見出し画像

【おすすめの本】 行動観察をイノベーションへつなげる5つのステップ/松波 晴人

この本を一言で言うと...

イノベーションを起こすのに有効な「行動観察」の手法が学べる本

読むべき人は...

① 新規事業やサービス企画などを担当している人

② イノベーションを起こす手法に興味がある人

読んで学んだことは...

① 行動観察がイノベーションに有効である理由

・イノベーションとは、従来の枠組みを再定義し(リフレーム)、ビジネスのゲームを変えることである。

・リフレームには「新しい仮説」が必要。ユーザーも自分たちも気づいていないインサイト・ソリューションを見つけることが「新しい仮説」につながる。

・新しい仮説を見出すには、行動観察によって実際の“場”にある事実やその意味を深く掘り下げることが有効。行動観察は、ユーザーの潜在価値の理解や、自分たちが陥っている思考フレームの理解につながる。

② 行動観察の5つのステップ

STEP 0:しろうと理論

行動観察の実施前。これまでの経験と勘でしか思考できない(しろうと理論)。誤った解釈をベースにしているケースが多く、妥当性が低い。また、自分の漠然とした解釈を基にしているので「自分のフレーム」から出られない。
一方で、本人はその理論に合致する証拠だけを集めるので、一旦理論が形成されるとなかなか放棄されない。

STEP 1:気づき

行動観察によって収集した事実と、そこからの気づきをもとにアイディアを出す。この段階では、深いインサイトを踏まえているわけではないので、ジャストアイディアのレベルに留まることが多い。また、この時点で自身の「しろうと理論」を放棄しなければいけない。

STEP 2:知見に基づく解釈

アカデミックな知見をもとに解釈を加える。例えば、行動観察で得られた事実を、心理学や人間工学の知見に基づいて解釈・分析する。知見に基づいていればソリューションの妥当性は向上する。同じフレームの中で改善を行うには有効だが、イノベーションには至りづらい。

STEP 3:リフレーム

得られた事実を総合的に解釈し、これまでと異なるリフレームされたインサイトを見出す。具体的には「ユーザーの潜在価値の理解」「自分たちのフレームの把握」によって、意図的にリフレームし、新しい仮説を生み出す。

STEP 4:ソリューション提案

リフレームされたインサイトに基づいてソリューションを考える。ソリューションの妥当性については、いかにそのリューションで人が喜んでもらえるのかを調べれば検証できる。

STEP 5:ソリューション実現

ソリューションを実現し、ビジネスで運用する。しかし、イノベーションは最初は必ず賛否両論があり、ステークホルダーや意思決定者からの賛同を得られないことが考えられるので注意する。

読んで思ったことは...

① イノベーションとは、「ユーザーの潜在価値の理解」「自分たちのフレームの把握」によって、リフレームされたインサイトか、リフレームされたソリューションを導出することである、という定義が腑に落ちた。

② STEP0 〜 STEP3の整理がわかりやすかった。STEP0なんてめちゃくちゃあるあるで、「しろうと理論」という名前がついていたことも驚き。イマイチな議論が繰り広げられている時は、誰かしらが「しろうと理論」で生産性を低くしているケースが多いよなあ。これを適切にSTEP3まで高めていく方法が学べたのは個人的に嬉しかった。

③ 一方で、STEP3 〜 STEP5で、どのようにリフレームし、ソリューションを導出・実現するのか、の具体的な方法についてはこの本には記載がなかった。これについては 「デザイン思考」を超えるデザイン思考  の内容が参考になりそう。「既成概念をマトリクスで構造化」→「既存の企画者が陥るバイアスを見つける」→「既存とは逆張りのアイディア・コンセプトを設計する」という3ステップでリフレームする手法が説明されているので、合わせて読むと良いかも。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?