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『だまされて貰います』(1971年4月29日・渡辺プロ・坪島孝)

深夜の娯楽映画研究所シアターは、東宝クレージー映画全30作(プラスα)連続視聴。

29『だまされて貰います』(1971年4月29日・渡辺プロ・坪島孝)

5月9日(月)は、昭和46(1971)年のゴールデンウィークに公開された久々の海外ロケーションによるクレイジーキャッツのメンバー全員出演による「クレージー作戦」シリーズ最終作『だまされて貰います』(1971年)をスクリーン投影。製作は渡辺プロダクション。製作協力に、プロデューサー、脚本でもある田波靖男さんのジャック・プロダクションと近代放映株式会社。後者は昭和44(1969)年、元日活撮影所・製作部長の青木藤吉さんが創設した制作会社。『銭ゲバ』(1970年10月31日・和田嘉訓)から東宝配給作品を製作していた。おそらくセット撮影や海外ロケーション実務などを担当していたと思われる。

渡辺プロダクションの渡辺晋と、東宝クレージー映画の生みの親の一人でもある田波靖男さんは、日本のショービジネスの「アメリカへ進出への夢」を常に抱いていた。それが『クレージー黄金作戦』(1967年)『クレージーメキシコ大作戦』(1968年)に結実。しかし映画界の斜陽、クレージー人気の陰りなどで、更なる夢を紡ぎ出すことが難しくなっていた。とはいえ1970年の「人類の進歩と調和」の日本万国博覧会では、海外からのアーティスト招聘や様々なパビリオンのアトラクションを、渡辺プロダクションのノウハウで成功させてきた。クレイジーキャッツもガスパビリオンで「笑い」をテーマにした博覧会映像にするなど活躍をしていた。

1970年の暮れ、東京宝塚劇場の「年忘れ爆笑クレージー公演」の千秋楽、ピアニストの石橋エータローが引退宣言。持病の心臓病がその理由だったが、料理研究家に転身した。そのため本作には、6人クレージーの出演となったが、久しぶりの海外ロケ。しかもハワイ→ニューヨーク→ラスベガス→ネバダ砂漠、と『クレージー黄金作戦』の夢ふたたび、として鳴り物入りで企画された。

半裁ポスター

この年の4月から、ザ・ドリフターズが半年間、TBSの「8時だョ!全員集合」を休んで日本テレビで「日曜日だョ!ドリフターズ!!」に出演することになり、そのピンチヒッターをクレイジーキャッツが務めることになった。この『だまされて貰います』は、4月3日にスタートした「8時だョ!出発進行」(〜9月25日)放映中の4月29日に公開された。渡辺プロの戦略としては、クレイジーの公開生中継番組と、海外ロケ映画で、ふたたびブームをという戦略でもあった。

「8時だョ!出発進行」「〜全員集合」とほぼ同じフォーマットの公開番組。前半はクレイジー出演によるコント、ゲスト歌手の唄、後半は「おとなのマンガ」と題して音楽ネタのミニコントで構成されていた。つまりドリフと同じことを生で演じなければならない。すでに40代半ばを迎えていた植木等さんや、クレイジーのメンバーにとっては、キツイ仕事でもあった。

なので、番組スタート前に、本作のロケーションと、メンバーの慰労もかねて、ハワイ、アメリカへ出かけている。ラスベガスではエルビス・プレスリーに会ったり、ロサンゼルスでは、渡辺プロが経営するナイトクラブ「スポットライト」「クレイジーキャッツ・ショー」ライブに出演。犬塚弘さんによれば、久々にアメリカ人の前でジャズ喫茶時代のネタを披露して、大受けしたという。

さて『だまされて貰います』は、「クレージー作戦もの」ではあるが、前作『日本一のワルノリ男』(1970年12月31日・坪島孝)同様、植木等さんと加藤茶さんのダブル主演。クレイジーのメンバーでは、谷啓さんがメインキャストとして出演。ハナ肇さん、犬塚弘さん、桜井センリさん、安田伸さんはあくまでも脇役。ヒロインはカトちゃんの相手役に、前作に続いての小山ルミさん、植木さんのお相手は『クレージーだよ奇想天外』(1966年)以来、クレージー・ビューティズをつとめてきた野川由美子さん。

