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2020年のJ1を振り返る

色々ありましたが、多くの方のおかげで今年も無事Jリーグを楽しませていただくことが出来ました。その振り返りということで次の2つのことをこの記事でやりたいなと。

・順位予想振り返り

・トラウマイレブン

順にやっていきます。

J1順位予想振り返り

2月のJ1開幕前に書いたこの記事。結果がこちら。

スクリーンショット (36)

元々オリンピックによる過密日程に耐えうるメンバーがいる、戦術的な土台がある、この二点を予想の基準としていました。色々とあってレギュレーションや日程が大幅に変わりましたが、いずれにせよ過密日程であることに変わりはなかったため、おおむね見通し通り、その二点の力量が問われるシーズンとなったと思います。その中でピタリが2つ、ニアピンが4つとまずまずの出来だったのかなと個人的には思います。差の絶対値の平均は約2.88となりましたが、これは一般的にみてどういう成績なんでしょうね。

優勝予想のセレッソは最終的に4位という結果に。点とれる選手がいればみたいな書き方を予想時点ではしていましたが、結果を見てもやはり最終的にはそこに行きつくのかなと。逆に優勝チームとなったフロンターレは予想では3位。システム変更に代表されるように変化を施しにいったシーズンで、その変化の過程で紆余曲折あり3位に落ち着くかなといった読みでしたが、紆余曲折なんてガン無視で駆け抜けてしまいました。人員過多に感じたチームもそれがいい方向にはたらき、近年で最も敵を寄せ付けない強さを持ったチームだったと思います。シーズン途中に川崎のトップ、育成、地域との関わりとそれらの歴史などをなんとなく考えてたんですけど、改めて恐ろしいクラブだなと思い知らされました。

予想と結果の振れ幅が特に大きかったのが、ガンバ、マリノス、札幌、仙台の4チーム。

ガンバの躍進は予想を遥かに超えていました。今年はあまりガンバの試合を追えませんでしたが、実績十分のメンバーに加えて、若い選手たちがJ1でも十分なクオリティを示せたことがシーズン後半の好成績につながったのかなといった印象です。ただなにせその辺りの試合で絶不調に陥っていた仙台が4-0で勝ってしまったので、何が起きていたのかはよくわかっていません。

マリノスは2019シーズンにJ2で活躍した選手をオフで積極的に補強し、彼らの活躍が明暗を分けるのではといった読みでした。しかし終わってみればその中の多くの選手がシーズン途中に他のチームへと放出されることとなり、難しいシーズンだったのかなと。

札幌はもうどうこうコメントするより、アジベコさんの記事を読んでもらえれば詳細がわかるので、それを強くお勧めします。

仙台はまあ10位までいければ超上出来っしょのノリで予想しましたがそんな甘くないよ、現実見ようよと、そんな結果に。ベガルタのシーズン振り返りをこの記事書く前にやっておくべきでしたがそれはまた今度。

あとは当時周りがそんなことあまり言ってなかったけど、絶対上位来るだろと確信していた名古屋が結果3位に入ったのであながち読みが外れてなかった気はします。

もちろんそれぞれのチームに様々な要因が複合的にかみ合った結果のこの順位だと思いますが、ここまでつけてきたコメントはあくまで他サポからみたものなので悪しからず。では次に移ります。

トラウマイレブン

今シーズン仙台との試合を中心的に、J1の試合を見て仙台以外で印象的だった選手でベストイレブンを組もうと、そんな感じです。スタジアムで直接観た選手はより印象に残りやすいので、画面越しで見た選手より選出の敷居が低くなっている感は否めませんがまあ。では早速

GK 沖悠哉(鹿島アントラーズ)

元々ビルドアップに関われるキーパーとして名前こそ知っていましたが、正直なところ正GKを年間で務めあげるとは思ってもみませんでした。トラウマ認定したのは第28節仙台vs鹿島の一戦。試合を通して鹿島ペースではあったものの、少しでも仙台に流れが傾きかけ、決定的なシュートを打つや否やことごとくセーブ。その節のDAZNのベストセーブにも選ばれていました。試合の流れを一瞬で変えるセービングができるゴールキーパーほど恐ろしいものはありません。その点で言えばチョンソンリョンも川崎のゲームの主導権を手放さないプレーを幾度となく繰り返していましたが、より衝撃的でトラウマになった選手ということで沖を選出しました。

