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適合性評価と認定制度

このマガジン「技術標準と適合性評価」を通じて、国際的な認定機関(Accreditation Body)の団体である、国際認定フォーラム(IAF)、国際試験所認定協力(ILAC)、アジア太平洋認定協力(APAC)の年次総会等について報告してきた。

今回は、ISOが定義する適合性評価と認定の役割を整理してみたい。
(注)「ISO」は、国際標準化機構(International Standardization Organization)の略称

ISOが発行する国際規格(International Standard)等の総数は、5万を超える。それらを識別するために、ISOの後に番号を付けている。
その番号が17000〜17050のものが「適合性評価」に係る国際規格等であり、ISO の理事会に直属する適合性評価委員会(CASCO: Committee on conformity assessment)で作成されている。

ISO/IEC 17000 適合性評価 - 用語及び一般原則においては、製品、プロセス、システム、人、組織などが、ある特定の基準を満たしているかどうかを確認し、実証する行為を、「適合性評価(Conformity Assessment)」としている。

適合性評価は、試験、検査、認証などに分類されるが、それらの共通点は証拠に基づいて予め定められた基準(規定要求事項ともいう)に適合していることを表明することである。

また、適合性評価を行う主体が誰かにより、第一者(自社)による自己宣言、第二者(取引等の発注者)による監査、第三者(独立した適合性評価機関)による活動の3つに分類される。

さらに、3つ目の適合性評価機関を大雑把に2つに大別すると、試験所(Laboratory)と認証機関(Certification Body)となる。数は、前者が圧倒的に多く、世界全体で数十万単位、後者は数万単位だろう。
試験所は、顧客(工業製品や食品の製造業者が多い)から、製品等の試験を依頼されて試験を行い、その結果を記載した試験報告書を発行する。
認証機関は、顧客(製造業者が多いが最近はITサービスのベンダー等が増えている)から、特定の基準(ISO規格とは限らない)への適合に係る証明を求められて審査を行い、認証文書を発行する。

これら試験所や認証機関の試験設備の信頼性や試験や審査を行う力量は千差万別なので、産業と国際貿易の発展の中、信頼できる試験所や認証機関を選択できる仕組作りのニーズが高まった。これら適合性評価機関(Conformity Assessment Body)を審査して認定を行う機関(Accreditation Body)が、主に欧米国諸国で設立されてきた。
特に、第二次世界大戦後の再興を目指した欧州連合(EU)の形成において、欧州諸国における技術標準の統一に加えて、適合性評価機関に対する認定制度の整備が進められた。
欧州指令に基づき、EU加盟国においては、一か国1認定機関が義務づけられるとともに、加盟国の認定機関の協力体制を図るためのフォーラムであるEA(European co-operation for Accreditation)が、1997年に設立された。EAは、欧州規則765号(2008)に基づき、調和された認定機関に基づく他国間の相互承認協定(Multilateral Agreement of Mutual Recognition)を策定・維持することが定められている。

次回は、認定機関(Accreditation Body)に係る日本を含めた諸外国の政策及び国際的な認定機関のフォーラム(IAF、ILAC等)の動向について述べたい。




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