見出し画像

【ワールドトリガー】212話・213話 遠征選抜試験⑩ 感想 諏訪さんがとにかくかっけえ ※ネタバレ

こんばんワ(ワ民特有の挨拶)。普段ハイレイン沼に嵌って考察を書いているものです。
つい先ほど更新されたワールドトリガー最新話にて、諏訪さんがめちゃかっこいいので感想を書きたくなりました。

流石に最新話すぎるので、最新話の引用は直接は避けていますがあまりにもネタバレです。単行本やBBFからは引用しています。

安直に諏訪さんのファンになりました。実に安直に。まあ元からかなり好きなキャラクターではあったのだけれども。

どうやら筆者は、「優秀なリーダー」属性にとことん弱いらしい……。もっと細かくいうと、「相手の性格・性質を充分に把握した上でそれをコントロールできる力を持つリーダー」が……。

211話冒頭の古寺と諏訪の会話が特に好きなので、そこだけを今回抽出して感想をつらつらと述べたいと思う。

あのやり取り中で、諏訪は古寺に3つも塩を送っているのである。

・見返りもなく情報を得ることへの警告
・相手と駆け引きをするときは表の意図が明確に伝わるように、そして相手に裏の意図が簡単に伝わるような駆け引きをするなと助言
・なんだかんだ臨時諏訪隊の点数も教えてあげている

戦いにおいて情報は命である。これはワールドトリガー読者の相違であることと思う。自らの情報を相手に渡すことは、文字通り敵に塩を送っているに等しい。

相手に塩を送ってくれと依頼し、承諾する敵がどこにいるのだろうか。今は遠征選抜試験中。同じボーダー内ではあるため敵ではないが、少ない選抜枠を争うためのライバルである。そう皆が皆易々と情報を渡してくれると思うなよ、という警告である。

表の意図とは諏訪が言っている通りそのままである。「諏訪隊のA級評価点が知りたい」という目的を達成するために、古寺が今なんのカードを切っているのかということである。つまり、「こちらの点数の情報を材料とした取引」なのか「可愛い後輩から頼りある先輩へのお願い」なのか、どちらなのかということである。この定義が曖昧だと、会話が成立しないし、無意味なやりとりになってしまう。

やりとりのはじめは大体こんな感じである。

古寺「諏訪隊のA級評価点が知りたいのですが」→「お願い」
諏訪「何でそんなことを教えなきゃいけないのか、こちらに何の得があるのか」
古寺「教えてくれたらこっちの点数も伝えますよ」→「取引」

初めは「お願い」のスタンスであったものが、「取引」のスタンスに鞍替えされているのだ。

画像1

古寺くんの好きなものは「コーヒー、データ収集、分析」
引用: 『ワールドトリガー オフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE』p.85

このシーン、おそらく古寺は「隊長らしく取引を持ちかけたい」あるいは「隊長として他の隊長と取引するべきだろう」という気持ちが咄嗟に出てしまったのだろうと思われる

データ収集と分析が好き、というプロファイルからは型や定石への信頼が伺える。普段の隊長同士のやり取りや、古寺本人が描いている隊長像を擬えようとした結果なのだろう。

しかし古寺本人は普段隊長ではない。そして周りには頼りになる先輩も沢山おり、その存在に助けられている存在なのだ。だから最初は普段通りのお願いの姿勢だったのであろう。なんと言ったって16歳なのである。末恐ろしい16歳である。

そして裏の意図。それは諏訪の言った通り「最下位に点数を教えても影響が少ないから平気だろう」という古寺の打算的な意図である。ギクリという擬音も同時に出ているので、これはまず図星と判断して良いだろう。

裏の意図とは腹づもりのことである。読まれてはいけないものである。相手に把握されれば弱みを握られやすく、次にしそうな行動を予測されやすく、対処されやすくなってしまうからだ。

古寺がそれを見せてしまったのは早くデータが欲しい、早く自分の仮定の答え合わせがしたいという焦りか、もしくはまだ隊長としての経験の浅さが招いてしまった古寺の甘さなのかも知れない。その甘さを意図的に描いているのが、ワールドトリガーの良さの一つであると筆者は思う。甘さとはつまり成長の余地であり、今後古寺がひとまわり成長した場面がひっそりあるいははっきりと描かれる場面が来ると筆者はまあまあ確信している。

諏訪は明確にそのことも見抜いて的確に指摘しているのだ。

まあその諏訪さんも21歳何ですけれどね! 21歳は普通こういうことなんてできないと思います。全くどうかしているぜ!

画像2

諏訪さんめっちゃいい人。
引用: 『ワールドトリガー オフィシャルデータブック BORDER BRIEFING FILE』p.296

諏訪は面倒見のいいキャラクターとして描かれている。トリオンキューブのことを「スワ」と呼ばれて揶揄されていても、「被害が木虎等に及ばなけりゃいい」と思うなど後輩思いである。風間はシバかれるが。(多分返り討ちにあう)

古寺の今回の会話のようなやり取りは、諏訪さんは幾度か見てきて経験済みなのではないだろうか、と思う。ちょっと背伸びした後輩が、背伸びしきれないで甘さを見せている様子。後輩思いなキャラクターにとってはつい手を貸してしまいたくなるような劇薬である。だからこそ最後に悪態つきながらも結局は自分の隊の点数を教えてしまったのではないだろうか。

お前今試験中だぞ! 今はお互い敵なんだから、そこんとこ考えてしっかりやれよ! という諏訪から古寺へのエールである。

多分諏訪は、純粋に古寺が終始一貫して丁寧な「お願い」の形で臨時諏訪隊の点数を聞いていた場合は、今回よりもいくらか素直に教えてあげていたのではないだろうか。「仕方ねえなぁ、普通はこういう情報ってのはそう簡単にゃ手にはいんねーぞ、覚えとけよ」とかなんとか言って。

古寺は、諏訪さんとの会話を終えた後に来間に今度は純粋に「お願い」をしているので、明確に切り替えていると思われる。まあ、皆の来間隊長に駆け引きを仕掛ける悪どい奴などそうそういないだろうが。

しかしボーダーの隊長経験が育んだ結果なのか、元々の諏訪さんのポテンシャルなのか、とにかく最中の平均精神年齢が大変なことになっている漫画である。あの人数内でそんなにポンポンと精神的に成熟した人材が出てくるものなのだろうか。そういう意味では、ワールドトリガーは逆にリアリティがないかも知れない(褒め言葉)

そんなわけで、とてもよかったです。


どうも普段記事が長くなりがちなので、短い(?)記事を書く練習にもなってよかった。一つの会話のやりとりの感想記事にしては少し長い気もするが多分気のせいである。

他にもハイレインに狂った考察記事書いてるので、良かったらそちらもみてね。今の所③まで、合計30,000文字くらいあるけれど……。

【ワールドトリガー】アフトクラトルの異質さについて 〜ハイレインの魅力と私的考察①
https://note.com/torotoma/n/nffb9755ff21d
【ワールドトリガー】なぜハイレインには魅力がないのか? 〜ハイレインの魅力と私的考察②
https://note.com/torotoma/n/n5acba3d7b089
【ワールドトリガー】非常で冷徹なふわふわわくわく動物野郎 〜ハイレインの魅力と私的考察③
https://note.com/torotoma/n/ne6c119cbf0f1

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?