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【可動建築と公園の可能性】


〇はじまりのきっかけ。

公共不動産の仕事をしていると、行政の規制緩和は必須だと思うけど、そもそも、まちに住んでいる人がパブリックマインドを持って自由にまちを楽しまなきゃと感じることが多くある。そもそも、公園に人がいない。これは、禁止事項が多い公園という理由だけでなく、公園をもっと楽しむ人の絶対数が少ないのではと暮らしの中で感じていた。

そんなある日、大分建築士会の企画で、大分に来たグランドレベルの田中元子さんを囲んだトークイベントの打ち上げで、乾杯したらすぐ、一級建築士事務所であるDABURA.m株式会社の光浦さんが、「西田さん、別府公園でこれやりません?」と言われたのが可動建築の宴@別府公園

可動建築を貸し出し、公園を使い倒す可動建築の使い手を増やして、パブリックスペース(今回は、別府公園)を能動的に楽しんで行こうという企み。

これは面白い。その場にたまたま、別府市公民連携課の小川さんもたまたまいて、市役所で企画を繋いでくれ、企画は一気に動き出した。こうして、可動建築を使った公園の可能性を探る社会実験の目的で、「可動建築の宴」という企画で、別府市に公園利用許可をいただいたのだった。

〇可動建築をつくる建築家 DABURA.m光浦さん光浦さんは、建築の仕事をしながら、ずっと可動建築の可能性を実践してきている建築家。
モバイル屋台という可動性のある建築により、パブリックスペースの可能性を開いていきたいという活動を行っている。可動建築と公園は最高の相性に思えた。

◎可動建築に取り組むDABURA.m 株式会社 
http://dabura-m.info/1760

実は、彼とのプロジェクトは昨年から始まっていた。

自分が企画ディレクションに携わっている竹田のアートプロジェクト、竹田アートカルチャーの企画で、お茶の原点回帰を目的に行った竹田アート茶会という企画があり、彼の可動建築の取り組みを知っていたこともあり、野駆け(野点の大元は、ピクニックだった!)の精神で、竹田の風景に飛び込める動かせる可動茶室を作ってほしいと、お願いをしていた経緯があった。

彼と、あーでもない、こーでもないと煮詰めてできたのが、可動茶室KUSHI。1つの大分日田杉のパーツを串の様に差し込むことで組み上がるモバイルな茶室。
◎竹田アート茶会 可動茶室KUSHI
http://taketaartchakai.jp/

今回、「別府公園の宴」に竹田アートカルチャーとして、この茶室が、竹田を飛び出し別府公園で、可動建築の宴に参加することになった。名付けて別府公園茶会。

春の別府公園でのんびりお茶を。というコンセプトで、参加。そのほかにも公園を楽しく使う使い手が、可動建築6台とともに集合。

◎別府公園
〒874-0903 大分県別府市野口原3018−1
0977-21-1111
https://goo.gl/maps/ydBTFQQvCQU2

〇当日の様子はこちらから

〇公園では落語も行われた。

〇見えてきた可動建築の可能性と課題

実際、行ってみて、可能性と、課題も今回はっきり認識することができた。
まず、出展する店舗にとっては、出店準備時間が短縮され、使いやすいという声が多かった。今後、可動建築は、貸し出しができるプラットフォームとして機能させることで、使い手が自由に選択し、可動建築を使えるようになることは、小規模な飲食や、WSをしたい人たちにとってはかなりメリットがあるツールになる可能性が大いにあるということである。

<<テレビでの取材の様子>>


課題は、保管と輸送の問題である。可動ということもあり、軽トラックなどでほぼ移動は可能な作りになっているが、使っていない間に保管するスペースが必要であること、そこから会場への輸送がスムーズに行えるかどうか?というところが、実際の運用上の課題といえる。

今回は、別府公園にある倉庫を活用することができ、かなりこの面では、クリアができたが、ほかの場所での展開という点で、課題が残る。しかし、この点は、行政とうまく連携することでクリアできる課題だと思っている。

〇公共空間における地域の使い手の魅力を広げることができる。
自分が、思う可動建築の魅力は、地域にいる小さな面白いプレイヤー(使い手)が、公共空間を使う可能性を広げることができるということである。

現在、行政では、使われていないパブリック空間、建物を民間に使ってもらうためのサウンディング調査や、実際に活用してもらうためのスキームづくりが進んでいる。
この活動は突き詰めていくと、経済的原理の中で、パブリック空間が継続的に使えるかどうかという点が民間事業者にとって、問われてくる。
規模が大きな建物やスペースが多い公共不動産は、民間にとっては、かなりリスクも伴う。つまり、商売をするにあたり、飲食や宿泊などであっても、初期投資が数百万~数千万かかるケースもあるということである。そうなってくると、規模の大きな事業者しか参入できず、小規模な事業者の多い地方では特に、参入障壁が高くなり、さらに地方の商売の可能性のスケールメリットからいうと、規模の大きな事業者でも、参入しにくいという課題を特に地方の公共不動産では感じる。

もう一つ重要なのは、この面白いプレイヤーを集め、まとめ、発信するプロデュースの視点である。やみくもに、プレイヤーを集めてしまっては、場の魅力が半減する可能性もある。魅力的なコンテンツとプレイヤーのバランスを見ながら、空間設計するプロデュースの視点は必須といえる。

可動建築は、投資を少なく、商売ができるツールであり、さらに公共サービスと組み合わせて、可動させれば、地域の中で経済を回す仕掛けになるのではないかと感じている。


【楽しい打ち上げの様子はこちらから~】


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