他にも横浜FCの六反は仙台時代とは比べ物にならないほどロングフィードの落とす位置や高さ、スピードに磨きがかかっておりこちらも衝撃的でした。また広島の大迫も現地で見ると他のGKと比べ物理的なサイズこそさほど大きく感じませんでしたが、安定感が素晴らしかった印象があります。

いずれにせようちのクバには及びませんが。

左SB 登里亨平(川崎フロンターレ)

彼はどちらかというとスタジアムで見た時よりも、何試合か継続して川崎の試合を見た時に印象に残った選手です。うわーやべーわってじわじわくる系。ビルドアップの際、相手のSHの高さを超えるような位置で受けるSBとして最も基本的な受け方はもちろん、相手の内側、懐に潜ってCBから楔を受ける立ち位置を取りながら相手を引き付け、他の選手へのパスコースを開放するプレーも90分間継続的に行っており、ひたすら嫌な選手でした。血の気が引くような、超人的で、もはや気持ち悪いことを飄々とやってのける。その彼がいたからこその三笘の活躍だったと思います。

他の左SBで言えば酒井高徳がやはり上手かった。ユアスタでの神戸戦、ボールを持った際に両足使って相手の軸を固定し、チームを加速させるプレーはさすがだなと。

CB エドゥアルド(サガン鳥栖)

こちらも継続的に見て印象に残った選手。相手FWに楔が入るとその選手の背中側から強烈なスピードで寄せてボール奪取、クロス対応もパーフェクトに近いプレー、さらには局面を一発で打開するサイドチェンジなど、現代CBに求められるすべてのプレーを毎試合ハイクオリティでこなしていました。仙台戦でもきれいなサイドチェンジを通していた記憶があります。

ロングフィードが印象的だったCBで言えば湘南の石原広数も素晴らしかった。最終節のユアスタでの一戦、バックスタンド方向を目掛けてこちら側に向かってくるように蹴られたロングフィードの軌道は非常に美しく印象的でした。

CB マテイ・ヨニッチ

点を取れる気がしないCB。説明は不要でしょう。ロティーナ指導の下、的確なポジショニングで幾度となく相手の攻撃の芽を摘むプレーは、現地で見た時にとても印象的でした。たしか19シーズンは直接見たことがなかったのでなおさら。そしてなによりもファウルが少なく、プレーが非常にクリーンなので非常に好感が持てます。

他にもマリノスのチアゴ・マルティンスやフロンターレのジェジエウも相変わらず反則でした。

右SB 中村帆高(FC東京)

身体の重心の高さは日本人離れしている印象を受けました。対人のディフェンスでは相手のフェイントに身体の軸をぶらされることが少なく、方向転換の際などの足と上半身の運びがスムーズ。ボールを持った際にも姿勢がよく、懐にボールを置きながら姿勢よくボールを運び、相手のプレッシャーを回避しており、かなり衝撃的でした。さらに左右いずれのSBもこなせるようで本当半端ない。

他に印象的だったのは鳥栖の森下。まずうるさい。めっちゃ喋る。でプレーも勢い抜群。突貫小僧でありながら同時に柔も持ってて、高い位置取ればドリブルでも内外ともにボールを運んで違いを生み出せる選手でした。

DMF ヒシャルジソン(柏レイソル)

スタジアムで観て印象に残った選手。どこにでもいて相手からボールを刈り取っていく。さあスピードアップしようカウンターにでようという時に毎度のごとく出てきてボールかっさらってく。またこいつかと。さらにそこからちゃんとボール残して次のプレーつなげるからずるい。上下動するチームのボランチには欠かせない選手だと思います。

