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グルメな夫、オヨメサンに特別なサラダを買う

グルメな夫のオヨメサンはガドガド(gado-gadoピーナツソースがかかった野菜サラダ)が大好物である。インドネシアのジャワ島中部の古都ソロ(正式にはスラカルタ)でフードコートに行くと、さっそくガドガドがあるお店をみつけた。
ガドガドに欠かせない揚げ豆腐は売り切れだと言うが、ガラスケースにはまだ茹でた人参、インゲン、ジャガイモなどがたくさんある。スラット(selat)という野菜サラダはできるというので、グルメな夫はオヨメサンにスラットを買った。

ソロのフードコートのスラット(野菜サラダ)

「始めて食べるインドネシア料理だわ!」とワクワクするオヨメサン。
ところが、ソースと見えた赤い汁を飲むや、
「トマトスープなの?」
と驚く。ガドガドにはないトマトソースも中央の肉団子も、個別には大変美味しい。しかし、トマトソースに野菜、肉団子、その他が浮かんでいるのがカルチャーショックらしい。
 
インドネシア人にとっては、スラットはガドガドより好ましい料理である。豆腐ではなく肉が入っているし、ジャガイモは茹でただけでなく揚げてある。ありふれたピーナツソースではなく美味しいトマトソースが使われる。
 
グルメな夫がソロで出席した結婚式では、すべて例外なくスラットが出された。
「スラットが出されるとみんな嬉しい。だから結婚式でだされるんだよ。」
それほどスラットは特別なサラダなのである。
「結婚式でガドガドはでないの?」
インドネシアで結婚式に出席したことがないオヨメサンがたずねる。
「それは絶対にない!」とグルメな夫は断言する。
 
ガドガドはナシ・ゴレンやサテとともに日本ではよく知られたインドネシア料理のメニューである。日本にあるインドネシア料理店でガドガドを提供しないお店はないだろう。
しかし、インドネシアでは、一緒に食事をするときにガドガドを選ぶということは、金銭的に最も遠慮した選択だということを意味する。
「ガドガド、インドネシアでは安い料理扱いだなんて、かわいそう・・・。」
どうやら、オヨメサンの気持ちの中では、スラットはガドガドに敗北したようである。

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