タイトルバックは、園まりさんがテレビの歌番組のようなセットで「最後の一時間」(作詞:なかにし礼 作曲:中村泰士)を唄う。監督・坪島孝と出たところで唄が終わり、画面には「終」と出る。観客が「あれ?」となったところで、お札をあしらった背景に「だまされて貰います」と映画タイトルがドーンと出る。これは、坪島孝監督がこだわった「だましのテクニック」でもある。

ちなみに『だまされて貰います』のタイトルは、前年に公開された『昭和残侠伝 死んで貰います』(1970年9月22日・東映・マキノ雅弘)に因んだもの。高倉健さんの「死んで貰います」は、大学生やサラリーマンの流行語となっていた。バカボンのパパまで言っていた。

さて、植木等さんの主人公・伊賀良太郎は、サラリーマンや前作のような田舎教師ではなく、今回は完全に「詐話師」を生業にしている。詐欺師ならぬ詐話師。つまり、うまい儲け話をちらつかせて、相手の欲望を刺激して、財布の紐を緩ませる。戦後、「詐話師」として生き抜いてきた伊賀亮太郎。ネーミングは、八代将軍吉宗の落とし胤と自称する「天一坊」を、次期将軍に仕立てようと江戸城に乗り込む、元祖ホラ吹き男「伊賀亮」に因んでいる。だから、青いドレスシャツに派手なネクタイ、真っ赤なストライプのダブルの背広が、前作以上に似合っている。イキイキとしているのだ。

これまで、無責任男は、詐欺まがいのことをしてきたが、今回は完全に詐話師。東宝では森繁久彌さんの『猫と鰹節』(1961年)など、詐話師が主人公の喜劇映画を連作してきたが、そのバリエーションでもある。田波靖男さんも60年代後半、『馬鹿と鋏』(1965年)『3匹の狸』(1966年)などの詐話師ものを手がけている。だから、伊賀亮太郎の行状の数々が、騙す側、騙される側の視点で描かれていて、爽快さすら感じる。

フォーマット的には、1965年の『大冒険』(古澤憲吾)がベースだろう。この時は植木さんは無責任男的なトップ屋だったが。今回は華麗なる詐欺師。谷啓さんは「石油の公害成分を消去して環境に優しい液体にする発明」を研究中。その妹・野川由美子さんがヒロイン。この関係性は『大冒険』の発明家・谷啓さんと、妹・団令子さんのバリエーション。

また、伊賀亮太郎が敵に追われたり、都合が悪くなると、一瞬にして変装して相手の目をくらます。これは『クレージーの怪盗ジバコ』(1967年)のリフレインだと、坪島孝監督が話してくれた。

主人公たちが海外に行くまでの三者三様の物語展開は『クレージー黄金作戦』での歌舞伎「三人吉三」の手法。今回のメインは、植木等さん、加藤茶さん、小山ルミさんだけど。

スピードポスター

東北地方の閑村・でがらし村・農協、派手な真っ赤な背広の男・伊賀良太郎(植木等)がタクシーで乗り付けてくる。農協の若者・小村忠作(加藤茶)に「細かいのがないから」とタクシー代を寸借、すぐにドロンしてしまう。伊賀目的は、亡母の墓参。戦時中、このでがらし村に疎開、母は村人に余所者と虐め抜かれて敗戦後ほどなく病没。伊賀はその恨みを抱いて「ホラ吹き良太郎」として、少年時代から村人を騙し続けて、詐話師を生業にしてしまった。

『日本一のワルノリ男』同様、でがらし村から物語が始まる。ディスカバージャパン・ブームのなかのローカリズムとはいえ、このシチュエーションは坪島孝監督のたっての希望だったという。田波靖男さんは、ここで詐話師・伊賀良太郎のルーツを描いている。『日本一の裏切り男』(1968年)のように、彼はなぜ無責任男なったのか?を描いているのである。かつては「得体の知れない男」としてスクリーンに颯爽と現れた無責任男だったが、これも時代の影響か、それゆえに観客にとっては、キャラクターのパワーが半減してしまうマイナスもある。

