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柳の移籍について考察してみた

2022年3月28日、「柳貴博が福岡に期限付き移籍」という衝撃の発表が北海道を駆け巡った。今季は開幕から高いパフォーマンスを見せていた中でのこの移籍。コンサポにとって晴天の霹靂だった。そこで今回は柳の移籍が札幌にどのような影響を与えるのか考察していく。

プレーの特徴

スピードとフィジカルに秀でた右SB。3バックでは右のHVとWB、4バックでは両SBと、最終ラインの軸に与えられた位置で高水準のプレーを披露する。タッチライン際でのプレーを好み、スピードに乗ったドリブルからのクロスが武器。今季はインナーラップなどプレーの幅も広げており、柔軟な選手へと変化しつつある。また、ボールを隠しながらのターンが得意なため、確実に次のプレーに繋げることができる。対人守備や空中戦の強さには定評があり、DFとしての能力はとても高い。特に対人守備では競り負けることなく、ボールが離れた瞬間に相手との身体を入れて簡単にボールを奪い取ってしまう。ただ、カバーリングに難があるのは今後の課題だろう。

何故福岡は柳の獲得に動くのか

しかし、何故福岡はこのタイミングで柳の獲得に動くのか。それは右SBの一番手である前嶋が負傷離脱しているからに他ならない。現在の福岡は開幕戦で負傷交代した前嶋の代わりに右SBでプレー出来る選手が湯澤1人しかいない危機的状況であり、右SBの補強が急務となっていた。そこで白羽の矢が立ったのが柳である。守備力が高く、フィジカルとスピードで攻撃にも貢献できる柳は堅守速攻を掲げる福岡にはうってつけ。また、福岡にはモンテディオ山形時代のチームメイトである熊本、山岸、中村駿が所属しているため、チームに馴染むための時間もあまりかからない。つまり、柳は福岡がこのタイミングで獲得できる最もベストな選手の1人なのだ。

穴を埋めるのは誰か

では、ここからは誰が柳の穴を埋めるのか考察する。柳の起用ポジションは右CBと右WB。途中出場が多く、守備固めと攻撃の活性化の両方を任せられる選手として重宝されていた。では、今の札幌に柳の穴を埋められる選手はいるのだろうか。結論から言うと、今の札幌に柳の穴を1人で埋められる選手はいない。柳の他に右CBと右WBの両方でプレー出来る選手に西がいるが、西はゲームメイカータイプの選手で柳とはプレースタイルが異なる。攻撃の活性化はともかく、守備固めはあまり期待できない。そのため、右CBと右WBのそれぞれのポジションで柳の穴埋めが出来る選手を探す方がいいだろう。

まずは右CB。スタメンの田中駿汰を除いても、西、西野、岡村、井川と実力ある選手が揃っている。この中から私は西野を柳の代役に推薦したい。西野はフィジカルと高い守備力を持ちながらも、ビルドアップや攻撃参加でも持ち味を発揮出来る選手。経験面で不安は残るが、守備固めと攻撃の活性化の両方を任せられる能力は持っている選手だ。

次に右WB。残念だが、柳の穴埋めが出来る選手はいないと見ていいだろう。右WBでよく起用されるルーカスと金子はドリブルが得意なWGタイプの選手。西はSBだが、前述したように西はゲームメイカータイプの選手で柳のようなアスリート能力と守備力は持ち合わせていない。檀崎も今季は右WBでの起用が目立つが、運動量こそあれど守備が得意な選手ではない。もし右WBに守備が得意な選手を必要するのなら、補強をするしかない。

補強の可能性は?

では、札幌は柳の代役の補強に動くのか。まず、登録期限の4月1日までに新しい選手を獲得する可能性は限りなく0に近いと言っていい。既に今季が始まって1ヶ月経っているこの状況で、市場に残っている選手はほとんどいない。無所属の選手であれば可能性もあるが、日本人選手ならともかく、外国人選手をこの短時間でスカウティングして交渉するのは難しい。無所属の日本人選手も探してみたが、今の札幌でプレー出来そうな選手はいなかった。そのため、すぐに補強に動くことはないだろう。

ただ、夏に補強に動く可能性は否定できない。夏のチーム状況にもよるが、札幌の資金力でも獲得できる選手ならば、獲得に動く可能性も十分あるはずだ。

終わりに

補強も望み薄で、代役になり切れる選手も不在。柳の移籍は間違いなく札幌にとって大きな痛手となる。ただ、シーズンが始まってからの移籍はクラブにとっても想定外。柳の立場から考えても、出場機会を得られるチームに移籍したくなる気持ちは分かる。残念だが、この状況はもう仕方ないと受け入れる他ない。だが、今回の移籍は期限付き。まだ復帰する可能性も残されている。今季は福岡での活躍を応援し、来季復帰の可能性に期待したいと思う。

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