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【読んだ本】ストーリーマッピングをはじめよう/ドナ・リシャウ

この本を一言で言うと...

プロダクトが提供する体験や価値を「ストーリー」に仕立てて、ユーザーに伝えて、心を掴む方法が学べる。

※言い換えると、プロダクトが「誰の・どのような問題をどのように解決するのか」を整理する方法が学べる。

読むべき人は...

① プロダクトの価値やビジョンをユーザーやチームに指し示す人(プロダクトマネージャーなど)

② デザイン・仕様・プロモーションなどプロダクトのあらゆる場面で、一貫したコンセプトやストーリーを表現していきたいと考えている人

③ その他、プロダクトの製作やデザインに携わる全ての人

読んで学んだことは...

① 人間はストーリーによって物事を理解している。ストーリーには以下のメリットがある。

顧客が体験を記憶しやすくなる/体験に価値を見出す/体験の目標に近づく/何度も体験したいと思う

② ストーリーは以下の構造でできている。

状況説明 → 事件や問題の発生 → 盛り上げ → 危機→クライマックス → 落とし込み (オチ) → エンディング

③ ストーリーには、以下の3つがある。

コンセプトストーリー…プロダクトの構想・全体像・価値を伝えるストーリー
オリジンストーリー…潜在顧客が初めてプロダクトを知り、使い始めるまでのストーリー
ユーセージストーリー…プロダクトを利用していく過程を表したストーリー

④ コンセプトストーリーの仕組み

状況説明…ターゲットとなるユーザーは誰で、大目標は何か。また、追い風になるものは何か。
事件や問題の発生…ユーザーの問題や悩みは何か
盛り上げ…これを解決するプロダクトの名前、簡単な説明は何か
危機…顧客にプロダクトが提供する解決策の採用をためらわせるハードルは何か
クライマックス…顧客の問題を解決し、危機を乗り越えさせるものは何か(プロダクトの一番の価値、差別化要素は何か)
落とし込み…プロダクトについてのユーザーの感想は何か
エンディング…目的を果たしたユーザーにどんな素晴らしいことが起こるか、またビジネス的なゴールとその指標は何か

オリジンストーリーもユーセージストーリーも細部は異なるが、考え方はコンセプトストーリーとほぼ同じ。

読んで思ったことは...

① ストーリーをつくるメリットは以下だと整理した。

1.  ストーリー(物語)は、共感を生む。だから、ユーザーとチームメンバーの心を掴むことができる。
2.  ストーリーを作る過程で、ユーザーやユーザーが抱える課題、その解決策などを明確にする必要がある。だから、プロダクトの本質を見極められる。
3.  ストーリーがあるとプロダクトの作り手がユーザーの気持ちや行動を想像しやすい。だから、良いプロダクトづくりができる。

② ストーリーづくりの効能は、ユーザーに対してもさることながら、チームメンバーに対してのメリットが大きそう。チームメンバーに対して「ターゲットユーザーは●●」「課題は●●」と淡々と伝えていくのでなく、それらをありありと想像できるイキイキとした物語として伝えていくのでは、共有できる情報の量・質が大きく違う。
また、プロジェクトの最中に否定的な出来事があって軋轢が生まれてもこのストーリーが道しるべとなってくれるし、何よりそのようなチームが生み出すプロダクトは、最終的にユーザーの共感も得られやすいはず。

③ 一方でユーザーに対してストーリーを伝えていくときは、注意が必要だと思う。直接的にストーリーを伝えられても、他人の家の家系図を見させられて「こんなん興味ないわ」と思うのと一緒の構図になる可能性がある。できれば、サービスのあらゆる場面で内側から滲み出てくるように伝えていきたい。本書はその点についてはあまり書かれていなかったので、ちょっと片手落ち感あり。




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