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体の主導権は頭より下半身が握っている。

正直、今、とても身体が疲れている。


5〜7月のスケジューリングは、

ことレッスンに関してだけ言えば、

出張多めの、移動が毎日3〜4回あるような、

ありがたいことに、若かりし頃
いつかそうなれればいいなと願っていたような
「売れっ子」な毎日となった。



それに加えて出版関連の締め切りや、
メディアの取材、
コンサートの準備、練習、色々な手配や、
日々のゴスペルのコーラス採譜、


最新シングルのレコーディング音源のミックス作業、ジャケットやプロモーションのこと、



さらにさらに、、

会社経営、経理トラブルや人事の変更、面接
新人スタッフの教育、

講演会やメディア出演向けての勉強など、

何もかもにおいてバタバタしている。



多くて2〜3時間ぐらいしか寝る時間を設定できない上、
そのうちレム睡眠にはどのくらい達するのだろう。

そんな状態でも人前に登壇するときはとんでもない量のドーパミンやアドレナリンを放出する。

足りない時にはキューピーコーワゴールドAと
レッドブル(せめてものあがきで、無糖。)で
脳の活動を補う。

完全に仮の姿となり、

終了後、
反動を受けた体には、
ビールやレモンサワーで脳を誤魔化す。

翌日さらにだるいという負のループだ。

誤魔化しきれなくなれば
さらに日本酒やワイン、テキーラなど
さらに強い酒を投入する。



『疲れマラ』




という言葉をご存知だろうか。

昔よく飲んでたテレビや音楽業界のおじさん達が、

度々口にしていたワードだ。



当時はそんな話で盛り上がるジジィたちが
キモすぎて
全く理解できなかったが、

まさに僕はいま、

猛烈な『疲れマラ』を体験している。



仕事以外にはなんの気力も、
それこそ性欲すら湧かないのに、

僕の体は肉体の滅びる危機を感じ、

本能的に、後世に子孫を遺そうとしている。


そこには僕がゲイであることや
へチマであることなど関係なく、

股間に一房の何某がついているという"事実"が、
ただの、"体の機能"として、
子孫を遺そうと、もがいているのだ。

それはこの酸化の始まった肉体の、
最後の美学なのかもしれない。

気づけば僕の貴重な血流を奪って行く、

元気な我が息子を、

みんなにバレないように必死に隠し、



剽軽(ひょうきん)なゲイボーイは
今日もたくさんの人々の前に登壇するのである。





『疲れマラ』は科学的には、

大脳や副交感神経の働きであり、

先日もエッセイに書いたが、

思考とはかけ離れた存在である。


本来の順序としては、

まず、
神経の機能として勝手に身体が反応し、

その後、
ようやくその性欲を脳が理解するのだ。





『脳科学的に、行動が先、思考は後。』



僕は講演会に登壇する機会には必ず、
アイスブレイクとして、
この言葉をはじめにお伝えする。



考えてから行動が伴ってくると勘違いしている人は、

確実に頭が悪い。
まぁほとんどの人がそうなのだが。





例えばそういう人は、
コーラスレッスンに来たとして、
声も出さずに、
歌詞をひたすら眺め、


『難しい難しい〜』


と勝手に負のループにはいっている。


難しいから、歌わない?


歌が上手くなりたいのであれば、

まず考えるよりも声を出さなければ、

脳が反応し、
筋肉も育つはずがないがないのに、

本当に、頭が悪いこと
この上ない。





そんな人の行動を、

『疲れマラ』に例えるのであれば、



『勃て!!勃て!!息子よ!!

なぜ勃たないのだ!!くそ!!!』




と、レッスン中に、

もがきながらED(勃起不全)
になってしまっているような状態なのだ。


そんな悪い頭で考えずに、
ただただリラックスして流れに身をゆだねればいいのである。

行動し、身体を動かしてから、
ようやくそこで、
初めて考えればいいのである。

サンフランシスコ大学発表の論文にも、

『体の主導権は頭部より下が握っている』

と書かれている。



いつでも身体がした行動が
脳に理解を訴えかけている。


歳をとると頭でっかちになる。

頭でっかちは損なのだ。



こと、ボイストレーニングに関してもそうである。

だからこそ僕は考えるより感じてもらう。

ブルース・リーの
「Don't think! Feel.」は
最強の人生哲学であり、脳科学であり、
全ての人が
人生をうまく生きるためのヒントだったのだ。




煩脳ごときに、、

身体がネガティブに支配されないように、

支配されないような筋力を鍛えてもらっている。





これからレッスン受ける人や、
人生で何かに挑戦したい人は、
心に留めて欲しい。

主導権は身体や身体の行動にある。



頭でっかちに主導権はない。



だから僕の息子には今日も全力で元気でいてもらうしかないのだ。

「もう、限界だよ、お父さん・・・」

そう訴えかける我が息子の話を、
そろそろ聞いてやってもいいのかもしれない。


息子のために、
休日を設けないと。




眠い。

タクシーの中でこれを打った。

あと7分乗れる。

おやすみなさい。







鳥山真翔



※この記事は2019年に他メディア連載に
掲載されたものを転載したものです。


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