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【山陽バスむかしさんぽ】(17)名谷駅

桜の花が咲く名谷駅バスターミナルで待機する山陽バス。名谷駅には山陽バスだけでなく、神戸市交通局さまや神姫バスさまの路線も乗り入れていて、タイミングによっては三社局のバスが並ぶ光景を見ることができます。

名谷駅バスターミナルで待機する山陽バス

拡大を続ける西神ニュータウンの輸送を確保するために神戸市営地下鉄西神線が着工されたのは1972年11月25日のことでした。その5年後の1977年3月13日、西神線名谷~新長田駅間が開業し、緑色の電車が山間を駆け抜けるようになりました。須磨村の深い山奥だった落合池周辺は神戸の都心と結ばれて、須磨ニュータウンの中心として爆発的に開発が進みました。

名谷駅にやって来た神戸市営地下鉄の6000系

現在の名谷駅は西神山手線では三宮駅に次いで第二位、市バスでは市内で第一位の乗降客数がある一大ターミナルです。

名谷駅で待機する山陽バス

この名谷駅への山陽電鉄バス(当時)のバス路線が開設されたのは地下鉄の開業から3年後の1980年3月19日のことでした。福田川に沿って走り、川の上流に位置する奥畑までだった山陽電鉄バスの名谷線は名谷駅バスターミナルへ乗り入れ、垂水と名谷を結ぶ基幹路線へと発展することになりました。

名谷駅では現在、「名谷駅前再整備」として再開発事業が進展しています。壁画が印象的だった現駅ビルは北側の新ビルと合わせて「tete名谷」となる予定で、現駅ビルのリニューアルに先立って、2023年6月30日には北側の新駅ビルが開業しました。

tete名谷北エリアの入口
tete名谷のPRが掲示されている仮囲
tete名谷北エリア

現駅ビルの2階には神戸市交通局さまの定期券発売所とともに山陽バスの「名谷サービスセンター」が設けられていました。2000年6月1日に営業を開始し、定期券発売所とともに垂水営業所に置かれていた高速バス予約センターの機能を移した山陽バスの総合窓口的な存在でしたが、新ビルへ移転は行われず、2023年6月に23年の歴史に幕を閉じることとなりました。

駅の北側には落合池が佇んでいました。福田川の源流としてはるか昔からこの地に水をたたえてきた池は、今も変わりゆく町の景色を静かに見つめています。

落合池

廃線跡調査が一つのジャンルとして成立している鉄道趣味に対して、バス路線は休廃止されればそこはただの道路になってしまいます。そのせいか、「廃バス跡」の調査はバス趣味の世界でもかなりマイナーな分野なのが現状です。しかし、「廃バス跡」の調査からは忘れられ、失われてしまったちょっと昔の町の姿が見えてきます。この「山陽バスむかしさんぽ」シリーズでは、今の神戸や明石を歩きながら、かつて走っていた山陽バスと昔の町の面影を辿っていきたいと思います。

参考文献
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道百年史』(2007年)
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道六十五年史』(1972年)

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