】握り潰された花の名は(3)

          【小説】握り潰された花の名は(2)

          理由もわからぬままに先代生き神ニドサータより任命された神仕えをまっとうするため、若い僧セーバは次期神の器となる少女、アニタの遊び相手となることに。 上記の話から続く生き神の器の少女と若き僧の、どうしようもない運命に翻弄される話。  次の日、案内されたのは昨日のかしこまった部屋ではなく、その二つ隣の部屋だった。中は柔らかい座布団がいくつも置かれ、おもちゃらしきものも散らばっている。その窓際に少女は座っていた。 「はじめまして、アニタさま。今日からあなたの遊び相手を務めさせ

          【小説】握り潰された花の名は(2)