とはいえ、伊賀はでがらし村出身代議士・牛尾雄三(柳谷寛)の秘書と偽り、東北新幹線の駅をこの村に誘致したい匂わせる。これにノセらせた農協の理事・井上(人見明)や大岡村長(石田茂樹)は、伊賀を歓待して、母親の法事まで出してくれる。

さて小村忠作は、村で唯一の酒場「つくし」の孫娘・関根花子(小山ルミ)にぞっこん惚れている。花子の父親は元アメリカ兵で、いつかはアメリカの父に逢いたいと夢を抱いている。そこへ「都会の匂いのする」伊賀が現れたものだから、花子は東京へ。伊賀がそそのかしたのではなく、村長たち同様、伊賀と話をして、勝手に自分の意思で、というのが、詐欺師と詐話師の大きな違い。

で、伊賀と入れ違いに、でがらし村にホンモノの代議士秘書・竹田(ハナ肇)がやってきて、伊賀の正体がバレるのだが、ここでのカトちゃんとハナさんのやりとりがお下劣。ドリフ寄りの「うんこちんちん」ギャグというか、カトちゃんと揉み合ったハナさんが肥溜めに落ちるというもの。まあ、これは『クレージーだよ奇想天外』での藤木悠さんの肥溜め落下の笑いのリフレインでもあるのだが。

植木等さんのキャラも、この後登場する谷啓さんの発明家も、クレージー映画らしく、ぼくらの期待に応えてくれる。だけどカトちゃんは、時の人気者。「全員集合」から生まれた流行語、ギャグをフルコースで披露しなければならないので、それが映画を停滞させてしまう。「うんこちんちん」「オエッ!」「ええどええど」「ワッセワッセ」と、カトちゃんギャグ100連発である。しかも、忠作の行動は「伊賀に貸したタクシー代1300円と居酒屋の飲み代33000円」を回収すること、村を捨てた花子に愛の告白をすることが目的。主役だけど「クレージー作戦」としての本筋には関与しない。むしろトラブルメイカーとして、伊賀たちの邪魔をしてばかり。

これがキャラクターとしては致命的。カトちゃんが、1970年代、無責任男にかわる新たなキャラクターとして活躍しないのだ。愚かなまでに騒々しく、事態を掻き回すだけ。勿体無いなぁ。田波靖男さんの脚本も、クレージー映画として書かれているので、カトちゃんのキャラを入れる余地がないというか、あまり描く気がなかったのでは?とすら、考えてしまう。

さて舞台は東京へ。伊賀は、ひょんなことから「石油を無公害化する」発明に取り組んでいる早川源内(谷啓)と妹・光子(野川由美子)の窮状を救う。早川の研究費で借りた300万円を取り立てに来た高利貸し・風間親分(高品格)を口八丁で追い払う。「水を石油に変える薬品」が発明されたら、三億円にして返すと。このシーンで、真っ赤な背広の伊賀が、早川のブルーのスリーピースを拝借して、口髭をつけてスポンサーに、瞬時に扮装する。『クレージーの怪盗ジバコ』の手である。

古澤憲吾監督なら「なぜかこうなる」で強引に展開してしまうのだが、坪島孝監督は谷啓さんに「俺の背広勝手に着やがって」「俺の背広返せ」と繰り返し言わせてる。「彼の性格を考えたらそうなるよね」と、常に理にかなっているかを考えていた坪島孝監督らしい。

「水を石油に変える薬」というのは完全に伊賀の勘違いなのだが、「大金を産む儲け話」になると、伊賀は代議士・牛尾雄三と秘書の竹田をたらし込む。となると産業スパイたちも動きだし、女スパイ・高橋ナナ子(司美智子)たちが伊賀と早川に接近。ここから「クレージー作戦」としても面白くなる。

しかし、花子を探して上京、焼き芋屋台を引きながら花子と借金したまま逃げた伊賀を探している忠作の愚かしき行動が、スマートな展開を邪魔する。それはそれで面白いのだけど(笑)