その類いで他に印象的だったのは名古屋の稲垣や浦和の長澤、ガンバの井手口。攻守両面のつなぎ目がしっかりとしていて、常にスイッチをオンにしてられる選手たち。セレッソのデサバトも一人あたりの守備範囲が広いチームに行ったらどんなプレーするのか楽しみなところです。

ボランチ 田中碧

今年唯一行ったアウェイスタジアム等々力。そこで観た彼のプレーにこんな上手い選手いるものかと感嘆した記憶があります。逆に去年も直接観たのになんで記憶に残ってなかったのかとも思いますが、それはおそらく応援でそれどころじゃなかったからでしょう。声の出せないスタジアムは大嫌いですが、俯瞰して冷静に見るのも面白いとこの試合だけは感じました。それくらいインパクトが強かったし、彼だけじゃなく川崎のチーム自体に打ちひしがれたような気がしました。

彼の特徴、感じたこととして一番最初に挙げられるのがボールが足元にある時とない時の違いの無さです。絶対に無理な体勢でボールをコントロールしないし、普通に歩いているように前を向いてボールを運んで、すれ違うように目の前の人間をかわす。彼にとって相手のプレッシャーなんてストレスではないし、むしろ自分が優位に立てる環境を相手自ら作ってくれてるぐらいのニュアンスなんじゃないだろうかとすら考えてしまうほど。一瞬で相手の矢印を利用するターンには彼の魅力の全てが詰まっているとも言っていいかもしれません。

その一瞬の動きを行うには、相手が矢印を出す瞬間を常に監視しておく必要があり、さらにそれに対応するための爆発的な身体操作(故に日本人離れしたミドルも打てる?)が必要になってくるでしょう。それらを有する高スペック田中碧。恐ろしいばかり。

同様にいわゆる攻撃的な、ボールと関わる際に強みを発揮するボランチではFC東京の品田愛斗や横浜FCの安永玲央、札幌の高嶺朋樹あたりが印象に残りました。いずれも姿勢がよく、ぎこちなくターンすることで360度にプレーできる選手たちでした。3人とも今年はスタジアムで見られなかったので、来年こそは見れたらいいなと。

昔仙台のキャンプに帯同し練習参加していたらしいなんて噂を過去に聞いた大分の長谷川雄志も、ややタイプが違う気もしますが、印象に残ったボランチの一人です。彼は相手の近く、相手の間にわざと立って引き付けることで他も際立たせられる選手でした。両足で中長距離の速いフィードを蹴れる選手は、日本人では稀有な存在だと思います。

左SH 三笘薫(川崎フロンターレ)

ハーフにはドリブラーと内側で受けるIHのような選手を置こうと考えていたので、左には前者を入れました。彼の切れ目のないドリブルにより相手はボールを奪うタイミングを失い、後退せざるを得なくなる、そんなシーンを今年は多く見てきました。その後退速度すら上回ることがあるから恐ろしい。ハーフライン~ペナぐらいの長距離でもスピードが落ちないし。

ただ割とここ人選は迷いどころで、名古屋のマテウスも素晴らしい活躍を年間通してしていましたが、どうしても仙台と対戦した時のインパクトで言えば、三笘よりかは劣ったかなと。またセレッソの坂本は仙台との対戦でお決まりの切り返しを見せつけられましたが、それでもまだ三笘の衝撃が個人的には上回りました。広島の藤井もよかったですね。

右SH 本田風智(サガン鳥栖)

内側で仕事が出来るSHということで彼を選出しました。プロ初ゴール含むユアスタでの2得点はトラウマ以外の何物でもありません。彼もいわゆる攻守やボールのオンオフの継ぎ目がないようなプレーをする選手でした。単純な両足でのボールタッチや運びのうまさに加え、奪われたらプレスバックにすぐ切り替えるその姿勢は素晴らしかったと思います。細かなステップで相手の懐に入るプレーも印象的でした。

