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【轍】 遠望の月

【轍】のコーナーでは、過去の作品や業績を登坂の独断と偏見で振り返ります。今回は空ノ牙初作品『遠望の月』を取り上げたいと思います。

いやぁ年上に見られがちな登坂も今見ると流石に若く見えますね。

さて、記事を書くにあたって久しぶりに企画書を漁っていました。その企画書では登坂は以下のように記述していました。

・企画概要
登坂義之が立ち上げた映像制作チーム「空ノ牙」による作品第一弾。2016年3月に上演された舞台『東都灯綺譚』(流星揚羽)の外伝で、流星揚羽との共同制作となる。同作の登場人物、暗殺集団の一人・康人を主人公に配し、彼の背負う業やそれ に伴う悲哀を描く。

そうなんです。今ではお馴染みになった流星揚羽との共同制作による短編映画です。何を隠そう本編の『東都灯綺譚』が登坂の演劇初出演作品なので、この辺は流星揚羽との関わりの序盤だったわけです。

ちなみに『東都灯綺譚』ってどんな話だったかというと…

明治という時代を迎えた帝都、東京。

文明開化と騒がれる中で、期待の新星として文壇に現れた逢坂愉理男。 彼の小説は民衆に熱狂的な支持を受け、あっという間に広まったが、その内容に沿って起こる殺人事件が相次ぐようになった...。

新たに真実を伝える新聞を作ろうという夢に燃える青年・秋代宣太は、事務所に居着く探偵、十六夜未紅とその助手・大介と共に、事件の真相に迫ろうとする。

しかし事件に絡むある組織を通して向かい合う事になるのは、まさに彼らの過去だった。

劇的な進化を遂げる時代の中で、変わるもの、変えられないもの。

街を照らす灯りの中に浮かび上がるその場所は、誰もが知る己の在り処。

ある組織というのは暗殺集団「十六夜衆」。登坂が演じた康人は十六夜衆の一人で、たぶん寡黙で忠義に厚い人。(あれ?)

『遠望の月』では、初登場となる少女・ひばりと少しづつ打ち解けていきますが…
幕末という激動の時代に翻弄される者達のお話となっております。

さて、『遠望の月』で登坂は監督・撮影(一部)・編集・康人役と色々やりました。色々やりすぎてはいけないと、この現場で学びました…笑

本作でやりたかったのは、監督と演者の兼任を活かすということです。具体的には康人視点の映像(一人称視点とかPOVとか言ったりしますね)をちりばめて、そのカットは僕本人が撮影するということをやってみました。これは今後も取り入れて、もっと上手く昇華したいと思っています。

舞台から引き続きのキャストの皆とは良いチームワークを発揮できたと思います。また本作初登場のひばりは、同じく登坂組初めましての植野祐美さんに演じてもらいました。ずっとご一緒したかった方で、緊張しながら出演オファーをしたのを覚えています。お芝居も的確でしたし、正直監督としてレベルアップした登坂でもう一度ご一緒したいと野望を抱いております。

そして信頼している空ノ牙メンバーやスタッフと『遠望の月』を作れて本当に良かったです。いわゆる商業映画とは違う、空ノ牙として自主制作をする意味を考えていたので、当時のメンバーにはめっちゃ感謝しています。

商業に比べたら制作期間や予算に限りはあります。冷静に見れば「あーすればよかった」「ここはこうできた」とか出てくるのは制作者には付き物でしょう。でも、あのタイミングで制作したこと、発表したことに意味があると強く思っています。

余談ですが、この記事を執筆している段階では、映画『天雲草子 阿尾羽外伝 〜偃月の章〜』のプリプロをしています。同じく流星揚羽の舞台で登坂が演じたキャラクターのスピンオフ、そして奇しくも「月」を冠するタイトルと、『遠望の月』を彷彿とさせるファクターが沢山。

遠望の月のさらに先へ。
より良い作品をたくさんの方に届けられるように。

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