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外国語だと凄いコーチングが出来る!本当なんです。あれは確か1998年のこと。日本にCTIができる前に、創設者の榎本氏(リクルート同期)のお勧めでCTIの本拠地サンフランシスコでコーチング基礎コースを受講した時のエピソードです。
 
今は英語でのコーチング実施に自信を持っていますが、それは最近10年の特訓があってのこと。当時は普通の人よりは多少上手といった程度。当然ながら、ネイティブがネイティブスピードでガンガン話してくる内容は受け止めきれません。かろうじて、「何がテーマになっているか」がわかる程度。
 
とはいえ、コーチング練習ですから、コーチ役の場面で黙っているわけにもいきません。苦し紛れにその場で編み出した僕の作戦は、「中身がわかっていなくてもできるコーチング質問」です。
 
「ふむふむ。で、その後どうなりましたか?」
 
「へええ。そのことにどう感じましたか?」
 
「そもそも、どんな風にそれが起きたのですか?」
 
「そのことから何を学びましたか?」
 
「これからどうすると良いでしょうか?」
 
(いずれも実際は英語で質問)
 
これらの、中身がわかっていなくてもできるコーチング質問作戦により、15分間のコーチとしての対面をなんとか保ちました。とはいえ、心の中では「こんな低レベルの英語ヒアリング力で、ここに来なければよかったかも」とやや打ちひしがれていました。そこに、
 
「TORU!おまえはグレートコーチだ!素晴らしいコーチングだった!!!」とクライアント役からの大絶賛。アメリカ人は大げさに人を誉めますが、その話ではなく、本当に誉めている様子。それにポカンとする僕。そんな二十数年前のサンフランシスコでの出来事でした。
 
今なら、何が起きたのか、よくわかります。僕がその場を取り繕うために編み出した作戦、「中身がわかっていなくてもできるコーチング質問」こそパワフルクエスチョンの極意です。中身がわかってなくて質問しますから、YES/NOで応えられるクローズド質問にはなり得ません。中身がよくわからないので、長々とした質問にできるわけもなく、「そのことにどう感じました?」程度の短さになるのが必然です。
 
ちなみに、この中身がわかっていなくてもできるコーチング質問は、「クリーンランゲージ」と呼ばれるコーチング(カウンセリング)質問と根っこは同じだと今は気が付いています。クリーンランゲージ=聞き手の先入観や前提で誘導しない質問。
 
ということで「外国語だと凄いコーチングが出来る!」というこのコラムのタイトルは、中身を手放したパワフルクエスチョンがいかに効果的かを示唆していたわけです。コーチの皆さん。話の中身を聴きつつも、それを手放して、「中身がわかっていなくてもできるコーチング質問」を試してみてはいかがでしょうか。

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