2列目の似たようなタイプの選手で記憶に残った選手はFC東京の安部柊人、湘南の山田直輝、セレッソの奥埜あたり。どこにでもいて、セカンドボールなど5分のボールを収めてからのゴールへの絡み方は3選手とも驚異的でした。にしてもFC東京若くて姿勢のいい選手出しすぎでは。山田もスタジアムで指摘されて初めて気づいたんですが、確実に彼がいての湘南でした。奥埜はまあ知ってたって感じですが、敵にするとなお一層そのうまさを感じることが出来ました。

トップ下 清武弘嗣(セレッソ大阪)

基本的に今シーズンはSHをやっていましたが、素晴らしかったのでトップ下に置きます。元から素晴らしい選手ですが、ここまで怪我なくやれた年ってなかなかなかったんじゃないでしょうか。しかもこの過密日程で。柿谷との贅沢なローテーションが功を奏したって感じですかね。アウェイではアシストを決められ、ホームでは途中出場で出てきてから年間ベストゴール候補に選ばれた逆転弾を決められ、散々でした。トラウマです。札幌セレッソの試合のゴールなんかもよくふかさずにボール捉えるよなあと。ボールの弾道が美しい選手の筆頭格です。体重の乗せ方というか重心の動かし方がうまいんでしょうね。

フォワードとの関わりがうまかった選手でいえば、柏の江坂や浦和の武藤も素晴らしいハブ役になっていました。両利きの江坂がボールを真ん中に置きながらドリブルし、アシストを決めた第7節の柏vs仙台でのワンシーンも色濃く記憶に残っています。武藤は空間に入るタイミングが絶妙で、大槻レッズの核になっていたように思います。他にも広島のエゼキエウはドリブルの緩急にパウサみがあって印象的でした。

FW オルンガ(柏レイソル)

JリーグのMVPに選ばれましたオルンガ。ユアスタで観て衝撃を受けました。というのも個人的に彼はクロスの入り方であったり、長いストライドで裏に蹴られたアバウトなボールに追いついて背中を取るであったり、点を取るためだけに生まれたモンスターだと元々思ってたんですが、スタジアムで見てみたら足元でボールもしっかり扱ってチームの前進にも関与できると。相手から遠いところにボールを置いてコントロールし、さらにあの身体でブロックするから奪えるはずがない。チームから浮きすぎずにあんな点とれる選手はなかなかいないんじゃないかと思いました。

他に印象的だったFWは鹿島のエヴェラウド。クロスに対してファーのDFの背中側で合わせるプレーは彼の特徴。なんとか耐え凌いでいても、少しでも隙を見せると決めてくると。恐ろしかったです。鳥栖の林大地もまさにストライカーらしいプレーでチームを牽引していました。試合前アップを見ていても彼のキャラクターを感じることができ、好感が持てました。

では最後に並べてみます。

2020順位予想

はい。J振り返りは以上で。

ご挨拶

今年も1年間ありがとうございました。初旬にはフットボール戦術批評に仙台戦術藩の記事が掲載され、記事書かねばと意気込んでいたんですが、終わってみれば毎試合書いたのは最初の十数試合までで、そこからは形式を変えて自分らしく楽な方に流れました。

中断期間中は週1回ZOOMで過去のサッカーを見ながらああだこうだ言ってそれなりに楽しみながら過ごせてたんですが、あれなかったらきつかっただろうなと今になって思います。それにこの状況で新卒社会人とか、大学1年生とかだったらもっと大変だったでしょうし、あの期間で学べたことも多かったので自分は恵まれてるなあと思いました。これを読んでいただいてる方々からも様々なことを吸収させてきました。ありがとうございました。

来年は大学も3年目となり、インターンだなんだってのが続々と、この社会情勢の中でも押し寄せてくるかと思いますが、まあ楽に構えて記事も書きつつやっていけるといいですね。社会人の皆様方におかれましては何かあったらいつものように相談に乗っていただけたら嬉しいです。それとあと少しで二十歳になるので、呑みながらサッカーを語れたらなおいいですね。今んとこは誕生日がJの第2節と被ってるのでそこが当面の楽しみです。

今年もありがとうございました。お身体に気を付けて、来年もよいお年を!

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