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事業戦略大学(教員1名、生徒無限大) 第14回 アクションプランの優先順位を戦略的に考える「考え抜くための戦略フレームワーク入門」

戦略のことをお伝えしていて、変な話ですが、戦略力は実行力そのものだと思う。ありたい姿に向かってやるべきことを確実に実行しようとすれば、ヒト、モノ、カネの資源を現実的に配分する。やる気のない戦略はその資源配分は不明確。


設問1:中期計画、大型の戦略プロジェクトなどの計画で、具体的なアクションプランは含まれていますか?

設問2:そのアクションプランには、ヒト、モノ、カネのリソースが振り分けられていますか。

設問3:アクションプランは詳細なプロジェクト計画にブレークダウンされていますか?

■アクションプラン作成-限られた経営資源と納期の中でどうすれば達成できるのか

スコアカードの中で示された施策やアクションプランは、それぞれが、個別かつ詳細に企画される前にアクションリストの一覧にして、その概要を図のように企画する。この一覧にするということが大事だ。一覧を作らず、個別の施策を細かく企画するとそれに気がとられ、資源配分の優先順位など戦略全体を見渡したことができなくなる。

アクションリスト

事業戦略大学図表14回

アクションリストの主な企画の項目は、①上位の戦略目標、②成果指標とその目標、③アクションプランの主体である責任部門、責任者、実施者、④先行目標指標と現状のレベルとそのギャップ、⑤実施期間、⑥経営資源として人員、投資額、その他である。まず指標とその数字だけでエクセルなどでざっと作成する。

これらのアクションリストを概要レベルで作成し、その上で、戦略ビジョン達成、基本戦略実行を念頭に置いて、アクションプランの優先順位づけを行うのが望ましい。この優先順位づけに際しては、3年後の戦略マップや事業展開シナリオなども重要な参考資料となるであろう。

アクションプランの優先順位づけでは、まさに真の戦略計画力が試される。戦略目標は決まっている。一方、経営資源や納期は限られている

そのような制約条件の中で、すべきことは3つである。

1つ目は個々のアクションプランの中身を精査して、効果的なものに検討し直すこと。

2つ目は、各アクションプランのシナジーや資源の共有を徹底して考え、場合によってはアクションプランの数を絞り込み、集約し、多面的な成果を獲得できるようにすること。

3つ目は、これらのことを徹底して企画した上で、複数のアクションプランの優先順位を戦略的に考えること。

その際、優先順位の高いものを進めるというシナリオが、後に着手するアクションプランへの連鎖や波及効果を持っていることが重要である。簡単に言うと、どのような順番で崩せば、少ない資源でしかも短時間で効果的に攻略できるかを考えることである。

■アクションプランの企画-実現性のあるアクションプランはどのように企画すべきか

アクションプランの作成は、現場のメンバーを巻き込み、各プロジェクト別に行われる。

次の図を見ればおおよそ理解いただけると思うが、企画の重要な点は、現状の認識とあるべき姿とその目標成果、達成課題の認識と課題解決策の企画とその成果設定、また、その実行責任体制を明確化すること、さらにそれらに必要な人、資金などの投入資源を明確にすることなどである。

アクションプラン

事業戦略大学図表14回②

アクションプランの作成は、事業戦略の現場へのトップダウンと、現場による有効な解決策のボトムアップによる有機的なコミュニケーションプロセスである。効果的なコミュニケーションは、プロジェクトメンバーの参画意欲や実行のモチベーションを引き出すことにもつながる。


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