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グルメな夫、IHコンロを初体験する

グルメな夫のオヨメサンの実家の台所は、昭和時代のままなのだが、唯一ガスコンロを数年前にやめてIHコンロに変えたところだけが新しい。
プロパンガス用の2口のガスコンロから、当時一番安い一口のシンプルなIHコンロに買い替えた。
 
グルメな夫がオヨメサンの実家のIHコンロに大きな幻想を抱いていたことが判明したのは、今年のお盆に実家に帰省した時であった。調味料を自分の台所から持ち込み、食材をあれこれ買って、やる気満々で実家に乗り込んだが、タイマー機能すらないIHコンロに衝撃をうけた。
「自分のキッチンのガスコンロのような多機能コンロが技術立国ニッポンのキッチンの標準装備だと思っていた。」
と言うから、勘違いも甚だしい!
 
自宅のキッチンはグルメな夫のテリトリーであり、ガスコンロは3口である。購入当時、グルメな夫は一番いいガスコンロを選んだ。横で眺めながら、自称グルメの面目躍如だと思ったものである。
そういえば、グルメな夫のインドネシアの実家には、2口の日本製ガスコンロがある。およそ30年前、日本に来る直前、グルメな夫は当時一番いい調理用コンロを買ったが、それもグルメだったからなのだ、と今になって思う。
 
そんなグルメな夫が日本に来てみると、オヨメサンのアパートには一口のガスコンロしかなかった。台所の設備があまりにみすぼらしいことに、グルメな夫はショックをうけた。
そして今また、実家の台所のIHコンロがなんと一口しかない。
オヨメサンの母も祖母も料理ができる人だったが、忙しすぎた。だから、オヨメサンは母や祖母から料理を習う機会はなかった。料理らしい料理をしない実家の台所は放置され、ミニマムの装備があればよい、という台所へと変わり果てている。
 
オヨメサンの実家から帰って、グルメな夫が真っ先にやったのは料理である。3口あることの便利さや、タイマー機能をはじめとする様々な機能があることで、いかに料理がやりやすいかをまざまざと実感している様子である。ガスコンロから
「タイマーを設定できます」
という音声が流れると、
「うちのガスコンロは言葉を話せるんだ!」
と感嘆の声をあげた。

出来上がった料理を食べながら、
「日本ではIHコンロは一口に決まっているの?」
と、これまた見当はずれな質問をグルメな夫はした。ガスコンロと同じように2口も3口もあるのだと伝えると、グルメな夫はほっとしていた。
 

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