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グルメな夫、オヨメサンにバナナを買う

バリ島のサヌールに、いろいろなバナナを売っているバナナ専門店があった。そこにはピサン・タンドゥック(pisang tanduk)というチップスにする細長いバナナがあり、オヨメサンにとっては初めて見るバナナだった。「さすが、専門店。」と、オヨメサンが興味を示し、そこでバナナを買ってと、グルメな夫にねだった。

ピサン・ラジャ(pisang raja)というのは「王のバナナ」という意味で、日本で食べているピサン・アンボン(pisang ambon)よりずっとおいしいバナナである。それがひと房12000ルピア(120円)とは安い。グルメな夫は値切らずにそのままの値段で払おうとした。15000ルピア(150円)をだすと、「おつりがない。」という。おつりがない、というのはインドネシアではよくあることで、周囲の人々に助けてもらうのがふつうである。しかし、グルメな夫は「おつりはいらない。」と全額女主人に渡した。
 
値切らないのも普通ではないが、おつりはいらない、というのも普通ではない。しかし、グルメな夫には万能の言い訳があった。オヨメサンが観光客で自分はガイドのふりをすることである。外国人の観光客(今の場合オヨメサン)はインドネシア語がわからないみたいだし、財布をガイド(今の場合グルメな夫)に預けている。払ったお金が多少上乗せした金額でも問題はない。庶民にとっては大きなお金も、外国人には小さなお金(今の場合30円)なのだから。
 
オヨメサンは実は値段を聞き取れておらず、バナナは25000ルピアで、グルメな夫は50000ルピア渡したのだと思っていた。後から値段を聞いて、
「安かったね~!」


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