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着眼点6:成長バランスは偏っていないか?

事業戦略大学(教員1名・生徒無限大)「成功する事業戦略計画の7+1の視点コース第7回」


■ 成長シナリオをどう描くか

人であっても企業であっても、単に成長していればよいといつたものではない。なぜならば、偏った成長は、バランスを崩してしまうからである。人の場合、身体の大きさだけでなく、身体の機能、思考力、意欲や気持ち、社会生活等がバランスよく伸びていかなければならない。


企業も同様である。売上げだけが他の要素と比較してアンバランスに成長しすぎると、利益、キャッシュフローに支障が出る可能性がある。過剰な売上げ志向は、財務上の問題だけでなく、既存顧客の満足を無視することになりやすい。また、その結果、顧客離れや、働きすぎによる従業員のモチベーション低下を招いてしまう可能性もある。つまり、すべてのステークホルダーにとって、無理をした短期的な成長で事業が立ちゆかなくなるよりも、バランスのよい成長で事業が安定的に継続することが望ましいのである。

では、バランスのとれた成長シナリオを描くためにはどうしたらよいのだろうか。

まず、着眼点⑤で示した「売上」「利益」「資産構成」の成長が毎年どのような状態になっているか、その目標値を設定する

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設定のための手順は、はじめに経営理念を原点にして3年から5年の成長ビジョンを示す。そしてそれを各年の目標値として展開するのである。その際、日標値達成のための″シナリオ″―つまり″成長戦略シナリオ″が事業戦略計画にしっかりとブレークダウンされていなければならない。


■ バランスト・スコアカードを活用して成長戦略を描く

成長戦略シナリオは、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点(人、組織、技術など経営基盤の視点とも言える)といったバランスト・スコアカードの4つの視点で展開していくと効果的である。″成長戦略シナリオ″を描くことによって、必要な資金の規模とそのタイミングが
大まかに見えてくる。資金調達を意識した事業戦略計画作成のヤマ場は、この成長戦略シナリオの部分と言える。
成長シナリオは、具体的な計数計画としてブレークダウンされる。具体的には、利益計画、資金計画、投資計画、要員計画などである(図表参照)。


バランスのとれた成長シナリオが描かれているか否かは、事業戦略計画の評価の大きなポイントとなる。主な評価ポイントは3つ。

1つは理念や大きなビジョンと目標値との整合性。

2つ目はバランスト・スコアカードの各視点から見た場合の毎年の目標値の実現性。

3つ目は、成長戦略シナリオの時系列のつながり、展開ストーリーの実現性である。

これら3つのポイントを押さえるためには、これまで取り上げたコア・コンピタンス、事業領域、事業機会、ビジネスモデル、事業の成長性の各着眼点に関して、妥協することなく何度も考え直す努力が必須となる。


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