【金剛バス】東條線(吉年線)の旅
東阪停留所からは千早川の谷間を離れて坂道を上ることにしました。坂の上には吉年地区の集落が広がっています。集落の外れに小さな転回場のある吉年停留所がありました。こちらは千早線とは別の路線の東條線の終点です。街中では別路線で近接する停留所はよくありますが、山間部では珍しいですね。
小春日和の穏やかな日差しの差し込む山間の集落。
木立の向こうからエンジン音が聞こえ、富田林駅前から山道を上ってきた金剛バスさまの緑色のバスが姿を現しました。
富田林駅前から吉年に到着したバスは一度東阪の方へ頭を振ってバックで転回場へ入り、停留所へ着車しました。山間の停留所でバスが展開する光景はたまらない良さがあります。ただ、吉年で降りる人はいませんでした。
金剛バスさまの東條線の終点・吉年停留所で発車を待つ富田林駅前行きのバス。停留所の背後には竹藪が広がっていました。
吉年から金剛バスさまの東條線のバスで富田林駅前へ戻ることにしました。急ぎ足でバスに乗ろうとすると、乗務員の方からまだ発車しないから大丈夫と声をかけていただきました。吉年が定刻での出発だと途中停で早発になってしまうので、遅れ気味に出るそうです。のどかな空気が流れていました。
定刻から2分遅れて吉年を発車した富田林駅前行きのバスは山の中を走っていきます。金剛バスさまの音声合成の声優は山陽バスと同じ森田夕里さんで、吉年の次停の多聞橋停留所のアナウンスには山陽バス的なものを感じてしまいました。
多聞橋停留所から小吹停留所への山道には紅葉が残っていて、バスの車内が紅色に染まりました。
東條線は南海バスさまに引き継がれる予定ですが、それも富田林駅前から甘南備停留所までで、甘南備~吉年間は廃止されるそうです。バスの車内からこんな紅葉を眺めるのはこれが最後なのでしょう。
吉年の時点では私一人だけでしたが、山を下りて街中に出ると次第に乗客が増えてきました。途中で甘南備行きのバスとすれ違います。吉年までのバスは1日わずか4往復ですが、途中の甘南備までは1時間に1本程度は運行されています。
富田林市街に入り、金剛大橋で石川を渡ります。家並の向こうに「PLタワー」ことPL教団の大平和祈念塔が見えてきました。
山深い吉年からわずか30分ほどでバスは終点の富田林駅前に到着しました。
到着した時点では乗客はかなり多く、車内は賑わっている様子でした。朝夕は通学輸送もあるそうで、南海バスさまの一般乗合バスとして引き継がれたのもそうした大きな需要があるためでしょうか。
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