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夏の終わりとサンフランシスコ2019【山田稔明 旅日記】

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2019年の夏の終わりにサンフランシスコへ好きなバンドのライブを観にいったお話。2005年以来14年ぶりのカリフォルニア旅。コロナ禍のトンネルを抜けたらまた遊びにいけますように。
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あれから1年も

今からちょうど1年前、8月の終わりからサンフランシスコ旅行をした。 THE NATIONALというバンドのライブを観にいくための、5日ほどの短い旅だったけれど、県境すらまたげない今年の現状を考えると本当に夢のような時間だったと感じる。1年前はむりやりお金と時間を捻出したけれど、今は時間とお金があったとしても難しい。「想い出のサンフランシスコ」というスタンダードナンバーがあって、原題は「I Left My Heart in San Francisco」、心をサンフランシスコに置

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】1

夏の終わりの旅の記録を備忘録的に。旅のことを反芻すると幸せな気持ちになるので、慌ただしく忙しい日々からの逃避行のような感じで、だらだらと何回にも渡って書き綴っていきたいと思います。 ここのところ毎年9月に旅行をすることになっている。恒例の7月の何かしらのリリースとそれに伴う制作と一連のライブを切り抜けた自分へのご褒美みたいなものとして、ここ2年連続でインドネシアのバリ島で休暇を取った。今年は春からすっきりしない健康問題(そして昨年末からの個人的ないろいろも含めて)夏が本

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】2

サンフランシスコ旅行の一日目、8月29日。レンタカーで走り出したのはお昼過ぎだった。ホテルのチェックインまではまだ時間を持て余してしまうから、車を借りたのは正解だった。初日は車でしかいけない場所へ行こう。まずはサンフランシスコの象徴ゴールデンゲイトブリッジを目指す。三度目のサンフランシスコだが、金門橋はやっぱり毎回行かないと気が済まない。車で橋を渡ると、やっぱりテンションがあがる。橋のサンフランシスコ側にお土産やさんがあるウェルカムセンター、渡った先に景色の綺麗なビスタポイン

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】3

サンフランシスコに行ったの、もう5ヶ月も前のことになってしまう。時が過ぎるの早い。現実逃避で旅日記を。サンフランシスコ2日目は8月29日、この日はとにかく徹底的にレコード屋を巡る日と決めていた。レコードハンティングの旅はロックの聖地ヘイト・アシュベリーからスタートだが、まずその前に行ってみたかったHEATH CERAMICSへ。サンフランシスコ生まれのヒース・セラミックの食器はなかなか日本では売ってなくて、あったとしてもとても高い。僕はマグカップひとつだけ持ってたんだけど、や

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】4

ヘイト・アシュベリーからテクテク歩いてロウワー・ハイトへ、途中コーヒースタンドThe Grindでアイスコーヒーを飲む。ちょっとしたイートインも緊張、もっと英語が喋れたらなと思う。アメリカのアイスコーヒーもすっきりした味のものが多くて美味しかった。Groove Merchant Recordsは小ぶりだけど品揃えが僕好みでとても良いお店だった。ここではレモンヘッズとビリー・ブラッグのカセットテープを買った。たくさんのアナログ盤を持って帰るのはしんどいなあと思っていたのでカセッ

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】5

サンフランシスコ2日目も長い一日。ミッションドロレスパークで風に吹かれたら体力復活。予定していいなかったミッション地区を歩くことにした。この日僕が歩いた距離を地図で眺めてみると、ちょっと尋常じゃない。フジロック一日分といってもイメージが沸かないだろうか。ノーチェックだった1-2-3-4-GO! Recordsはロック系の品揃えが嬉しいお店、ここでもカセットテープを購入。DOG EARED BOOKSも目に楽しい本屋さん、長い時間をそこで過ごしてしまう。翌日出くわすことにな

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】6

ライブのたびにサンフランシスコ旅行のことを話すので、その都度いろんなことを思い出してしまうので、まだまだ引き続き旅日記を更新していこうと思います。旅の3日目は8月31日。アメリカでは9月2日の月曜日が「Labour Day(労働者の日)」という祝日で、その直前の週末はアメリカ人にとって夏の終わりのタイミングなのだそう。街はまさに「WEEKEND」という感じの賑わい。 まずUberでフェリービルディングへ。ここはサンフランシスコのオーガニック食文化を象徴するフードコートであり

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】7

サンフランシスコ3日目、8月31日。お昼過ぎにケーブルカーでフィッシュマンズワーフからチャイナタウンへ移動。漢字だらけの看板が続く街を歩くと不思議な気分になる。しばらく歩いてノースビーチにあるシティライツブックストアへ。ここに来るのは二度目か。カウンターカルチャーの源、サンフランシスコのランドマーク的な場所だから立ち寄らないわけにはいかないのである。ただ店内を歩くだけで詩人になったみたいな気分になる。 歩きすぎたのと、照りつける日差しで少し疲れて、 North Beac

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】8

サンフランシスコ旅行4日目、9月1日。サンフランシスコ市内で3泊したティルデン・ホテル最後の朝、身支度をして部屋を見回す。なんだかんだ言って快適な部屋だった。ホテルがたくさんあるダウンタウンに宿を取ったけど、自分の行動(レコード屋巡りなど)から考えるともっと観光地っぽくない、辺鄙な場所でもよかったのかもな、と今は思う。ビクトリアンハウスにも泊まってみたいなあと夢見るし、次にアメリカに来る時はモーテルを渡り歩く旅もしたい。枕元にチップを置いて、来るときより重くなったスーツケ

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】9

今でも夢見心地になる昨年8月終わりから9月にかけてのサンフランシスコ旅行記の続きを書き上げたい。旅は4日目、9月1日。アメリカはLabor Day(労働者の日)という祝日の週末、この週末を境にして夏が秋に変わる。僕はその日の朝にサンフランシスコ市内からCaltrainで1時間かけてパロアルトという街まで辿り着いた。スタンフォード大学で有名なこの街にある フロスト・アンフィシアターでTHE NATIONALのコンサートを観ることがこの旅の目的だったので、旅のハイライトはこの日と

夏の終わりとサンフランシスコ 2019【猫町旅日記】10

昨年の夏の終わりにサンフランシスコに行った記録。こんな2020年になるなんて微塵にも思わなかった。また心を昂ぶらせながら海外旅行に行きたい。 旅の最後の夜、僕はサンフランシスコ郊外の街パロアルト、フロスト・アンフィシアターの最前列にいた。夜のとばりが降りて、ついにTHE NATIONALの面々がステージへ。Youtubeで漁るように観たダイナミックな演奏を生で、目と鼻の先で体験できる喜び。僕がTHE NATIONALを好きになったのは2017年『Sleep Well Bea