見出し画像

西日本豪雨から学んだ2つの当たり前のこと

江原と申します。広島県福山市で家族経営の小さなお仏壇屋さんをしています。

3年前の今日は何をしていたか?強烈に記憶に残っています。私達は必死にお店に入った水をかき出し店内の清掃をしていました。

西日本豪雨から3年になります。
記憶が薄れないように書かねばと思ってから3年もたってしまいました。

3年の区切りとなるこのタイミングで豪雨の時の記憶の思い返しと、豪雨から何を学んだのかについて書きたいと思います。

|豪雨の記憶

当時私は福山に帰って半年くらいで、父が亡くなって色々と相続の手続きをしながら会社のこと、家の仕事のことについて右も左も完全にわからない状態で混乱しながら日々過ごしていました。

そんな中西日本豪雨が訪れました。

当店はバリアフリーで店舗設計をしたため強い雨が降ると浸水してしまう問題があります。

すでに過去も2度ほど1cmくらいですが浸水しています。そのためある程度心づもりや対策用の備品も準備していました。

今回も「なんとか勘弁してほしい」と願いながら念の為土嚢などを出しやすくする準備を進めていました。

しかしながらその願いは届かず7月4日の段階ですでにお店の一歩手前まで水が迫ってきました。ただお店に入る寸前で雨は弱まり、5日は比較的雨は弱かったので、今回は助かったのではと思いました。

そんな中6日がやってきました。本当にたくさんの雨が何日にも渡って降っているにも関わらず6日の雨は特別強く、東京でたまに経験する「ゲリラ豪雨」のような雨が丸一日続きました。  

店舗に水が入ってきたのが確か夜の18時位からだったと思います。みるみる水かさがまし、あっというまに10cmくらいお店が浸かりました。

画像1

その頃には水をせきとめるのは無理であると身を持って理解したので、商品をとにかく高いところへ移動させるということをひたすらしていました。

そんな中この豪雨の際に一番びっくりかつ心が折れかけたイベントが発生します。それがお店の停電です。

(この暗闇で作業を続けるのはさすがにきつい...)

というのも当時はテンパっており、一帯が停電してしまったと勘違いしたのです。家族から指摘されようやく冷静になった私は周辺を見渡し電気がついていることを確認しました。そして冷静にどこが落ちるブレーカーなのかを見極め、作業に必要なブレーカーだけをあげ、無事作業は続けられました。

しかしながら夜中の3時くらいまで商品が水に浸からないように移動をし続けたものの肉体的にも精神的にも限界が近づき、母が「もうこれ以上はやめよう」と言い。そこで私達は力尽きました。

明け方ようやく雨がやみ、泥のように寝ていて目が覚めた私は真っ先にお店を見に行きました。水かさが増していたらどうしようという想いで頭がいっぱいでした。

結果は作業をとめた時間とほぼかわっておらずとてもとてもほっとしたことを覚えています。

画像3

しかしながらお店の周辺はまるで川のようで歩道と車道の境もわからない状態でした。これでも私達の地域はかなり軽い被害でした。

外‗1536294825385

↑車が溝に落ちてしまっています

商品も無事だったし、誰も怪我をしていないし、お店が少し汚れただけ。私達は幸運でした。岡山の方ではたくさんの方が亡くなりました。

|西日本豪雨で学んだこと

準備しておく備品や、対策方法などは調べればたくさんでてくるのでここでは触れません(土嚢もたくさん積みましたが一定より水かさが増えると効果はありませんでした)。私がこの豪雨から学んだことは次の2点です。

1.主体性を持ち災害について話し合うこと

つきなみかもしれません。しかし皆さん軽微でも事故や災害にあった際、雑談の延長のように軽く話すだけで、そのことについてしっかり議論をしたり、今後どうすべきについてしっかりと話をしていますでしょうか。案外できていないのではないでしょうか。私の家もちろんそうでした。できていない理由は色々あると思いますが、みんな漠然と何かしないといけないと思っているもののただきっかけがなくできていない方が多いと思っています。何かせねばと思っているのは周りも同じ意見なはずです。是非話合ってみてください。さらに話しかけられるのを待つのではなく自分から主体性をもって「このことについて話したい」と言うべきであると学びました。

2.無知は時に武器にもなる

この豪雨、後処理も含めて本当に大変でしたが悲観することはありませんでした。むしろお店をどんどん綺麗にしていくきっかけにしようとさえ思えていました。なぜこう思えたのか、それは私が当時帰省してまもなく「何もわからなかったから」こそだと思います。今同じ状況に遭遇したら3年前ほど楽観的に振る舞うことはできないでしょう。今はよい意味では経験やこだわり、悪い意味ではバイアスがかかっています。無知でさえも良い面と悪い面があるのだと知りました。

汚れたお店も3年かけてコツコツDIYし今はだいぶ綺麗になってきました。

画像4

↑3年前7月7日の写真

画像5

↑現在の写真

|最後に

これを書いているこの瞬間も島根と鳥取で雨による避難指示がでていたり、熱海では雨が原因と思われる土砂災害があり安否不明の方がいます。一刻もはやく見つかることを祈っています。
他にも数年前千葉でも豪雨があった際は友人のお店が浸水したりと他人事に思えないニュースが続きます。
人々の貴重な経験や知見が水と共に流れないように私達がしていかねばならないと感じます。

豪雨災害でお亡くなりなった方にお悔やみを申し上げます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?