焼き芋を買いにきた花子と遭遇した忠作。逃げる花子を追いかけて坂道を屋台で駆け降りる。突き当たりには交番。中にいる大塚巡査(犬塚弘)に激突‼️ これがルーティーンとなって、3回リフレインされ、その度に大塚巡査のケガがひどくなる。犬塚弘さんは同日公開の『男はつらいよ 奮闘篇』(松竹・山田洋次)でも、沼津駅前交番の巡査を演じているので、同じ巡査でもキャラが全く違うので、おかしい。

さて、伊賀は牛尾代議士の指示で竹田が紹介した化学工業会社の重役・松浦(増田順二)から、菓子折りに入った袖の下300万円を、それとは知らずに受け取るも、邪魔に入った忠作が持ち帰ってしまう。

一方、花子はウェイトレスとなり、休憩中にカメラマン・下山(南利明)にスカウトされて、たちまちトップモデルとなり、アメリカへ撮影旅行に。脱線トリオのメンバーでは、初期クレージー映画の常連だったのが由利徹さん。今回、南利明さんが出演しているのは、オリエンタル食品のCMでの「ハヤシもあるでよ」が流行語となっていたから。

また、伊賀良太郎は、アメリカの「エンパイヤ・アマルガム・テクニクス社」のジョージ広田(田武謙三)から、早川の研究を売ってほしいと持ちかけられ、ニューヨークへ行くことになる。

花子が渡米したと知り、意気消沈した忠作がやけ饅頭を食べていると、例の袖の下の300万円に気づいて、花子を追ってアメリカへ。

このあたりは『〜黄金作戦』『〜メキシコ大作戦』のリフレイン。いよいよパンナムで、それぞれが向かうのは夢の島ハワイ‼️

かつて渡米をするときは、必ずハワイでトランジットする人が多かった。折角、アメリカへ行くのだからワイキキビーチで遊ばないと、という感覚である。

忠作が花子を訪ねてワイキキビーチを彷徨っていると、伊賀にバッタリ。そこで追いかけっことなる。ここで、伊賀がステテコ腹巻、チョビ髭の「スーダラ節」スタイルになる。風光明媚なハワイなので、眺めているだけでも楽しいけど。本筋ではない、カトちゃんファンへのサービス場面なので。

ここで、産業スパイのナナ子が伊賀に色仕掛けをしてきたり、秘密を握ると思われたジョージ広田が腹上死をしたり。忠作が花子を見つけて、ホテルまで追いかけてきたり。

でいよいよパンナム機で伊賀良太郎は、ニューヨークへ! 渡辺晋さん、田波靖男さん、植木さん、クレイジーの面々にとっては少年時代の敵国であり、戦後、ジャズブーム世代にとっては憧れの紐育へ! クレージー映画としても初のニューヨークである。マンハッタン、エンパイアステートビル、自由の女神! 建設中の世界貿易センタービルも、スクリーンに活写される!

そこへ、発明が完成したと、早川からの朗報。早速、早川源内もニューヨークへ。ジョン・F・ケネディ空港で再会する伊賀と早川。抱き合う植木等さんと谷啓さんの嬉しそうな表情。斜陽の映画界で、スケールダウンしたとはいえ、ここからの、植木さんと谷さんのナンバー「カモン!ニューヨーク」(作詞:田波靖男 作曲:萩原哲晶)は、クレージー映画のひとつの到達点でもある。

チャーターしたパンナムのヘリで、マンハッタンのパンナムビルへ。その前で「カモン!ニューヨーク」を唄い出す植木等さんと谷啓さん。田波靖男さんは『踊る大紐育』(1949年・MGM)のジーン・ケリーとフランク・シナトラをイメージしていたという。エンパイアステートビル、ワシントン広場、ヤンキースタジアム、タイムズ・スクエアと次々と名所で唄い踊る植木さんと谷さん!

このナンバーだけでも『だまされて貰います』の存在価値がある! 数あるクレイジーソングのなかでも、ピカイチ。萩原哲晶さんの曲もアレンジもビート感が溢れていて、文字通りの傑作!である。ここに作り手の「夢」が詰まっている!

しかし、折角の「薬」を狙って産業スパイ団が、伊賀と早川を拉致。絶対絶命のシチュエーションで『大冒険』「辞世の句」と同じ展開となる。同作で越路吹雪さんのパートを、あまり花のない司美智子さんが演じてるので、気づかないかもしれないが、この部分のシナリオはほとんど同じ。

なんとかピンチを切り抜け、いよいよエンパイア・アマルガム社の要請でネバダ砂漠で薬の実験をすることになる。しかし、ニューヨークへ現れた忠作が、ウィスキーの小瓶に入った薬を飲んでしまって万事休す、となる。このあたり、何度見てもイライラする。カトちゃん、お願いだから邪魔しないでくれ! 坪島監督としては、この映画のカトちゃんはジェリー・ルイスのような「グーフ(愚か者)」として描いているのだろうけど、純粋なクレージーファンは、どうしても「それは…いらないよ」となってしまう。

しかし伊賀は「なるようになる」と楽天的。明日の朝はネバダ砂漠で実験だ。なら今夜中にラスベガスで思い切りギャンブルだ! と、あっと言う間にラスベガスへ。ほとんど物語とは関係ないのだけど、やはり、記念碑的な『クレージー黄金作戦』の夢よもう一度だったのだろう。おそらく撮影許可が降りずに、ゲリラ的に撮影しているようなので、ラスベガスのネオンのモンタージュと、大通りで大儲けした伊賀が「運がついてきた」と両手いっぱいのチップを抱えてご満悦な表情。わずか10数秒間だが、このシーンには晴れがましさを感じる。

この時、谷啓さんは8ミリに凝っていて『だまされて貰います』撮影の合間に撮ったフィルムを見せて頂いたことがある。「カモン!ニューヨーク」の撮影風景、そしてホテル・リヴィエラのプールでくつろぐ桜井センリさん。白いストライプのスーツにダービーハット姿の植木さん(前述のナイトシーンの衣装)が楽しそうにしている姿が活写されていた。

いよいよクライマックス。エンパイヤ・アマルガム・テクニクス社社長(アンドリュー・ヒューズ)、技師長(ピエール・カラメロ)、そして通訳の日系人・佐倉(桜井センリ)の前で「水を石油に変える薬」の実験となる。作業員の一人が『怪獣総進撃』(1968年・本多猪四郎)の怪獣ランドの制服のツナギを着ているところに反応してしまう(笑)

しかし肝心の薬は、忠作が飲み干してしまって、どうにもならない。追い詰められて困った二人の前に、ニューヨークで花子と再会、結婚することになった忠作が現れる。昨夜からオシッコしてないと、その辺で立ちションしようとしていたのだ。なぜネバダ砂漠へ? 新婚旅行の途中で立ち寄ったから。なんていくらなんでも!このご都合主義! で、伊賀は運を天に任せて、例のウイスキー瓶に「ここにしろ」と忠作に命ずる。濾過されても、多少は薬効があるはずだと(笑)

ハナ肇さんの「肥溜め」にはじまって、最後はカトちゃんの「オシッコ」とは!なんともはや。いかにドリフの笑いが「うんこちんちん」だったのかがよくわかる。万事OKとなって全員が帰国。しかし、偶然にできた薬なので量産するためには、開発をしなおさないといけない。そこへ現れたのが、中東の原油国の代表と、その通訳・安村(安田伸)だった。彼らの望みは、伊賀も思いつかないほど、驚くべきことだった…

というわけで『だまされて貰います』は、「クレージー作戦」シリーズのエッセンスを集大成的に盛り込んでいて、もっと面白くなる要素があるのに、時代が求めていた「面白さ=ドリフ的な笑い」に引っ張られてしまった。カトちゃんが悪いわけではないのだが、クレイジーとドリフは「水と油」。石油を水には変えられない、と言うことを改めて証明してしまった。同時にクレイジーがドリフ的なことをやった「8時だョ!出発進行」は、この映画と同じように「水は石油にはならない」ことを実証することとなる。


よろしければ、娯楽映画研究への支援、是非ともよろしくお願いします。これからも娯楽映画の素晴らしさを、皆さんにお伝えしていきたいと思います。